(2702m)

別山に行く途中の油坂の頭付近からの白山
手前の小屋が南竜ヶ馬場
 白山は、富士山、立山とともに日本三霊山のひとつになっています。。石川県白山市と岐阜県白川村の境界にそびえ、御前峰(ごぜんがみね)(2702m)、大汝峰(2684m)、剣ヶ峰(2677m)3つの峰からなり、手取川(石川)、九頭竜川(福井)、長良川(岐阜)、庄川(富山)の分水嶺を形成しています。白山は、新羅系渡来人・泰澄(たいちょう)上人により717年(養老元年)に開基したといわれ、古くから信仰登山が盛んでした。白山山頂の御前峰(2702m)には白山比刀iしろやまひめ)神社の奥宮があり、全国各地に分布する三千有余の白山神社の総本社になっています。

 また、白山は古くは「しらやま」や「越のしらね」の名で和歌にも詠まれてきました。「ハクサン」と音読みされるのは江戸中期以降です。

み雪降る 越の大山 行き過ぎて いづれの日にか 我が里を見む(万葉集 12−3153 作者未詳)
(訳)
雪の降る越の大山を通り過ぎて行き、いつの日にか故郷が見られるだろうか。
越の国に赴任する官人が、帰京できる日はいつかと望郷の心を詠んだ歌。

栲衾たくぶすま 白山風しらやまかぜの なへども 子ろがおそきの あろこそしも(万葉集 14−3509 作者未詳)
(訳)
白山から吹きおろす風の寒さで眠れないが、あの娘の「おそき」があるのが嬉しいことだ。

栲衾たくぶすま       白の枕詞 コウゾなどの繊維で織った白い夜着。
おそき       頭から被る上着の一種。
あろこそしも  アロはアルの訛り。 エシはヨシの古形

消えはつる 時しなければ 越路なる 白山しらやまの名は 雪にぞありける( 古今和歌集 414番 凡河内躬恒おおしこうちのみつね
(訳)
消え果てることがないので、越路にある白山の名前は雪から来ているのだ。

思ひやる こしのしら山 しらねども  ひとよも夢に こえぬよぞなき (古今和歌集 980番 紀貫之)
(訳)
遥かにわが思いをはせるあなたの居る北国の雪の白山は知らないですけれど、ただ一夜だって夢の中で越えてゆかない夜はないのです。

み吉野の 花のさかりを けふ見れば 越の白根に 春風ぞ吹く(千載集 76番 藤原俊成)
(訳)
山桜が満開の吉野の山を今日眺めると、まるで越の白根に春風が吹いているようだった。



登山記録
2010年
7月31日(土)
新宿駅新南口22:00発 金沢駅行き 夜行バス
8月1日(日) 金沢駅着5:55着
金沢駅発6:45発 白山登山バス 8:55着別当出合

観光新道で黒ボコ岩まで登り、南竜道で南竜ヶ馬場に向かう
別当出合9:10 10:30別当坂分岐10:40 13:00殿ヶ池避難小屋 15:00黒ボコ岩 16:20南竜ヶ馬場(テント泊)
8月2日(月) 展望歩道で室堂まで行き、御前峰、大汝峰を登り、エコーラインで南竜ヶ馬場に戻る
南竜ヶ馬場5:50 6:30アルプス展望台 7:36室堂 8:30御前峰8:45 9:28大汝峰分岐 9:50大汝峰10:08
10:26大汝峰分岐 11:20室堂11:40 12:00エコーライン分岐 13:20南竜ヶ馬場(テント泊)
8月3日(火) 南竜ヶ馬場5:30 6:52油坂の頭 8:36別山と御舎利山の分岐 8:46別山8:50 9:04別山と御舎利山の分岐
10:35チブリ尾根避難小屋10:55 13:26水飯場13:33 15:00市ノ瀬(テント泊)
白山温泉 永井旅館(日帰り入浴 600円 泉質:ナトリウム塩化物炭酸水素塩泉 無色無臭)
8月4日(水) 市ノ瀬11:45 白山登山バス 14:00金沢駅

金沢市内観光(金沢駅→近江町市場→ひがし茶屋街→兼六園→金沢城公園→長町武家屋敷跡→モンベル→金沢駅)

金沢駅22:20発 新宿行き 夜行バス
8月5日(木) 新宿駅新南口6:22着

8月1日(日) 
別当出合から観光新道を黒岩まで登り、野営地の南竜ヶ馬場に向かう。

別当出合登山口(1260)
9:10出発
この先で山に登る観光新道とつり橋を渡る観光新道に分かれる。登りやすいので砂防新道を利用する登山者が多いですが高山植物に期待して観光新道で登ることにしました。

別当出合登山センターでの天候は霧で展望はいたいできない。

別当出合登山口から室堂(2455)まで6.1kmあり1kmごとに表示がありました。

殿ヶ池避難小屋(2020)
13:00

別当出合からほぼ4kmのところにあります。
トイレはありますが、水場がありません。

黒ボコ岩(2320)
15:00
別当出合から5.2kmのところにあります。
観光新道と砂防新道が合流しています。
当初は室堂まで行く予定でしたが、だいぶ疲れていたのでここから砂防新道の標識に従い、宿泊場所の南竜ヶ馬場に向かいました。

16:20
南竜ヶ馬場(2080)に到着しました。
野営場はお花畑の中にあり、水は豊富に使えました。


8月2日(月)
南竜ヶ馬場から展望歩道で室堂に登り、御前峰、大汝峰を登頂し室堂に戻り、エコーラインで南竜ヶ馬場に戻る。

南竜ヶ馬場(2080)

南竜ヶ馬場野営場からの白山の眺め
小屋の手前の登山道が展望歩道(3.1km)、小屋の向こう側に室堂への最短コースのトンビ岩コース(1.7km)があります。

南竜ヶ馬場(2080)を5:50に出発し展望歩道で室堂(2450)に向かいました。

南竜ヶ馬場は、湿生の高山植物とオオシラビソの林に囲まれていました。

展望歩道からの別山(2399)

室堂近くで、雪渓と明日登る予定の別山(2399)が姿を現しました。

室堂(2450)
7:36

白山室堂の山小屋は750人の収容力があります。
雪渓の残雪が飲料水になっています。
ヘリコプターがピストン輸送で荷揚げをしていました。

砂防新道(6.0km)を登り室堂で泊まって、観光新道(6.1km)を下る1泊2日で白山に登るが一般的なようです。

御前峰山頂(2702)
8:30

白山比盗_社(しろやまひめじんじゃ)の奥宮

御前峰山頂(2702)
8:30

御前峰山頂からの大汝峰(2684)
大汝峰の手前にある池は、油ヶ池(左)と紺屋ヶ池(右)です。

大汝峰山頂(2684)
9:50

大汝峰山頂からの御前峰(左)と剣ヶ峰(右)。
剣ヶ峰の手前のは翠ヶ池(みどりがいけ)。

弥陀ヶ原(2340)

室堂(2450)から南竜ヶ馬場(2080)への下りはエコーライン(2.6km)を利用しました。
弥陀ヶ原では、木道の上を歩きました。
南竜ヶ馬場(2080)に13:20に到着し、午後はテントでのんびりしました。


8月3日(火)
南竜ヶ馬場から別山に登り、市ノ瀬・別山道で市ノ瀬に下りました。 歩行距離 14.2km

別山と御舎利山の分岐
8:36

南竜ヶ馬場を5:30に出発して、3時間かけて到着しました。

南竜ヶ馬場からここまで来ると、後は下りだけになります。市ノ瀬まではまだ距離はありますが、ある程度目途が立ちました。

南竜ヶ馬場から4.2km
市ノ瀬まで9.0km
別山まで0.5kmを往復で1.0km
合計で14.2kmを歩くことになる。

別山(2399)
8:46

別山山頂近くに祀られた別山神社。

チブリ尾根からの別山

登ってきた別山を振返りました。

チブリ尾根避難小屋(1900)
10:35

トイレはありますが、水がありません。
室内はNPOが清掃しきれいになっていました。室内で休憩して食事をとりました。寝具は置いてありませんでした。

天気が良いと白山、別山の眺めが良いところだそうですが、曇り空で眺望はありませんでした。

地元の登山愛好家は、市ノ瀬からここまで(6.6km)をピストンするようです。別山まではまだ2.8kmあります。

チブリは「千振」と書き、千回振り返ってもなお振り返りたくなるほど美しい所だと言われています。

チブリ尾根のブナ林

チブリ尾根避難小屋からの下りで、ダケカンバの樹林帯の下に現れたブナ林の中を行く。

ブナ林を下った所(チブリ避難小屋から3.4km)に水飯場の標式のある水場で休んでいたら、地元の登山愛好家がもっと下にいい水場があるという。そこはミズナラの大木の下から川のように水が湧き出していました。地元の人も水を汲みにくるそうです。

市ノ瀬野営場(830)
15:00

無事、下山しました。
まずは白山温泉に行き、登山の汗を流しました。
南竜ヶ馬場(2080)と比べて市ノ瀬(830)は標高が低いのでシェラフの中が暑く感じました。


白山で出会った花


まとめ
 初日の観光新道の登りで霧雨にあっただけで、比較的に天候に恵まれほぼ予定通りにテント泊の白山登山を楽しむことができました。南竜ヶ馬場から別山に登って市ノ瀬に下る計画は、距離が長いので実行できるか気にしていましたが、なんとか歩くことができ満足しています。
 南竜ヶ馬場では、石川県環境部自然保護課の主催する高山植物のスライド上映会や自然観察会に参加し白山の自然についての説明を受けました。スライド上映会では、中宮道のお花松原のお花畑の映像が印象に残り、また白山に登る機会があったら訪れたいと思っています。
 ハクサンと名の付く高山植物が30種類くらいあるそうですが、多くの高山植物にも出会うことができました。