ルーベンス展
上野の西洋美術館で行われているルーベンス展を見てきました。
音声ガイドは女優の長澤まさみがの15の作品をわかりやすく解説していました。
ピーテル・パウル・ルーベンス(1577−1640)は西洋美術では17世紀のバロックに分類されます。
17世紀(バロック)は、小氷期で寒い気候に突入し、大飢饉になりました。
しかも、ペスト(黒死病)が大流行してヨーロッパの人口の3割が死亡した時代です。
心の拠り所は宗教で神に祈るしかなく、宗教画が描かれました。
バロック時代の画家にはカラヴァッジョ(1573−1610)、グレコ(1541−1614)、ベラスケス(1599−1660)、レンブラント(1606−69)、フェルメール(1632−75)、プッサン(1594−1665)、ベルニーニ (1598−1680)らがいます。
バロック絵画は劇的な描写技法、豊かで深い色彩、強い明暗法などで特徴づけられます。
ルネサンス美術とは異なり、バロック美術では大げさで芝居がかったような場面描写が好まれ、動的な躍動感あふれる作品が多く制作されました。
ピーテル・パウル・ルーベンス(1577年ー1640年)は、バロック時代を代表する画家で、5〜7ヶ国語を操る外交官でもありました。
ハプスブルク家スペイン領だったフランドル(現在のベルギー、ルクセンブルク、フランス北部)のアントウェルペンでの修業時代を経て、イタリア滞在時(1600年ー1609年)にミケランジェロやラファエロなどのルネサンス芸術や古代美術を学びました。
1609年イタリアから帰国後、当時アントウェルペンを統治していたスペインのネーデルランド総督アルベルト大公とイザベラ王女から宮廷画家に任命され、アントウェルペンで作品を制作を行いました。
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| 『エリクトニオスを発見するケプロスの娘たち』 1615−16年 |
| ギリシャ神話のワンシーンを描いたものす。 知恵の女神ミネルヴァより、「籠の蓋を決してあけないように」と言って籠を託された。 三姉妹のひとりは、好奇心に抗えず、蓋を開けてしまう。 中には、脚のかわりに2匹の蛇の尾を生やした怪物のような子供、エリクトニオスがいた。 |
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| 『クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像』 1615−16年 |
| 5歳の頃の愛娘を描いた。 |
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| 『キリスト哀悼』 1601−02年 |
| キリストが十字架で死んだ後、そこから降ろされ、付き従っていた弟子たちが哀悼の意を表しています。 |
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| 『へスぺリデスの園のヘラクレス』 1638年 |
| ギリシャ神話からへスぺリデスの園から怪力ヘラクレスが黄金のリンゴを奪う場面を描いています。 |
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| 『マルスとレア・シルウイア』 1616−17年 |
| ローマ建国伝説より、軍神マルスは、かまどの女神ウェスタの神殿に使える巫女であったレア・シルヴィアに恋焦がれ、彼女が眠っているすきに忍び寄り、想いを遂げました。 マルスは甲冑を身につけつつ、かぶとは傍らのプットーに預けて、レア・シルヴィアに駆け寄っています。 驚いたレア・シルヴィアは身をひいていますが、マルスを彼女の方へと導く愛の神キューピッドの存在は、この恋の成就を暗示します。 |
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| 『聖母被昇天』 1625−26年 ベルギーのアントウェルペン大聖堂所蔵 |
| 聖母マリアが昇天の時、神やイエスの導きにより天使たちの力で聖母マリアの霊魂と肉体が天に上げられた場面が描かれています。 |
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| 『キリスト昇架』 1610−11年 ベルギーのアントウェルペン大聖堂所蔵 |
| 小説『フランダースの犬』の主人公ネロが憧れた絵画として有名です。 アントウェルペンにはネロがパトラッシュと共に息を引き取った大聖堂があり、その中にネロが憧れた同郷の作家ルーベンスの絵が飾られています。 大聖堂は聖母マリア教会とも呼ばれる教会で、大きな建物に見事なステンドグラスが飾られています。 |