ムラサキ

 2007年6月23日(土)に調布市野草園に幻の花ムラサキを見に行きました。本やネットでは見ていましたが、実物のムラサキに出会いたかったのです。万葉集にある額田王と大海皇子の蒲生野の遊猟での相聞歌でムラサキが詠まれています。蒲生野でムラサキが栽培されていたのは、ムラサキの根から紫色に染める染料をとるためでした。紫はもっとも高貴な色で、冠の色の順は紫・青・赤・黄・白・黒でした。

万葉集 巻一 20        額田王


万葉集 巻一 21        大海人皇子

 江戸時代になると、「江戸紫」と呼ばれるほど、庶民の人気の的にになりました。紫は粋な色で「江戸紫」をファッションとして着こなしていました。江戸の近郊の武蔵野の農家ではムラサキが盛んに栽培されていました。
 立教大学校歌「栄光の立教」の歌詞にも「紫匂える武蔵野原」とあり、ムラサキが武蔵野に咲き誇っていた時代があったことがわかります。

 いま、ムラサキは絶滅に瀕しています。理由のひとつは、大地が病原菌に侵されていることにありますが、都市化による自然の破壊と後退が一番大きな原因とされています。