山萩


 2005年9月25日、皇居東御苑の山萩です。今日親しまれている秋の七草は、万葉集で山上億良により最初に詠まれています。なかでも萩は「クサカンムリに秋」と書かれ、秋を代表する野草になっています。万葉集で詠まれている野草では、萩が最も多いそうです。万葉人にとっては、春の梅、秋の萩と並び賞され、萩の花見が行われていました。

       山上臣億良、秋野を詠む歌二首

秋の野に 咲きたる花を および折り かき数ふれば 七草の花

萩の花 尾花葛花 なでしこの花 をみなえし また藤袴 朝顔の花

                            (万葉集 巻第八 1537、1538)
尾花        ススキ
朝顔        キキョウ

       花を詠む
秋風は 涼しくなりぬ 馬めて いざ野に行かな 萩の花見に

人皆は 萩を秋と言うよし 我れは 尾花がうれを 秋とは言はむ

秋風は 日にに吹きぬ 高円たかまどの野辺の秋萩 散らまく惜しも

                            (万葉集 巻第十 2103、2110、2121)
尾花が末        ススキの穂
日に異に吹きぬ    日増しに吹く
高円           奈良の春日山の南にある高円山