カタクリ

ユリ科の多年草。水辺の地に群生する。花は紅紫色ですこぶる清楚にして可憐。

 東京23区内で唯一カタクリが自生する「清水山憩いの森」(練馬区大泉町1-6)でカタクリを見てきました。カタクリの開花期は桜の開花時期とほぼ同時期で、3月下旬から4月中旬にかけて次々と花を咲かせます。カタクリはコナラ、クヌギなどの湿り気のある落葉樹林の北向きの傾斜地で薄紫色の花を咲かせます。花をつける個体になるまで7年以上かかります。「清水山憩いの森」には約30万株のカタクリがあり、その半数近くの株が毎年交替で花を咲かせているそうです。
 なお、カタクリ粉は、昔は地下20〜30センチくらいの深さにあるカタクリの鱗茎(球根)からつくられていましたが、現在はジャガイモからつくられています。

対生する葉の真ん中から20cmばかりの茎を伸ばし下向きに花を咲かせる。 鹿の斑点模様の葉から片鹿子(かたかご)といわれていた。 傾いた籠のような花の様子から傾籠ともいわれた。

 カタクリの名前の由来は、カタカゴ→カタコ→カタコユリ→カタクリに変化したという説があります。

 奈良時代の万葉歌人・大伴家持が越中の国守として、天平18年(746)から天平勝宝3年(751)までの5年間、国府のあった高岡に在任していました。高岡在任中の天平勝宝2年(750)にカタクリの花を歌にしています。

(意味)
たくさんのおとめたちが、さざめき入り乱れて水を汲む寺の境内の井戸のほとりに群がり咲くカタクリの花よ

もののふの       「八十」の枕詞
八十 数が多い
堅香子 片鹿子の意。