新発見考古速報展
発掘された日本列島’99
両国の江戸東京博物館で6月12日から7月7日まで1998年に日本全国の遺跡で発掘された遺物の展示を行っている。毎年展示会を行っているが、数年前、上野の国立歴史民族博物館で行われた時、行っており今回が二回目である。毎年ものすごいエネルギーで日本全国で発掘作業が行われているのに関心させられる。書物がほとんど残っていない古代の歴史を解明するには遺跡から出る遺物によるしかない。都市化が進んでいる日本で発掘場所に制限があるなか、真実の歴史を知るためには困難を乗り越えて遺跡の発掘を進めなければならない。また現在、宮内庁により管理されている天皇陵の発掘は禁止されているが、古代史の解明のために発掘の許可される日が待ち望まれる。
展示物のなかから目にとまったものを紹介する。
富本銭 飛鳥池遺跡(奈良県明日香村)
富本銭が33枚出土した。鋳造銅貨としては最も古いとされていた和同開珎(708年)より古い七世紀後半に鋳造された可能性が高い。
三角縁神獣鏡 黒塚古墳(奈良県天理市)
三角縁神獣鏡が33面出土した。三角縁神獣鏡はヤマト政権の支配を象徴する鏡である。黒塚古墳は四世紀はじめの古墳で、ヤマト政権中枢での三角縁神獣鏡の埋蔵実態が明らかになった。
銅鐸 吉野ヶ里遺跡(佐賀県神埼郡)
弥生後期(1〜3世紀)の穴に納められた銅鐸1点が九州で初めて出土した。銅鐸文化の中心である近畿と同様、銅矛・銅剣文化圏とされてきた九州にも銅鐸祭祀があったことを証明した。
銅銭入り常滑大甕 武蔵国府関連遺跡(東京都府中市)
15世紀から16世紀に流通していた銅銭入りの常滑大甕二個が出土した。銅銭は五十種類、二十万枚を超える。備蓄の目的はまだ解明されていない。