慶應サイエンス&テクノロジーシンポジウム2000
情報通信メディアが創る21世紀

 「情報通信メディアが創る21世紀」というテーマで慶應大学理工学部主催で行われたシンポジウムに参加した。シンポジウムは「メディア」、「情報」、「通信」のセッションと「情報家電とホームネットワーク」のパネル討論で構成されていた。
 「メディア」ではデジタルカメラ数台で撮影した動画を解析しサッカーの試合で選手が動いた軌跡を再現し、選手の動きを分析することが可能にした研究が発表された。また、動画像解析し実際にはカメラのない視点での動画像を作成し、表示することも研究されていた。これらの技術はデジタルカメラの低価格化とパソコンの高速処理によって実現された。
 「情報」では次世代インターネットは光ネットワークになりテラビットルータとWDM(Wavelength Division Multiplexing)を直結した形態になり電話の交換機能は不要になるとのことである。
 「通信」ではホームエレクトロニクスを実現する無線(規格:Buletooth,HomeRF,Wireless1394)の技術と100〜400MBPSの高速通信でデジタル放送に使用される有線のIEEE1394が紹介された。
 「情報家電とホームネットワーク」では、パネラは、技術者としてはデジタル放送の開始とともにホームサーバーと高速有線(規格:IEEE1394)を各家庭に導入したいが、アナログテレビとの競争を乗り越えなければならないこと、自動車メーカー(トヨタ)や住宅メーカー(旭化成)は様子見で技術の積極的な先導者にならないことなど課題がある。パネラは、パソコンや白物家電は1MBPSの無線が主になるとみている。ホームネットワークを普及させるためには、フューマンインターフェースを考慮したアプリケーションを考えていく必要がある。ホームネットワークを予想以上に普及した 携帯電話と同じように日本主導の製品に育てたい。

主催:慶應義塾大学理工学研究科情報通信メディア工学専修
日時:7月1日(土)
場所:慶應義塾大学理工学部矢上キャンパス新棟マルチメディアルーム(地下2階)

開催のご挨拶
「情報通信メディアのご紹介」 (教授 中川正雄)

セッション1:メディア
「動画像解析による環境サーベイランス」 (教授 小沢慎治)
「メディア理解−画像の学習による理解−」 (助教授 萩原将文)
「多視点画像からの3次元環境モデリングと自由視点映像生成」 (専任講師 斎藤英雄)

セッション2:情報
「次世代インターネットの動向」 (教授 松下温)
「ワークフローからインターワークフローへ」 (助教授 岡田謙一)
「慶應遠隔教育プロジェクト」 (専任講師 重野寛)

セッション3:通信
「第4世代移動通信の技術展望」 (教授 笹瀬巌)
「マルチメディアワイヤレスコミュニケーションズ Wireless Home Link,Wireless Local Access, ITS」 (教授 中川正雄)

パネル討論
「情報家電とホームネットワーク」
 コーディネータ 松下温(慶大)
 パネラ     斉藤健(東芝),谷川浩(トヨタ自動車),坂東忠秋(日立製作所),
         野口祥宏(旭化成工業),中川正雄(慶大)