大雪山(旭岳・黒岳)

黒岳(1984m)から中央右の旭岳(2290m)に続く縦走路。 中央左は北海岳(2140m)


北海道で勤務したことのある友人から、大雪山の紅葉が素晴らしいから見に行かないかと誘われて同行することになりました。

2012年9月15日(土)から2泊3日で大雪山登山と観光兼ねて、3人で北海道旅行に出かかけました。

9月15日(土)は、午前中に成田空港から旭川空港に飛び、午後はレンタカーで美瑛の「ぜるぶの丘」と「青い池」を見ました。その後、旭川空港まで戻り、路線バスで約50分で、宿泊先の旭川温泉に向かいました。

9月16日(日)
旭岳温泉の山麓駅(1100m)から5合目の姿見駅(1600m)まで10分で結ぶ旭岳ロープウェイを利用しました。旭岳(2290m)までは690mの登りとなります。当初の予定では旭岳登頂後、層雲峡の黒岳まで縦走する予定でしたが、天候が悪かったので登って来た道を引き返すことになりました。下山後、路線バスで旭川空港に戻り、レンタカーを借り国道39号で宿泊先の層雲峡温泉に向かいました。

9月17日(月)
層雲峡温泉のある山麓駅(670m)から5合目の黒岳駅(1300m)まで層雲峡・黒岳ロープウェイで7分で登ります。黒岳駅から200m離れた場所にある黒岳ペアリフトで5合目から7号目(1520m)まで15分かけて登ります。ここから黒岳(1984m)まで標高差464mの登りを標準時間では1時間10分かけて登ります。
黒岳下山後、層雲峡の銀河の滝・流星の滝を見ました。
その後、レンタカーで旭川空港に戻り、6時発の成田行きに乗り込みました。




9月15日(土)

成田10時30分発旭川12時5分着予定のスカイマークSKY863便に乗りました。
ボーイング737-800、定員177名、横3-3の座席配列で中央が通路です。

スカイマークのWEB予約で成田・旭川が1万円の格安航空券を利用しました。
旭川空港

成田空港が混雑していたので離陸が遅れ、旭川空港には20分遅れの12時25分に到着しました。

友人が予約していたレンタカーに乗り、美瑛の方に向かいました。
ぜるぶの丘 美瑛町大三

「ぜるぶ」の名前は風の「ぜ」、香るの「る」、遊ぶの「ぶ」に由来する。 国道237号線沿いにあり、見晴らしの良い場所にあるので、周りの丘の風景や晴れていると大雪山連峰の雄姿なども見ることができます。また奥にある建物の展望台に行けば、「ケンとメリーの木」も遠望することができます。
、「ケンとメリーの木」は昭和48年頃に「日産スカイライン」のCMに使用されたポプラの木です。
青い池  美瑛町白銀にある人造池

1988年(昭和63年)12月に噴火した十勝岳の堆積物による火山泥流災害を防ぐため、美瑛川本流に複数建設された堰堤のひとつに水が溜まったものである。。美瑛川を横切る形で施工され、本流から離れた両岸の森林内部まで堰堤が造られた結果、美瑛川左岸側のブロック堰堤に水が溜まるようになり、周囲に自生していたカラマツ、白樺等の樹木は、水没し立ち枯れた。したがって、目的を持って造られた溜池や貯水池などとは異なり、青い池は偶発的に人造池となったものである。この付近の湧水には水酸化アルミニウムなど、主に白色系の微粒子が含まれており、美瑛川本流の水と混ざることによって分散され一種のコロイドが生成される。水中に差し込んだ太陽光がコロイドの粒子と衝突散乱して水の吸収による青色の透過光が加わり、美しい青色に見えると言われている。
木々の間から十勝岳が遠望できました。
9月16日(日)

姿見の池

旭岳ロープウェイの姿見駅(1600m)で降り、周遊コースにある姿見の池に到着しました。周遊コースは1周1.7kmで、所要時間は約1時間です。
晴天時には、姿見の池に旭岳が映り絶好の撮影スポットとなっていますが、霧雨の降るあいにくの天気でした。
旭岳からの下りでは、遭難事故防止のために建てられた「大雪山愛の鐘」の音が遠くで鳴ったのを聞いて励まされました。
旭岳石室(避難小屋)

姿見の池近くにある旭岳石室の宿泊利用は濃霧等、遭難のおそれがある緊急時のみに限定されており、通常の宿泊目的での利用はできません。
旭岳(2290m)

旭岳ロープウェイの姿見駅(1600m)から標高差690m、距離3.3kmの登山道を2時間強で登りましたが、濃霧のため展望はありませんでした。
旭岳山頂の指導標

当初の予定では旭岳から間宮岳を経由して黒岳に登り層雲峡に下る予定でしたが、あいにくの天候のため、無理せずに旭岳登頂を成果に登ってきた道を引き返すことにしました。
9月17日(月)

黒岳頂上(1984m)

層雲峡温泉からロープウェイ、ペアリフトに乗り継いで、7号目(1520m)から歩きました。
1984mの黒岳頂上まで標準歩行時間は1時間10分です。
心配された雨に降られず、曇り空ですが大雪山の山々の同定(identify)しました。
黒岳石室

黒岳の南西800m(山頂より約20分)
6月下旬〜9月下旬(初雪が降るまで)の有人管理期間中、宿泊(2000円)は可能ですが、食事はでない。
テント泊も可能です。
エゾシマリス(蝦夷縞栗鼠)
 リス科シマリス属

日本では北海道にのみ野生種のエゾシマリスが生息するがこれは保護対象であり、現在日本でペットとして飼われているシマリスはチョウセンシマリスかチュウゴクシマリスで種類が異なる。シマリスは背中には5本の黒い縞があるのが特徴である。体長20〜25センチ(うち半分が尾)、体重100グラム前後と、リスとしては小型である。尾はふさふさした長い毛に覆われている。また採集した食物を入れるための頬袋を持つ。
ホシガラス(星鴉)
スズメ科カラス属

全長35cm。北海道から本州、四国にかけての亜高山帯から高山帯にすむカラスの仲間で、大きさはハトと同じくらい。全身黒味の強い褐色で、白い斑点が沢山あり、星をちりばめたように見えるところからホシガラスという名前がつけられました。しわがれた声で、「ガァー ガァー」と鳴きます。雑食性でハイマツの実、昆虫、鳥の卵や雛、など何でも食べてしまいます。ハイマツの実を貯蔵しておくこともします。

ウラシマツツジ(裏縞躑躅)
ツツジ科ウラシマツツジ属

名前の由来は葉の裏に細かい網目状の葉脈があることによる。高山帯の砂礫地に群生し、背丈5〜10cmの落葉草状低木。細かな網状の葉脈が独特で、大きさ3〜5cm程度。秋には真紅に紅葉し、群生地では赤い絨毯の様になる。

エゾオヤマリンドウ(蝦夷御山竜胆)
リンドウ科リンドウ属

エゾオヤマリンドウは、エゾリンドウの高山型とされ、エゾリンドウの花が茎頂と茎上部の葉腋につくのに対し、本種は茎頂にしかつかない。茎の高さは20〜40センチ。茎頂に長さ3〜4.5センチの青紫色の花を数個まとまってつける。
層雲峡

石狩川を挟み約24kmの断崖絶壁が続く。
元々、アイヌ語でソウウンベツ(滝の多い川の意)と呼ばれていた。
これにちなんで大町桂月が1921年(大正10年)に層雲峡と命名した。約万年前の大雪山の噴火により堆積した溶結凝灰岩が石狩川によって浸食されたことにより形成された。断崖は100メートルに達し、柱状節理がおおむね垂直に発達している。奇岩も多く、断崖を流下する滝もみられる。

銀河の滝

銀河の滝」は120mの断崖から糸を引くように優美な姿で流れ落ちる滝で雌滝とも呼ばれる。
流星の滝

「流星の滝」は90mの断崖を一気に流れ落ちる豪快な滝で雄滝とも呼ばれる。

烏帽子岳(2060m)と赤岳(2078m)を源にして石狩川に落下している。

このつの滝は「流星・銀河の滝」として日本の滝百選にも選定されている。

レンタカーで旭川空港に戻り、18:00発の成田行きスカイマークSKY868に乗り込みました。


旭岳に登った時は、台風16号の進路からは、はずれているものの大気が不安定で時々、雨足が強まりました。 北海道の山は、今回が初めてで寒さが気になり、毛糸のセーターや羽毛服も用意してきましたが寒さはあまり感じませんでした。 凍るような冷たい雨を予想して手袋も用意してきましたが、それほど冷たさを感ぜず手袋は使用しませんでした。 北海道だから寒いというわけでなく時と場合によるようです。

2012年9月14日の朝日新聞で今年は残暑の影響で大雪山の紅葉は1週間ほど遅れているという報道がありました。 北海道の大雪山系・黒岳(1984m)の山頂付近で紅葉が始まり、北海道の高山帯に生息するエゾナキウサギが冬支度を始めていると報じられていました。 ウラシマツツジが色づく中、エサを集めるため、岩場から姿を見せるエゾナキウサギの写真が添えられていました。 今回はエゾナキウサギには出会えませんでしたが、大雪山では、めずらしい動植物に出合える機会が多そうに感じました。

私の記憶に新しのがトムラウシ山遭難事故です。 2009年7月16日早朝から夕方にかけて北海道大雪山系トムラウシ山(2141m)が悪天候に見舞われ、ツアーガイドを含む登山者9名が低体温症で死亡した事故です。 旭岳温泉を起点として、旭岳ロープウェイを利用し、姿見駅から歩き始め、白雲岳避難小屋とヒサゴ沼避難小屋を利用しながら大雪山系の主稜線を縦走し、トムラウシ温泉へ下山する2泊3日の登山行動を予定していました。

大雪山は、山小屋というのがなく、避難小屋が宿泊施設になっています。 避難小屋泊まりの場合、食料は登山者が持参しなければならずかなり体力を要します。 山小屋泊まりに慣れた登山者にとっては体力的な負担が大きかったと思われます。 天候悪化と連泊による体力の消耗が事故の原因だったと推測されます。