湖面に蒼い月がさし込んでいる
あたしは月のひかりを浴びながらただ たたずんでいた
水があたしを呼んだのか
足先からゆっくりと浸水していく
腰から下腹部が冷ややかな感じに包まれていく
ふいに指先から水滴がぽたりぽたりと落ち
水面を揺らす
あの時からあたしは乳房を無くしたの
いいえ 片方ずつ切り刻んだのよ
月にいちど流す赤いへどろさえ
今はもう消えうせた
いまやあたしはおんなではないもの
いまやあたしはどちらでもないもの
でも柔らかな曲線がわたしに叫ぶたび
おんなの部品がまだ残っていることを理解するのよ
めしべはないふでちぎりとろう
いたみが我が身を支配しても
おんなであったことを忘れるため
さがを越えるために