ははにおこられて泣いていたあのとき
どこにも行く場所がなくて草むらでうずくまっていた
それは初夏のよいでなまぬるい風が
わたしのきずをひろげた
ただ満月が静かにわたしを見ていた
そっと見上げると
てふてふがあたしの周りで舞っていた
優しく大きく広く黒い羽をひろげて鱗粉を落としながら
いつのまにかわたしは涙もひいて
ワラウ ハシャグ ウタウ
わたしも羽をひろげたよる
ねこじゃらしを手に取り
夏草の上で静かに眠った
てふてふは あさまでわたしのそばに そっと在た・・・