綺羅綺羅と白く透き通った糸を
あの虫は吐いている
月明かりのなかでまるで銀糸のようだ
風にゆられ たゆたいながらも
その糸はしずかにこちらにむかってくる
脚元から糸はゆっくりと巻き付いてくる
脚をおおいかくし
腰にまきつきいずれはあたまをもおおい
姿かたちがみえなくなるのだ
そうしてわたしは繭になる
しろいやわらかな膜をはられ
わたしは熟成してゆく
なにものになるのだろうか
それはわたしにさえも解らないのだ
あたたかなひかりを放ち
彼は粉をまき散らしながら飛び去っていく