太陽が月に恋をした
いつも沈むときそらなんか見上げたことすらなかったのに
地平線に落ちるひととき見上げたそら
青白く妖艶でいてつかみどころのない彼女に
太陽は恋におちた
太陽はまいにちまいにち彼女を見上げては溜息をつく
溜息の数だけそらが曇る

あるとき太陽は落ちるのをやめた
彼女をそらのいちばん上で待った
彼女は昇ってきた

もうすこしで重なりあうそのとき
太陽の熱いほのおが彼女を焼いた
月は溶けてぽうっと蒸発して消えていった

哀しい太陽の恋の話し






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