彼は毎日夜空を見上げていた
降るような星の中で唯一つの月を
蒼白くかがやく月
けして手には入らない憧憬の存在
あるひ
彼は確かにある音を聞いた
「ぽとり」
月から石が降ってきた
ちいさなちいさなその石は
蒼白いひかりを放ち透明感を帯びていた
それは月が夜空でしかいきられない悲しみの結晶
ひとつぶの月のしずくだったのだ・・・