風邪症候群・インフルエンザの処方について


 まず初めにかなりの方に誤解があるようなので注意しますが、インフルエンザに抗生物質は効きません。
 インフルエンザが悪化して肺炎などに移行しそうな場合には投与しますが、それ以外での投与はMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)、O157(出血性大腸菌)のような抗生物質の効きにくい細菌の発生を助けることになります。

 さてインフルエンザウィルスとは東洋医学的にはどんな物でしょうか?
 実はインフルエンザウィルスは人の体を冷やす物なのです。したがってその寒さに対抗するために免疫系が「体温を上げなさい」と体に指令を出します。
 
その結果として高熱を発する訳で、この場合に熱冷ましを使うのはインフルエンザを助けているのと同じです。 場合によっては髄膜炎や肝炎をインフルエンザが起こす場合さえあります。
(厚生省からもインフルエンザ患者に熱冷ましを出すのは慎重にするように。と注意文が出されています。)
 一般にウィルスは温度の低い方が活発に動きます。だから冬に流行するのです。

 では熱冷ましの有効な風邪症候群に関してはどうでしょうか。
 これも最初に述べたような理由で抗生物質の多用は避け、有効な物を考えながら使用しています。
 また多くの風邪症候群の場合もインフルエンザと同じで体を冷やす種類があります。こうした場合、熱冷ましの座薬なども効果的であるかどうか見極めて投薬しています。

 漢方薬の風邪薬の多くは体を温める働きを持っています。
 薬で体を温めることによって免疫系が「体温を上げなくても大丈夫」と判断して指令を送るのを止めます。
その結果として熱が下がるのです。
 後は漢方薬が体の防御能力を活性化して治していきます。
 だからインフルエンザにも多くの風邪症候群にも漢方薬は良く効いて副作用を起こさないのです。

 ただし漢方薬が飲めない方もおりますので、その場合は点滴による栄養補給や水分補給を行ったり、漢方薬以外の風邪薬も使用して経過を見ながら治療を行っています。

 また、風邪はその時々で有効な薬が変わるため、以前出された薬がそのまま効くとは限りません。「以前出された薬があるからいい」と来院しないで、結局肺炎寸前まで悪化してから来院されたケースもありますのでお気を付けください。