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ダル７勝並んだ！挑発マー君「打たれろ」

＜日本ハム８－２阪神＞◇３０日◇札幌ドーム
　日本ハム・ダルビッシュ有投手（２２）が楽天田中に並ぶハーラートップタイの７勝目を挙げた。阪神戦で７回４安打１失点１０奪三振、今季３度目の２けた三振も奪った。開幕戦で１敗した後は７連勝。昨年の１６勝を上回り、２０勝も狙える自己最速ペースだ。パ・リーグ首位の日本ハムは２位楽天とのゲーム差を３とした。
　ムチのようにしなる右腕で、逆襲に燃える虎を、またも完全に屈服させた。ダルビッシュは、マウンドを降りてもアドレナリン全開だった。０６年の初対戦から阪神戦は、負けなしの５戦４勝。高ぶるハートの理由を、にやけながらの直球勝負で明かした。
　ダルビッシュ　阪神戦の時だけは、日本ハムファン（の一部）も阪神ファンになるって聞いていたんで。やるしかないやろ、と思ってました。日本ハムもいいな、と思ったでしょ。
　グラウンドを完全に支配し、最後の最後まで余韻に浸った。
　この日最速は１５１キロ。一時はコンディション不良に苦悩したが、質、キレともに戻ってきた。ポイントは打線のカギになる金本、赤星、鳥谷の左の好打者。チェンジアップ、１４０キロ台中盤の高速フォークを織り交ぜた。全盛期に近づいた速球を生かすため、微妙にタイミングを外し、凡打で仕留められる２球種。「おもしろい。遊び球もないと」と余裕の組み立てで、簡単に封じた。
　難所を乗り切り、トップギアに入った。初回１死から関本に四球を与えたが、続く鳥谷、金本の中軸を完ぺきに切った。２回は３者連続三振。新井、葛城は速球でともに見逃し、反応さえさせなかった。２回までに計４０球を要したが、無失点。５回に桧山に初安打を許すなどして１点は失ったが、７回を４安打。終わってみれば、今季３度目の２ケタ、１０三振。梨田監督も「いいボールがたくさんあった」とたたえた。
　今季から１本数千円もする高級栄養ドリンクを、登板直前に飲んでマウンドへ向かうのがルーティンになった。ヒントはＷＢＣで初対面したマリナーズ・イチロー。練習前などに飲んでいた姿を参考にした。今やほかの先発、中継ぎ陣の一部まで浸透し、同じドリンクを飲んでから登板する。
　この日で師弟関係の楽天田中に、７勝で簡単に並んだ。「いつも『打たれろ』と思ってます。そろそろ負けるでしょ。肩が痛いだの、何だかんだ言っているので」と、マー君も余裕十分に挑発した。日本最北の「虎キラー」は痛快な高笑い、軽快な七分丈パンツでさっそうと、主役を張った舞台を後にした。

小谷野が先制打、ミスを突いて虎狩り

　勝者の鉄則。相手のスキは見逃さない。日本ハム梨田昌孝監督（５５）は「相手のエラーを突いたというかね、少ない（ヒット）本数で点が取れた」と胸を張った。猛打の本塁打攻勢とはひと味違う「強さ」があった。
　１回２死二塁。高橋の二塁ゴロを関本がグラブに当てて落球した。「０」で攻守交代のはずが、一転して一、三塁のチャンス。打席の小谷野栄一内野手（２８）は「少ないチャンスをものにするのが、ウチのいつも通りというか…」。勝負どころと感じていた。打球は一、二塁間を抜けて先制の右前適時打。坪井も左前適時打で続いた。相手のミスを突く攻勢は、貯金を積み上げた４月の戦いと重なった。その後も２回、８回と、相手の失策を確実に得点に結びつけた。
　２５日の中日戦。それまで１６打席無安打と調子を落としていた小谷野は、４番から５番への降格を命じられた。それでも「試合に出させてもらってる以上は、何か１つでも貢献したいと思っている」。打撃の不調を引きずることなく、守備でチームをもり立てた。３試合ぶりの複数安打。気がつけば快音も戻っていた。
　東京から午前の便で移動しての本拠地ゲームだった。本州のチームとは違う過酷な日程だが、梨田監督は「移動ゲームというのは感じなかったね。慣れっこというか」。たくましい選手たちをたたえていた。　

坪井、古巣阪神から初打点

　今季初の２試合連続スタメンだった日本ハム坪井智哉外野手（３５）が、古巣阪神相手に貴重な適時打を放った。１回、２点目となる左前打は、今季の札幌ドーム初安打。さらに阪神戦では０７年６月２日以来、１２打席ぶりの安打で、しかも対阪神の初打点だった。打席に入る応援歌には「阪神！」と叫ぶフレーズがあり「（応援歌が流れていた）やっぱり１球目は打てなかった。あのファンファーレがあるし」と、うれしそうに話していた。

稲葉、好守でチーム救った

　日本ハム稲葉篤紀外野手（３６）の好守が相手に傾きかけた流れを断ち切った。６回１死一、三塁。ライナー性の右飛を捕球した稲葉は、タッチアップする三塁走者には目もくれず、一塁走者新井が飛び出しかけていた一塁へ送球し、併殺を完成させた。「一塁ランナーがすごい出ているのが見えたので、刺せると思った」としてやったり。ただし送球がワンバウンドとなったこともあり、「あれは（一塁の高橋）信二のファインプレーだよ」とチームメートをたたえていた。

中田代打で初凡退、昨年の再現ならず

　“あの日”の再現はならなかった。日本ハム中田翔内野手（２０）が７回に代打で登場。だが直球攻めにバットは空を切り、代打出場では初めての凡退となる三振を喫した。マウンド上にいたのは阪神の左腕筒井。昨年２月１０日の練習試合で、左翼場外へ“プロ第１号”を放った相手だ。「それはわかっていました」と頭にはあったが、結果は真逆。それでも３つのストライクはすべてバットを振ってのもの。「フルスイングできていたし、悪い三振じゃないとは思うんですけど…」。悔しさを込めて、試合後は最後まで居残って打撃練習を行った。

ひちょりがＦＡ権獲得

　日本ハム森本稀哲外野手（２８）が３０日、出場選手登録が８年（１年１４５日）に達し、国内ＦＡ権を初めて取得した。プロ１１年目での権利に「そんなトシになったなぁっていう感じ。今すぐにどうこうできる問題じゃない。今の段階では考えられない」と、今オフに行使する可能性の可否についての明言を避けた。特に今季はレギュラーに定着しておらず、不本意な状況が続いている。「ここ（今季）でダメなら、この先も良くならない感じ。落ちかけた野球人生を見つめ直して考えて、もう１度、輝かせたい」と、厳しい現状と向き合っていた。

5/31日刊スポーツ

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