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８回満塁ピンチに久！梨田ハム必勝リレー

＜日本ハム３－２オリックス＞◇９日◇札幌ドーム
　日本ハム梨田昌孝監督（５５）が、執念の継投策で連勝を飾り、貯金を今季最多の６に伸ばした。３点リードの８回に２番手菊地、３番手林の乱調で１死満塁のピンチを招くと、武田久を投入。今季初めて守護神をイニング途中で起用し、辛くも１点差で逃げ切った。先発藤井の快投をアシストするベンチワークで、首位楽天を１差で追走する２位を死守した。
　一瞬のどよめきは、ハラハラドキドキの熱狂への伏線だった。８回１死満塁。梨田監督が下した判断に、スタンドのファンが驚いた。場内コールされたのは、武田久。基本としてきた１イニング限定起用のセオリーを破る、勝負手を打った。「１年間やっていたらこのようなことは当たり前」。平然と、守護神にすべてを託した。
　ラロッカは２球で追い込むも、ファウル４球で粘られて最後は押し出し。続く後藤の一ゴロでさらに１点を奪われ１点差とされたが、下山を遊ゴロに切った。１点リードを守り突入した９回は１安打を許したが、狙い通りの接戦勝利へと持ち込んだ。捕手も新人大野から鶴岡へスイッチする周到さで、流れを失いかけた場面を、乗り切った。
　急場しのぎのようだが、今後を見据えて繰り出したタクトだった。本来のセットアッパー建山が、前夜も含め、５月に入り７試合中４試合に登板。日本人投手チーム最年長のベテランだけに、梨田監督は「休ませたかった」と狙いを明かした。８回の菊地、林の乱調のケースを想定。厚沢投手コーチから、ピンチの場合には起用の可能性があることを武田久へ伝えていた。
　中４日での登板と心身ともに準備万端のクローザーは、今季最多４３球の力投で、自身シーズン最多、リーグトップの７セーブ目を挙げた。「押し出しはもったいなかったけれど、今日は最低限の仕事ができた」と少しの反省点は残るも、納得の内容だった。好調な打線に頼ることなく、計算通り建山を温存して勝ち切った。アドリブの一面もあるが、理詰めの継投。攻撃的ベンチワークが、会心の接戦勝利を引き立てるスパイスになった。

藤井が今季札幌ドーム初勝利

　日本ハム藤井秀悟投手（３１）が、７回無失点の粘投で今季札幌ドーム初勝利を挙げた。オリックスの拙攻にも助けられ、散発５安打に抑えての今季２勝目。１２９球と球数は多かったが「何とか粘ることができてよかった。強い気持ちを持って相手を抑えようと頑張りました」と振り返った。
　ロッカーが隣の新人捕手大野とは４戦連続の先発コンビだった。「話し合って互いが弱気にならないようにした」。３回に相手抗議で間延びする場面もあったが、リズムを崩さず７回まで投げ切った。梨田監督も「気合も入っていい投球だった。（２回は）併殺でよくしのいだ」と評価した。
　試合後は、移籍２年目で本拠地お立ち台の“ソロデビュー”を果たした。昨季の２度のお立ち台は、野手とセットだったが、ようやく“ひとり立ち”した。交代機については「いつでも代われる準備はしているんで」とポツリ。自虐コメントで報道陣を笑わせたが、完投は０２年から遠ざかっている。今後は、マウンドでも“ひとり立ち”を目指していく。

新妻大野が藤井の好投引き出した

　８回途中で交代した日本ハムルーキー大野奨太捕手（２２）だったが、１０試合目の先発マスクで先発藤井の好投を引き出した。藤井とは４試合連続の先発バッテリーで「リズムやどういう球を投げたいのか分かってきた」。この日、藤井が首を振ったのは「記憶にあるのが３、４回くらい」（大野）と最少だったという。強気と慎重を巧みに織り交ぜたリードにも「考えた配球？　それが仕事なので」と淡々と話していた。

5/10日刊スポーツ

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