Topics

９二塁打で逆転勝ち、単独首位だ

＜西武６－８日本ハム＞◇１９日◇西武ドーム
　日本ハムがパ・リーグタイ記録となる９二塁打で逆転勝ちした。１点を追う９回１死三塁、代打の坪井智哉外野手（３５）が適時二塁打を放ち同点に追いつくと、「ミスター・ツーベース」こと金子誠内野手（３３）の右中間二塁打で勝ち越した。開幕１４試合のうち１１試合で２ケタ安打をマークし、チーム打率は１２球団トップの３割２分３厘と昨年までの貧打線から脱却。５連勝で、単独首位に躍り出た。
　反発する磁石でも埋め込まれているかのように、打球は次から次へと外野手を避けて飛んでいった。左翼線あり、右翼線あり、左中間もあれば右中間にも。試合を決める勝ち越し二塁打の金子誠は「（試合に）出ている人も途中からの人も、みんな全力で準備をしている。（終盤の逆転劇も）そういう雰囲気にみんながなっている」とチーム一丸の勝利であることを強調した。
　開幕以来「ニルイダ」に付きまとわれている。１５日のオリックス戦でプロ野球記録となる７試合連続二塁打を記録。この日も１、３打席目に二塁打を放つと、クライマックスは９回にやってきた。１点差を追いつきさらに１死二塁。カウント２－０と追い込まれながらも、小野寺の１３３キロフォークを逆らわず右中間にはじき返した。勝ち越しの一打がリーグタイ記録となるチーム９本目の二塁打。「今年は開幕からツーベース、ツーベースって言われ続けてるんですけど、自分では意識していない。言われると力んじゃうから、言わないで」と白い歯を見せた。
　１４試合目で１２本目と、昨季の１６本に早くも迫る勢い。シーズンのリーグ記録は０１年オリックス谷（現巨人）の５２本だが、“新ミスターダブル”は驚異の１２３本ペースと量産中だ。「打球の方向がいいと思う。逆らわずに打てているし、自然と人のいないところに飛ぶ」と自己分析。最近の口癖「春の珍事」とは呼べなくなってきたが「いや春の珍事ですよ。北海道はまだ桜が咲いてないでしょ」とおどけた。
　ミスターダブルが強調するようにチーム力での勝利。９回の攻撃が始まるベンチでは、坪井が先頭打者の高橋に「逆転するから絶対打てよ。しかもダブル」とハッパを掛けた。高橋は言われた通りに右翼線への二塁打。描いたシナリオにそっておぜん立てされた１死三塁の同点機、代打坪井は左翼線への二塁打で応えた。「（高橋が）本当に打ちよった。ここで（自分が）打たなかったら何を言われるかわからなかった」。次へとつなぐ意識を全員が持つことで、積み重なった９本の二塁打だった。
　試合後の梨田監督も「打線がジワジワ追い上げたね。二塁打？　なんでだろう、それは全然わからん。（指示で）２ついけとは言ってないよ」と首をかしげた。チームは０２年７月２９～３１日以来で、同監督としては就任２年目にして初めて敵地で西武に３連勝。単独首位にも浮上した。まさに“ダブル”の喜びだ。

宮西今季初勝利「勝利はうれしい」

　日本ハム２年目の左腕宮西尚生投手（２３）が今季初勝利を手にした。３番手で８回に登板し、２奪三振で１回無失点。登板直前に厚沢投手コーチから「たぶんおいしいところあるよ」とブルペンから送り出され、その通りの結果となった。「少し緊張したけど、打線が好調なので思い切り腕を振れた。勝利はうれしいです」と笑顔だった。

先発ローテを再編！中５日も検討

　日本ハムの先発ローテーションが再編される。１８日に６回途中４失点だった藤井が１９日に出場選手登録を抹消され、左腕八木が２２日ソフトバンク戦（東京ドーム）の先発に備え、１軍練習に合流。先発陣の顔ぶれと登板間隔が、当初の予定から変更されることになった。
　ダルビッシュの軸は変わりないが、すでに榊原、藤井が出場選手登録を抹消。最短の１０日間で復帰見込みで、現時点では複数投手の登録＆抹消を繰り返し、ダルビッシュ、武田勝、スウィーニー、多田野の４人＋登録される１～２人を視野に入れる。当初の６人回しから５人に変更し、登板間隔も中６日→中５日も検討している。
　この日の先発スウィーニーは５回途中６失点でＫＯ降板。「なぜ調子が上がってこないか考えないと」と厳しい表情だった。ファーム調整の吉川ら先発候補はいるが、梨田監督は「ダルの次の軸はスウィーニーだから立ち直ってくれないと」と、先発ローテの固定を願っていた。
　好調な打線に隠れているが、ダルビッシュ、武田勝以外の先発陣は防御率４点台以下。厚沢投手コーチは「リズム良くストライクを取ることが仕事だけど、先発はできていない」と頭を悩ませていた。「上げてもらったので結果を出すことだけを考えて、集中して投げたい」と話した八木ら先発陣の奮闘が待たれる。

武田久完ぺき！プロ初の３日連続Ｓ

　守護神武田久投手（３０）が、敵地での３日連続セーブでチーム５連勝を締めくくった。代打赤田から西武自慢の１、２番コンビまで計１３球で料理。３日間すべて３者凡退の完ぺきな火消しに「なんでか、分かんないですけどね」と言いながらも、表情は明るかった。
　９回の逆転劇だったが、ブルペンで戦況を見つめ、準備の怠りはなかった。「何か起きそうな気がしますよね。だから気持ちを切らさずにいられた」。フル回転の先発の乱調を受けて登板の菊地、宮西がつないだリレーを、小さなガッツポーズで完結させた。
　これまで３日以上の連投はあったが、プロ入り初の３日連続セーブを記録し、オリックス加藤に並ぶ今季４セーブ目。活発な打線を頼もしく話しながら「投手もみんなで頑張っていくしかない」と、リリーフ陣の思いを代弁した。

信二４試合連続マルチ！３連勝立役者

　日本ハム高橋信二捕手（３０）が４試合連続マルチ安打で勝利に貢献した。６回に今季３号ソロを放ち、９回には先頭打者としての二塁打で土壇場の逆転劇を導いた。左ひじ付近に死球を受けたが、この３連戦で１３打数７安打の打棒爆発で敵地３連勝の立役者となった。「自分で決めなくていいというのはある」と気を緩ませることはなかった。

4/20日刊スポーツ

Topics
Top