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ダル後悔２回１失点ドタバタ試運転

＜オープン戦：日本ハム２－１横浜＞◇２９日◇札幌ドーム
　日本ハム・ダルビッシュ有投手（２２）がＷＢＣの後遺症に直面した。２９日の横浜戦（札幌ドーム）に先発し、使用球やマウンドの違いに戸惑い、２回を２安打１失点と乱れた。「投げなくてもよかったかな…」と後悔したが、ＷＢＣで封印していたカーブ、チェンジアップの緩い変化球を試投して手応えもつかんだ。楽天岩隈とのエース対決が濃厚な開幕戦（札幌ドーム）へ、ドタバタの試運転を終えた。
　冷静沈着なダルビッシュが、珍しくマウンド上で取り乱した。初回２死三塁。内川への２球目だった。バランスを明らかに崩したフォームで直球を投じ、みけんにしわを寄せた。フルカウントからの６球目。真ん中の１２４キロのスライダーを中前へはじき返され失点した。
　直球が抜け、制球に苦しんだ。初回の打者５人のうち、初球送りバント失敗の仁志をのぞいて、すべてボール先行。ＷＢＣで１００マイル（約１６１キロ）を記録した速球も、この日の最速は１４９キロ止まり。米国での「スーパー守護神」の面影はなかった。
　ＷＢＣ後遺症が想像以上に出た。要因はマウンドの違いとボール、そして疲労。「ずっと硬いマウンドで投げていて、その反動で（ＷＢＣでは）スピードもキレも出ていた。投げていて力が吸収されるというか、出なかった。向こうの感覚で投げたらダメですね」。キャンプ中から赤土のマウンドを意識的に利用してきただけに、接地感などが違っていた。今季初めて投げた国内使用球に関しても「ホンマに軽くて（投球動作の体を使う）タイミングも合わなかった」と打ち明けた。さらに「帰ってきて体も重い」という疲労も、ズレに拍車をかけた。
　開幕での投げ合いが濃厚な岩隈は、オープン戦の登板予定を疲労などを理由に回避した。「岩隈さんみたいに投げない方がいいかな、と思った」とちょっぴり後悔したが、本番までの修正点は明確になった。
　ＷＢＣではほぼ投げなかったカーブ、チェンジアップのテストはできた。２回は１２球中６球が両球種。石川を落差ある１１９キロカーブで空振り三振に仕留めた。「変化球は良かった」と“国内仕様”へとモデルチェンジを行った。梨田監督は「まったく心配していない」と開幕へＧＯサインを出した。
　「（岩隈と）どっちも絶好調というわけにいかないと思いますけれど、いい試合をしたい」とダルビッシュ。歓喜の“代償”とも闘いながら、凱旋（がいせん）マウンドへ向かう。

梨田監督「守り勝つ野球」目指す

　日本ハム梨田監督が上々の手応えでオープン戦を終えた。プレシーズンだけに勝敗に固執はしていなかったが１０勝９敗と貯金１で終了。「投手は人数的にもそろったし、大野や二岡らの加入で競争ができて収穫があった」と総括。今季の戦い方について「打線は３番（稲葉）４番（スレッジ）は決まっているが、その次からはいろいろやり方がある。いい投手なら点が取れないものなので、守り勝つ野球をやりたい」と話していた。

二岡、得意の右狙いで本拠地初安打

　日本ハム二岡智宏内野手（３２）が２９日、本拠地札幌ドームで初安打を放った。横浜戦の４回無死二塁、寺原隼人投手（２５）の直球を、右翼ポール際のフェンスまで運んだ。二塁からスレッジが生還し、５日ぶりに打点も記録。脚部の不安で守備につくことなくオープン戦は終了したが、得意の右方面への安打に、打撃面では手応えをつかんだ。
　低くて速いきれいな放物線を描いたライナーは、右翼フェンスを直撃した。４回無死二塁。二岡の本拠地初安打は、“代名詞”ともなっている右方向への初安打でもあった。「いいところで１本出たかな。札幌ドームに来るまでいい状態ではなかったので、意識的に向こう（右）を狙いました」。脚部の不安で出遅れていたが、オープン戦最終戦で“らしさ”が垣間見えた。
　理想の動きと現在の状態にジレンマはある。首脳陣は開幕前に守備につかせる考えもあったが、足の状態と本人の意向もあってＤＨのみの出場に終始した。オープン戦は１７打数４安打、打率２割３分５厘。「（打撃の）感じはよくなかった。（下半身を）練習の中では使えてきているけど、試合の中ではもう少しかなというのはある」。結果が出ず、焦りといらだちだけが募っていた。
　それでも我慢を重ね、治療と独自の調整メニューを続けてきたことでメドは立った。この日も外野手の頭上を越えた当たりで一塁ストップ。清水外野守備走塁コーチから「ここ（札幌ドーム）でフェン（ス）直（撃）打って、一塁で止まったやつは初めて」とちゃかされたが、シーズンを見越して、まだ我慢の時期。「１週間あるのでうまくやっていきたい」と先を見た。
　４月３日の開幕戦（対楽天）はＤＨでの出場が濃厚だが、梨田監督は「（稲葉、スレッジの）３、４番は決まっているけど、その後ろはいろいろ（組み合わせが）ある」。打線の中軸として、二岡にかかる期待は大きい。

ルーキー大野＆谷元、開幕へ万全

　日本ハムのルーキーの大野奨太捕手（２２＝東洋大）と谷元圭介投手（２４＝バイタルネット）が、最後のオープン戦でも存在感を示した。大野は６回から守備で途中出場し、打者１２人を完ぺきに抑えるリードを展開。「（１点差の）緊張感のある中で出させてもらってありがたかった」。連投テストとなった谷元も打者１人だったが、横浜野口を空振りの三振に仕留めた。２人とも開幕１軍メンバー入りが決まっており、１６６センチの谷元は「僕が背伸びしても仕方ないので、できることをやるだけ」と開幕を見据えていた。

3/30日刊スポーツ

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