耳鼻咽喉科の感染症

通常、鼻腔や咽頭に常在したり、外来感染をおこす微生物(細菌、マイコプラスマ、ウイルスなど)が病気をおこす原因でありますが、これが中耳喉頭気管などにも感染を引き起こします。ですから例えば、咽頭や鼻腔にいる病原微生物と中耳炎の時のそれと同じものが見つかることが、多いようです。ですから、咽頭や鼻腔をしっかり治療しないと、中耳炎の完治も難しい事になります。

         
左急性中耳炎
鼓膜は赤く腫れ膿汁がみえる。右急性鼓膜炎中耳炎     正常右鼓膜

原因菌として、もっとも頻度が高いのが、肺炎レンサ球菌ですが、最近、抗生物質耐性菌が話題になっています。痛みの消失と中耳炎の治癒とは関係がありませんので、正常な鼓膜になるまで、しっかり治療する必要があります。 特に小児の場合はベースに滲出性中耳炎があったりして、治療が長期になることもありえます。

                                                                                            

     
気圧傷害性中耳炎 1(陰圧性)        2(陽圧性)               3 滲出性中耳炎    
1 は3000m登山後のものでつち骨柄にそってと鼓膜後上縁の溢血がみられる
2 は中耳腔内に強い陽圧が加わった例で、つち骨柄にそってと鼓膜後上縁と更に下縁の溢血が特徴
3 は溢血はない
これらは滲出性中耳炎を除いて病原体感染症とはいいがたいが、鼻 咽頭 耳管の炎症が考えられる。

       
    副鼻腔炎と膿汁               副鼻腔炎とポリープ                    古い上顎洞手術例の膿汁


       
    しこつ洞と前頭洞のcandida症
  普通の抗生物質が効かないは
  ずである。
  (外来で前頭洞を開放して確認)



                      
           急性扁桃炎(壊疽性)                     急性扁桃炎
                扁桃炎はこのように大きくはれているものより、小さくて慢性の炎症を
                おこしているものが厄介であし、気づかずにいることが往々ある。

  
蓄膿症はばい菌を殺せばすむものでもない
副鼻腔炎は複雑である。とにかく膿汁の排泄と換気が重要である。
といっても、出口を大きくすれいいというものでもない。なかなか患者さんは100点をくれない。昔からあった鼻外法の手術で大満足の事もあれば0点に近いこともある。しかし、手術後何年もたってみると、耳鼻科医の力量の差がわかる。昔の名人といわれた医師でも患者さんが長命であると嚢胞などの障害がでる事があるが、さすが長持ちしたなと思う。今は内視鏡による鼻内手術がおおはやりであるが、
成績はこれからわかるであろう。ただ30年前にくらべると最近は症例が遙かに少ないが、鼻外鼻内混合手術で数多く長年手術してきた我々とちがった医師の職人的技術よりも、公開された万人向き手術になるであろう。
古くなると、抗生物質は一時的慰めにしかならない。