EL509 p-k NFB アンプ製作・改造記

2008/09〜2012/09 宇多 弘
el509pk.jpg

1 始めに

  超三結から普通の回路によるアンプへの回帰現象が続きます。 終段 P から初段 K 回路に掛ける、所謂 P-K NFB の素直さに期待して、EL509 の専用アンプを作りました。 
 相当以前に 6JS6C/EL509 を挿し換え可能としたテスト専用アンプにて D-NFB 回路やらセミ STC (SS) 回路を実験しました。 しかしその後、これらのビーム管は「超三結ユニパーサル環境」に飲み込まれて、不遇な状態にありました。 そこで今回は EL509 をなんとか前面に押し出そうということになりました。
 回路は、最近組んだ P-K NFB のみのシングル・アンプがなかなか良く、それでは・・・という訳で採用しました。 出力トランス一次側からの局所 NFB にて出力トランスの影響を受けにくいため自由度、再現性も高く、この点は超三結アンプにも似た特徴です。
 ゼロからのスタートでは面倒、2A3/45 準超三結アンプを追い出して、シャーシを転用し遊休部品を掻き集めました。(2008/09)

 その後、初段を半導体化する実験台として本アンプを利用し、後述の回路三通りを試作しました。 結果は何れも真空管による初段とは大差がなく、この規模のアンプではそうする必然性がまずないことを確認しました。(2009/05)
 シャーシ/PT/OPT を再利用更新して復帰しました。(2012/09)


2 実装設計

● 電源トランス
 タンゴ ST-220 を採用しました。(2008/09) MX-205 に載せ換えました。(2012/09)

● 終段の自己バイアス抵抗
 以前に組んだ例と同じ電源トランスで同じ B 電圧、一発 390Ωと決めました。

● プレート・キャップ
 小型のプレート・キャップの良いものが入手できず、例によって自動車部品の空中フューズホルダーを DIY で求め、カナノコで真ん中から二つに切って、勘弁してもらいました。 食い付きもまずまずです。
 テレビセットの「純正品」に交換しました。(2012/09)

● 出力トランス
 タンゴ FW-20S を起用しました。 

● 初段
 初期構成では電圧増幅五極管を使用しました。 終段への直接 C/R 結合も可能ですが、次段に三極管の直結カソードフォロワ・ドライバを介在させ、その負荷から終段に C/R 結合しました。(2008/09)
 その後、半導体初段の実験台として本アンプを利用して、下記回路図に示す三種類の構成を試作・試験しました。 J-FET のみの一段では出力振幅が不足する場合があると考えて、電圧増幅三極管とのハイブリッドに変更しました。 (2009/05)

● ドライバ段
 初期構成では 12AU7/2 (5963/2) によるカソードフォロワを採用しました。 これのプレートを終段プレートで吊れば準超三結、その実験に備えています。(2008/09)
 その後の半導体初段の実験にて、ドライバ段は一旦消滅したのち、形を変えて復活しました。(2009/05)  

● 回路図・・・初段の変更歴です

(1) 6AU6 を採用しました。(2008/09)

el509pk.gif

(2) 6AU62SK117 に置き換えました。

el509sd.gif

(3) 2SK30A-Y および 5963/2 とによるカスケード構成に変更しました。

el509ftd.gif

(4) 上記のカスケード構成をカスケード+SRPP 構成に変更しました。(2009/05)

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3 製作と動作試験

● シャーシと部品配置
 アルミ製 400x200x60 T=1.2mm の汎用シャーシの妻面下方をアルミ・サッシュのアングルにて補強、横型配置としました。 このシャーシに合う保護ボンネットを他に流用したので、写真似示すように四隅にアルミ・サッシュのアングルによる柱を立て、上方縦横方向にアングルの梁を渡して保護フレームを構成しました。 これでヒックリ返しての配線・点検が容易になり、出力管等を挿したままの保管・運搬が可能になりました。(2008/09)
 シャーシを更新し、初期回路にて復帰しました。(2012/09)

● 動作点点検、出来映え
 回路図に示すように、終段 Ek/Eb/Ec2 を点検、何れも安全圏内であることを確認しました。 豪快なビーム管の音で、P-K NFB を深めれば静かになるけど、同時に迫力も落ちるから悩ましい所です。  

以上

改訂記録
2008/09:初版:試作試験
2008/12:改訂第一版:誤字修正、修文
2009/05:改訂第二版:半導体初段実験概要と回路図の追加
2010/05:ユニバーサル p-k NFB アンプに吸収し分解
2012/09:シャーシ/PT/OPT を更新して復帰
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