25CD6-GB Semi-STC pp アンプの試作と改修

2004/05-2008/06  宇多 弘
cd6ssp.jpg

1 いきさつ

 別項に掲げた 6Y6GT C/R 結合 STC pp (プッシュプル、以下 pp) アンプを Semi-STC pp に変更し良好な結果を得たので、双ビーム送信管の 6360 Semi-STC pp に続いて、本アンプ 25CD6-GB の Semi-STC pp を完成しました。(2004/05)
 本アンプは、例外的に分解されずに生き残って時々稼動、さらに信号入力部分にバッファ段を加えて運用性を向上しました。(2006/09)

2 回路

● 回路図:下記を参照願います。

cd6sps2.gif

● 位相反転と初段:
 本アンプでは、位相反転段を省略するためライン入力トランスを利用しました。 このトランスは約 3cm ほどのサイズの、かなりの信号レベルが扱える 600Ω/600Ω であり、二次側を 10kΩ ポテンショにてシャントし、スライダー〜グランド間を抵抗にて二分し、そのセンターを接地する、完全 pp 回路としました。
 これで -6db 低下したゲインは初段にて挽回します。 本位相反転回路は、音像がセンターに安定に定位してシングル・アンプのような効果があります。 
 ただし本回路では、ソース機器の信号出力インピ−ダンスとのマッチングに課題を残します。 その解決方法については 6360 Semi-STC pp の項に記しましたので御参照ください。(2004/05)
 上記のライン入力トランスへの直接入力をやめて、簡単な J-FET 2SK163 のソースフォロワによるバッファ段を附加し、マッチング課題を解決しました。 この措置にてミスマッチに起因するゲイン不足も同時に解消しました。(2006/09)
 初段は一般的な 12AX7 による抵抗負荷の電圧増幅です。

● 電圧帰還段:
 準超三結とするため 12AT7/5965 をカソードフォロワ動作とし初段のプレートから直結としました。 カソードフォロワのプレートは終段のプレートで吊ります。 このような P-G NFB 併用カソードフォロワを pp アンプに適用しても、超三結アンプで得られる固有の音質効果はシングル・アンプの場合とは変わりません。

● pp 終段:
 正式な DCバランス調整回路が正しいのですが、本アンプでは不平衡に強い出力トランスを使用して、単純に個別の自己バイアス抵抗のみにて構成しました。 幾分かでも不平衡=Ip のアンバラおよび二エレメントの相違を吸収すべく、出力トランスの中点にストッピング・ダイオード (SD) を挿入しました。 試運転ではどのカソード電圧・・・従ってカソード電流も 1%程度のバラツキで収まっており、自己バイアス抵抗の加減による Ip 調整は不要と判定しました。  

● 電源回路:
 初期の計画では、四本の 25CD6-GB のヒーターを直列にして AC100V 点火する計画でしたが、本アンプを含む共用外部電源装置を更新して、B 電源は 220V250mA、ヒーター電源は 12.6V3A 二系統により 25V0.6Ax4 を供給可能としました。    


3 できぐあい

 6Y6GT Semi-STC pp と殆ど同じか若干甘い感じの音で似ており、再現性試験としては成功のようです。 
以上

改訂記録
(2004/05) 初版   :試作
(2006/09) 改訂第一版:入力部分にバッファ段を追加、前段使用球の変更。 文章の一部整理。
(2008/06) 改訂第二版:分解・転用