● 位相反転と初段:
本アンプでは、位相反転段を省略するためライン入力トランスを利用しました。 このトランスは約 3cm ほどのサイズの、かなりの信号レベルが扱える 600Ω/600Ω であり、二次側を 10kΩ ポテンショにてシャントし、スライダー〜グランド間を抵抗にて二分し、そのセンターを接地する、完全 pp 回路としました。
これで -6db 低下したゲインは初段にて挽回します。 本位相反転回路は、音像がセンターに安定に定位してシングル・アンプのような効果があります。
ただし本回路では、ソース機器の信号出力インピ−ダンスとのマッチングに課題を残します。 その解決方法については 6360 Semi-STC pp の項に記しましたので御参照ください。(2004/05)
上記のライン入力トランスへの直接入力をやめて、簡単な J-FET 2SK163 のソースフォロワによるバッファ段を附加し、マッチング課題を解決しました。 この措置にてミスマッチに起因するゲイン不足も同時に解消しました。(2006/09)
初段は一般的な 12AX7 による抵抗負荷の電圧増幅です。
● 電圧帰還段:
準超三結とするため 12AT7/5965 をカソードフォロワ動作とし初段のプレートから直結としました。 カソードフォロワのプレートは終段のプレートで吊ります。 このような P-G NFB 併用カソードフォロワを pp アンプに適用しても、超三結アンプで得られる固有の音質効果はシングル・アンプの場合とは変わりません。
● pp 終段:
正式な DCバランス調整回路が正しいのですが、本アンプでは不平衡に強い出力トランスを使用して、単純に個別の自己バイアス抵抗のみにて構成しました。 幾分かでも不平衡=Ip のアンバラおよび二エレメントの相違を吸収すべく、出力トランスの中点にストッピング・ダイオード (SD) を挿入しました。 試運転ではどのカソード電圧・・・従ってカソード電流も 1%程度のバラツキで収まっており、自己バイアス抵抗の加減による Ip 調整は不要と判定しました。
● 電源回路:
初期の計画では、四本の 25CD6-GB のヒーターを直列にして AC100V 点火する計画でしたが、本アンプを含む共用外部電源装置を更新して、B 電源は 220V250mA、ヒーター電源は 12.6V3A 二系統により 25V0.6Ax4 を供給可能としました。