◆ 初段、電圧増幅〜終段より P-K NFB 併用 :6BM8〜三極部
◆ カソードフォロワ〜終段 P-G NFB 併用 :12AU7/12BH7A パラレル接続 or 12B4A
◆ 終段 G1=グランド、G2=カソフォロ・ドリブン:6BM8〜五極部
前段〜カソードフォロワ段間は C/R 結合として安定稼働を目指しました。
(2) 悩ましいカソードフォロワ・ドライバ管の選定
以前の水平偏向出力管等の G2 ドリブン・アンプ実験では 12AU7 (5814/5963) {以下、12AU7 族} パラレルでは力不足で 12B4A を起用しました。 本機でもその可能性があるものの、一応は 12AU7 族/12BH7A パラレルで押してみて、ダメなら取り替えればよい・・・で先に進めます。
(3) P-G NFB を併用したカソードフォロワ・ドライバ
ユニバーサル G2 ドリブン・アンプでの実験結果に基づき、カソードフォロワ・ドライバのプレート電圧供給は、終段のプレートと共用して、シッカリと P-G NFB を掛けました。 ゲインの低い・・・μの少ない G2 のドライブであっても、P-G NFB を併用すれば、緩い低音域を引き締める効果があることをユニバーサル G2 ドリブン・アンプにて確認してあります。 なお、カソード挿入の抵抗負荷には、FET 2SK117-GR ダイオード接続の「代用定電流素子」を直列に挿入すると NFB が深くなるためか、音質的に効果があります。
(4) 最後の一押し、P-K NFB
初期には初段は無帰還でしたが、歪み感が残るので P-K NFB を併用してスッキリさせました。
(2) K〜G1 間電圧〜Ip の設定
ユニバーサル G2 ドリブン・アンプでの前例を倣って、コントロールグリッド
(G1) はグランド〜接地に直接落としました。 スクリーングリッド電圧 (Eg2)
を 100V 近辺とかなり低く設定しても、プレート電圧 (Ep) は併用する B電源電圧
(Ebb) =260V とやや高いので、プレート損失 (Pp) を安全圏内に抑えるには、自己バイアスを通常の A1 シングル (220Ω程度) より大幅に低くはできないであろうと考え、やや浅い辺りにと見当をつけて180Ωとしました。
(3) カソフォロ段の動作点調整
カソードフォロワ段の自己バイアス抵抗および負荷抵抗が高すぎると、流すプレート電流 (Ip) が少なくて、6BM8 の G2 に信号電圧を与える以前に、十分なスクリーングリッド電圧 (Eg2) および同電流 (Ig2) が供給されず、目標の G2 電圧に達しません。 電圧配分は、抵抗値をあれこれ取り替えて感じの良いポイントを探った結果、下記の値に落ち着きました。
◆ カソードフォロワ自己バイアス抵抗 (Rks) = 2.7kΩ
◆ カソードフォロワ負荷抵抗 (Rkl) = 27kΩ
カソフォロ管の変更等: 取り敢えず 12AU7 族 パラレルでも動作しますが、12BH7A に挿し換えるとドライブ力に余裕感があり、変更しました。 12B4A に変更する程の不足ではないと割り切りました。
電源:
外部電源から約 260V80mA の B 電源、および 6.3V2.7A/12.6V1.35A (L/R 直列の場合) のヒーター電源の供給を受けます。
回路図:
上記のような計画と実装を経て、安定動作状態に至ったのが下記回路図です。
初段、電圧増幅 :6BM8〜三極部
カソードフォロワ〜終段 P-G NFB 併用 :12AU7 族 パラレル接続
終段 G1=グランド、G2=カソフォロ・ドリブン:6BM8〜五極部
(2) (代用) ライン入力トランス反転・・・要注意点(やや脱線です)
例によって Tr アンプのドライバートランス山水 ST-75 の一次二次逆使用、二次側は抵抗中点落としによる、ライン入力トランス反転としました。 回路図をご参照ください。
筆者は、本機を主に CD プレーヤ直結にて運用しています。 この回路では、最近の 200Ω 4V 出力などの仕様を持つ CD プレーヤ製品では、何ら問題は起きません。 しかし、アンプとしては標準的な入力仕様ではないので、プリアンプとの接続等では、十分にご注意ください。
不注意または仕様の不一致等により、アンプが不良の烙印を頂戴するのは残念なことです。 自宅以外のデモまたは鳴らし会等で再生する場合には、常用の CD プレーヤを一緒に持参されるのが確実と考えます。 もし、予め用意された CD プレーヤ、またはプリアンプを使用する場合には、仕様が明らかな場合でも予め接続して動作確認するようお勧めします。
(3) 出力トランス
正確に DC バランス調整を行うなら 5kΩ-5kΩ/8Ωの 10W 仕様であれば十分でしょう。 最近、廉価で結構な性能の小型プッシュプル出力トランスが市場に現われて、選択には困りません。 しかし球を挿し換えたり、電源電圧変動などにより DC バランスが少々崩れるのを許容するなら、不平衡成分に強い大型トランスがよいでしょう。
(4) 動作点設定
6BM8 G2 ドリブン・シングルアンプと同じ構成、同じような電圧配分とします。
(5) 電源
シングルアンプと同じ、外部電源から約 260V160mA の B 電源、および 6.3V4.2A/12.6V2.1A のヒーター電源の供給を受けます。
(6) 回路図
6BM8 G2 ドリブン・シングルアンプを上下に重ねたものです。 12AU7 族 パラレルによるカソードフォロワ段は、シングルアンプではやや力不足を感じたので、自己バイアスと負荷抵抗を減らして強化します。 また初段のライン入力トランス反転まわりは、チョットひねった回路なのでご注目ください。 一見、対接地間のストレー容量などが不平衡らしく見えますが、実用上は何ら支障はありません。
出力抵抗を計って見たら高めに出たので、出力トランスの二次側の 0-4Ωを 4-12Ωに変更し、計算上では 9-9kΩ/8Ωとしました。 但し回路図は変更してありません。(2003/07)