多極管ユニバーサル超三結<チューブ・チェッカ>アンプの製作・拡張と集約

1999/07〜2018/08 宇多 弘
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多極管ユニバーサル超三結アンプ

1 とにかく出力管は幅広く面倒見よう

 筆者が超三結アンプを特定の出力管毎に組んで実験していた頃、アンプの数が増えて増えて置き場所にも困り、なんとか汎用化して数を減らさなければ・・・と「多管種対応アンプ化」を模索していた時期がありました。 超三結アンプでは簡単には行かないようだけど、普通の回路による多管種対応ならば自己バイアス抵抗可変か固定バイアス可変にて出力管を挿し換えする筈・・・などと考えていました。
 当時、某氏によれば色々な出力管を挿し換えて稼動できる多管種対応アンプを{悪口的に?}「チューブチェッカ・アンプ」と呼ぶとのことでした。 それならイッソ逆手に取って多管種対応した超三結アンプは「超三結チューブチェッカ・アンプ」と呼ぼう・・・(1999/07)
 その後、拡張仕様にてソケット装備変更、シャーシ更新、出力トランスのプラグ・イン化と固定化、同格アンプを更新改造し旧を分解したり、分家したり統合したりの紆余曲折・・・風雪に耐えた最後の砦、シブトく生き残っています。 さらに本ページの内容には不要部分やら意味不明箇所もあり、繰り返しリフォームしました。(2014/08), (2018/08)

1.1 コトの始めは水平偏向出力管の料理から・・・

 テレビ受像機の水平偏向出力管 6DQ6-A/-B, 6CU6 等がみな類似であると目を付けて、これらを一緒に超三結アンプとして料理しようと考えて・・・モタモタしている矢先に、会員の高橋さんの 12B-B14 (6G-B7 同等) の超三結アンプに先を越されてしまいました。
 本アンプの計画時点にては頻繁な変更・改造が予想されたので、アンプ本体および電源部は分離して製作しコネクタ接続としました。 この時点にて既に EL34/6CA7, 6L6-GB/-GC 向けの超三結アンプは、<7AC/8EP> 口金接続対応のソケット配線により挿し換え可能として動作確認していました。(1999/07)
 またメタル管の 6F6/6L6/6V6(口金接続=<7S>)を挿さずに、GT 管または G 管(口金接続=<7AC>)を挿す限りではピン#1 が G3 接続となっている EL34/6CA7 (口金接続=<8EP>)もピン#1=G3 をソケットにてカソードに接続して収容できました。 従って、各管種対応のソケット・アダプタの互換性としても口金接続=<7AC> 一つで確保した訳です。
 別途に追加試作し運用していた水平偏向出力管専用の超三結アンプは、本アンプを改造して統合・吸収し、名実ともに多極管ユニバーサル超三結アンプとなりました。(2000/05) 
 それ以後の最近までの拡大状況は詳細は後述の「1.3 汎用性を向上して・・・相次ぐ範囲拡大」をご参照ください。(〜2014/08)

1.2 初期の各種出力管の取り込み

 ユニバーサル化に当たり、新たな出力管の動作点の対応方法をプレビューしました。 

 (1) 初段カソード抵抗の加減によるバイアス+嵩上げ電圧調整、
 (2) 水平偏向出力管ではブリーダ・ドロッパによる SG 電圧調整、
 (3) 口金接続 <7AC> 適合ソケット・アダプタ (およびプレートキャップ) 併用にて挿し換え、
 (4) 供給 B 電源電圧の変更等、

下記の出力管を逐次動作させてみて、大抵の多極出力管は何とか 3グループに分類できそうだと気がつきました。
・・・・・EL34/6CA7, 6L6-GB/-GC, 6DQ6-A/-B, 6AV5-GA, 6Y6-G/-GT, 6384, 6V6-G/-GT

 6V6-G/-GT の互換運用環境を整備する際に、オーディオ管は大小の 2グループ、水平偏向出力管は 1グループの 3グループに分けて、大抵の出力管(用法)ではカソード電圧が 60〜65V に保たれる「カソード電流のグループ」にて分類しました。 グループ毎に終段カソード抵抗(嵩上げ+自己バイアス)をスイッチにて切り替えられるように、その抵抗値をカット&トライしました。 一方、水平偏向出力管グループに対して、 SG 電圧を低く設定するよう終段カソード抵抗切り替えスイッチと連動させました。
 すなわちこのような方法にて初段カソード抵抗の加減による動作点調整なしに、終段のカソード抵抗を三通り、SG 電圧を二通りのスイッチ切り替えのみにて、三グループの出力管が挿し換え運用できる状態に半ば力ずくで持ち込んだ訳です。 下記が 3グループ分けの概要です。

● 75mA 級・・・・・・・・(大型オーディオ管:EL34 など、SG 電圧は P 電圧なみ)
● 60mA 級・・・・・・・・(水平偏向出力管 :6BQ6 族 など、SG 電圧を落す)
● 50mA {以下を含む} 級・・ (中小型オーディオ管:6V6-GT など、SG 電圧は P 電圧なみ)

 このように変更して、前記の一群の出力管に対応することを確認しました。 さらに若干の差・・・例えば 6F6-G/-GT, 6K-6GT, 6AR5 等では、50mA に達しないけれど・・・五極管初段による超三結 V1 回路がもつ DC サーボ的な自己調整機能により、安全な値に落ち着くことを確認しました。(2000/05)
 水平偏向出力管類については、若干の勿体なさを覚悟にて 6BQ6 族 を基準にした簡略化にて「水平管基準」と定め、規格オーバーしないように条件を低く抑えしました。(2014/08)

1.3 汎用性を向上して・・・相次ぐ範囲拡大

 上記の手直しおよび挿し換え操作にて、各管種の動作確認が一挙に進みました。 すなわち筆者にとっては新規の出力管を入手した場合、直ちに超三結アンプとして動作確認が可能になった訳であり、下記表はその経過です。 

各管種試験履歴の経過一覧(〜2018/08)
番号
年月
出力管
動作環境、改造内容等
1
1998/12
6L6-GB/-GC
EL34/6CA7 超三結アンプにて同一動作環境確認
2
1999/07
6DQ6-A
SG 電圧調整切り替え、プレートキャップ対応
3
1999/09
6AV5-GA
水平管基準、専用(ソケット)アダプタ併用 (各口金→7AC)
4
1999/12
6Y6-G/-GT
水平管基準、低電圧 260V 対応
5
2000/04
6384
EL34 動作環境、専用アダプタ併用
6
2000/05
6V6-G/-GT 他
3グループ対応切り替え方式に改造、収容
7
2000/05
6G-B7
水平管基準
8
2000/05
6BQ5, EL33
6V6-G/-GT 基準、6BQ5=専用アダプタ併用
9
2000/05
6CW5
6V6-G/-GT 基準、低電圧 220V、6BQ5 用アダプタ兼用
10
2000/06
6AU5-GT
水平管基準、低電圧 260V、6AV5-GA 用アダプタ兼用
11
2000/06
5881, 807/1625
EL34/6L6-GB 基準、(1625=Eh、ソケット+Pキャップ)
12
2000/09
KT66, 6G-B8, KT88
EL34/6L6-GB 基準、三土会参加者提供
13
2000/09
6P36C (=EL500/6GB5)
水平管基準、専用アダプタ、三土会参加者提供
14
2000/09
6W6-GT
水平管基準、低電圧 260V
15
2000/09
6146/S2001
水平管基準、専用アダプタ
16
2001/01
6CL5
水平管基準、専用アダプタ
17
2001/03
6AQ5/6005
6V6-G/-GT 基準、6AR5, 6DS5 用アダプタ
18
2001/06
EL509, 6JS6-C
水平管基準、各専用アダプタ
19
2002/01
6BK5
6V6-G/-GT 基準、専用アダプタ
20
2002/04終段 Ek 監視リレー式初段故障時対策回路の試験
21
2002/12
(改造対象) トップ・プレート管
専用アダプタ+Pキャップにて固定モジュール化
22
2002/12
6G-B3, -B3A, -B6
水平管基準、P-cap 付き共通アダブタ化
23
2003/04
6BQ6-GTB, 6CM5/EL36
水平管基準、P-cap 付き共通アダブタ化
24
2003/06
12DQ6-A, 12G-B3, -B7
同上、Eh 一時対応
25
2003/06
12E1, 6CU6
同上
26
2003/10
25CD6-GB
同上、専用アダプタ、Eh 一時対応
27
2004/07一号アンプ廃止〜三号に集約、ソケット 2種を装備
28
2005/04
6CD6-GA
水平管基準、25CD6-GB アダプタ利用
29
2008/10
41, 42, CZ-504D
<6B~7AC> 共通アダプタ, CZ-504D〜ヒーター1Ω直列sw
30
2010/05
CV450
専用アダプタ, Ep=Esg 動作扱い
31
2012/05
(水平偏向出力管挿し換え対応)
No1. ソケット <7AC~6AM/8GT> SW 切替に変更
32
2014/08
6CD6-GA/6CL5
No2. <5BT> ソケット装備, Ep=Esg=175V 動作対応
33
2018/08
6AV5-GA
No2. <6CK> ソケット装備


2 発展と集約・・・拡張と整理

 話の順序が逆ですが、ここまでは多極管ユニバーサル超三結アンプの発生後、逐次どのように汎用化を進めてきたか、を概要説明しました。 以下にはその経過詳細を補足します。  

2.1 汎用化の試行錯誤・・・経過概要

 ユニバーサル化とはいうものの、いろいろな失敗および不都合の克服の連続、なかなか「決め手」には至らず広げたり絞ったりのくり返しを経ました。 一方では埋もれがちな水平偏向出力管の利用促進のための環境整備に力を入れてきました。 その過程にては、かならずしも水平偏向出力管に分類されない管種であっても類似の Esg を低く設定する動作例にて、動作環境が適合する場合はグループに含めました。(2009/09)

汎用化経過概要一覧
1999/07汎用超三結「一号アンプ」 三種のソケットを装備、多種の出力管に対応
2001/03小形管対応「二号アンプ」 小形管グループ(注) を対象に含めてカバーするも、過度の汎用化
にて操作が複雑、稼動率が上がらず運用停止分解 (2001/11)
2002/03〜初段故障時対策回路の追加 「リレー検知方式」は試験、「Zダイオード方式」にて障害対策回路
2002/04「大形出力管汎用超三結アンプ」 KT88/6550 超三結アンプを汎用化改造、水平偏向出力管に対応
2009/09〜「一号アンプ」二代目を整備 二系統ソケット装備にて、大形出力管・水平偏向出力管に対応
2012/05〜一台に統合整備 <7AC~6AM/8GT> スイッチ切替、<5BT> の二種ソケット装備
2017/05〜種別・系統の整理<7AC~6AM/8GT> SW、<6CK> の二種装備
(注) 小形管グループ=6DS5, 6AG7/6197/6CL6, 12BY7-A

2.2 カソード抵抗およびスクリーン電圧でグループ化および試行錯誤

 多極管ユニバーサル超三結アンプを実現する上での大きな課題は「唯一つ」、「初段の動作点調整を一定にしたまま、出力管を換えた都度 K/SG の抵抗(電圧配分)の切り替えだけで、正常な超三結アンプとして動作させる方法はないか?」と言うことでした。
 例えば 6L6-GB/-GCEL34/6CA7 では、既に無調整差し換えを実現し、この二者および類似管グループは既にセット化済みでした。 それを一般化しようという結構大胆な発想にて実現に掛かりました。
 精密な動作点調整を経たほうが音質面やフルパワー運用前提では好ましい訳ですが、気軽に出力管を交換しながら聞き流すなら、若干の不都合は覚悟してスイッチ切り替えだけの無調整=固定が操作上便利との発想でした。 前記の繰り返しですが、強引に下記の三種に押し込んだ訳です。(1999/07)

● 75mA 級・・・・・・・・(大型オーディオ管:EL34 など、Esg~=Ep)
● 60mA 級・・・・・・・・(水平偏向出力管 :6BQ6 族 など、Esg<Ep)
● 50mA {以下を含む} 級・・ (中小型オーディオ管:6V6-GT など、Esg~=Ep)

 Esg 供給もグループ別に設定しました。 何れのグループも Rk の切り替えとの連動スイッチ・・・二回路二接点中点開放のスナップ SW または二回路三接点ロータリー SW・・・にてブリーダ・ドロッパを選択し Esg を供給します。(2000/05)

 さらに欲張って小形管グループ=小形出力管・映像増幅管を追加、下記の 4 グループになりました。(2001/06) 

出力管のグループ分け一覧
(G1)映像増幅管
小型オーディオ管
やや低い Ep>Esg 動作
Ip+Isg=40mA 以下
6197/6CL6
6AG7/-GT, 6DS5
基準
(G2)中型オーディオ管Ep=Esg, Ip+Isg=50mA 以内、
Pp=15W 以下
6V6-G/-GT 基準
(G3)水平偏向出力管低 SG 電圧のビーム管6BQ6 族 基準
Pp=25W 以上を含む
(G4)大型オーディオ管Ip=75mA 前後, Pp=25W 以上 EL34, 6L6-GB 基準

スクリーングリッド電圧の設定法一覧
(G1)映像増幅管
小型オーディオ管
水平偏向出力管より高い Esg を要し、高めに統一。
汎用化環境では適正 SG 電圧供給が困難、廃止分解。
(G3)水平偏向出力管6BQ6 族 は、ブリーダ兼ドロッパにて Esg は接地から約 210V、
対カソード約150V を確保し統一。
(G2
G4)
中大型オーディオ管6V6-G/-GT, 6L6-GB, EL34 等、Esg=B 電源電圧なみ管種では、
ドロッパ抵抗にて Esg を下げ、OPT 抵抗分による Ep 低下を調整。

 しかしグループ (G1) の小形出力管・映像増幅管に対応した二号アンプ(2001/03 製作)では、挿し換え時の操作が下記のように煩雑にて稼働率が上がらず、運用停止・分解しました。 なお回路図は参考用に残しました。(2001/11)

 ◇ 各管種毎に個別ソケット・アダプタが必要、
 ◇ 個別に異なる SG 電圧を要し、汎用化での適正な SG 電圧の供給が困難、
 ◇ 挿し換えの都度、 Ek モニタ監視にて動作点設定変更・調整操作が必要。

2.3 規格上の Pp および動作例との不一致

 6CU6 の規格では Pp= 最大プレート損失が 11W に係わらず、動作例では 250V 57mA = 14.25W となっています。 また 6BQ6-GTB を水平偏向出力管の部にて参照すると同様 11W であるに係わらず、動作例ではオーバーしています。 ところが一般出力管の部にての 6BQ6-GTB の項では 6CU6 互換とあり、更にオーディオ用ならば Pp = 14W とのコメントがありました。 オーディオ用ではピーク振幅に達する時間比率が僅少、デューティ・レートが低くて済むためと考えられます。(1999/07) 

 6AV5-GA の規格でも同様でした。  Pp = 11W にも拘わらず、動作例では 6BQ6-GTB/6CU6 と全く同じ値、従って前記と同様にオーディオ用ならば Pp = 14W は可能と解釈しました。 実際問題として、6AV5-GA を本アンプ等に実用して以来、劣化不良を起こした例はありませんでした。(2001/01)

2.4 水平偏向出力管の利用促進、安全性の配慮

 次第に種類が増える多様な口金接続をもつ水平偏向出力管一族はソケット・アダプタが「足枷状態」にありました。 いろいろな改造経過を辿った末に、一般出力管および多数の水平偏向出力管に対応するため、<7AC/6AM> 共用ソケットとし、アダプタ併用を避けてスイッチ切替にてプレート配線やら内部接続の切り放しに対応しました。 さらにシングル・エンドの 6AU5-GT, 6AV5-GA (<6CK> ソケット) は安全性が高いのでアダプタ運用とし、その跡地に 6CD6-GA, 6CL5 対応 <5BT> ソケットを装備しました。(2014/08) しかし <5BT> 属は動作例では Ep=Eg2=175V とあり、事故防止の観点から <6CK> に変更 しました。 (2018/08)

水平偏向出力管および類似管の例外ケース一覧
(1)6Y6-G/-GT水平偏向出力管以外ながら類似環境にて動作、 6DQ6-A/-B 基準としながら、Pp および Ep 等の制限より Ep=200V 程度〜カサ上げを加えて Ebb=260V 限定運用。(1999/12)
(2)6AU5-GTEbb=280V にて Pp=10W 目一杯、Ebb=260V 限定運用。(2000/06)
(3)6W6-GT水平偏向出力管以外ながら類似環境にて動作、Pp=12W と余裕はあるが、動作例では Ep=200V, Esg=125V とあり、6Y6-G/-GTなみに Ebb=260V 限定運用。(2000/09)
(4)6146 族/S2001送信管なるも動作試験の結果 6DQ6-A/-B なみ Ep=250V, Esg=125V 近辺にて Pp=15W (Ppmax=20W にて余裕) 、挿し換え運用性の観点から水平偏向出力管に分類。(2000/10)
(5)CV450水平偏向出力管に類似、ただし G3=pin#1 と特殊な口金接続にて専用ソケットアダプタに着装、動作例は Esg=Ep 、オーディオ管として復帰。(2010/05)
(6)6CL5
6CD6-GA
Ep=Esg=175V の動作例からオーディオ管なみ扱いにて Ep=Esg に設定、Ebb=260V 限定運用と。(2014/08)

2.5 汎用化対象外の出力管

 対象外とした主たる理由は下記の各項です。(2002/04) ただし一部は B電源/ヒーター電源/ソケットの一時改造・変更などによる動作試験のみの対応例もありました。 6BM8 は五極管部対応のアダプタを用意し試運転が可能です。(2014/08)
  (1) ヒーター電圧が特殊で切り替え要、
  (2) 適正な動作電圧または動作点確保が困難、
  (3) 専用ソケット・アダプタの併用を要する・・・アダプタが無限増殖しかねない、・・・などです。 

汎用化しにくい出力管の例一覧
管種
可能性または課題など
ST管、6360 パラレルでは専用ソケット・アダプタにて吸収できそう
1619, 1624フィラメント電圧=2.5V/ハムバランサ切り替え
12V管等 (12A6, 1625) ヒーター電圧+ソケット (1625=UT/大形7ピン)
6LR8/6LU8専用ソケット・アダプタ、三極部不使用、B 調整
6BM8/6GW8専用ソケット・アダプタ、三極部不使用、B 調整
6AG7/6197/6CL6
6DS5, 12BY7-A
専用ソケット・アダプタ、
汎用化環境では適正 SG 電圧供給が困難 (2002/12)
コンパクトロン水平偏向出力管専用ソケット・アダプタ、しかし大変魅力的

2.6 電源まわりの多様化対応

 初期一号アンプでは、外部電源の約 310V の B 電源を流用しました。 従って、カソード電圧 Ek を引いた残りがプレート電圧 Ep となり概ね 250V と統一され、出力管によって少し異なるけれど目をつぶりました。
 一部の管種では Ebb=260V 前後に降圧を可能としました。(1999/07) 
 更に低い B 電圧に備えたタップを設けて選択可能としました。(2003/06) 

3 ほぼ形が整って・・・

3.1 分家から強引に一台に

 チューブチェッカ・アンプとして多様な改造経過を経て、ある程度の「分家」を経た後、遂に一台のチューブチェッカ・アンプとして統合しました。 挿し換えの手続きが煩雑になったものの、挿し換え頻度は予想より低いこともあって、スイッチを併用してアタプタ着装をへらしたり、アダプタ併用差し替えの運用時の安全性等を考慮しました。(2014/08)

3.2 管種別の挿し換え方法

 挿し換え方法およびソケット・アダプタ併用の形態別にグループ分けしました。(2014/08)
 <6CK> 口金接続の 6AU5-GT, 6AV5-GA 以外の管種の挿し換え時には、モード切替スイッチを <7AC> モードにセットし、下記の手続きを経ます。(2018/08) 

(1) ノーマークの GT 管種は <7AC> 口金接続のソケットに挿入します。
(2) MT 管およびシングルエンド GT 管種には *マークを付しました。
(3) <6AM/8GT> 接続口金の管種には ++マークを付しました。 これら管種の差し替えには 
  切替スイッチを <6AM/8GT> モードとしてプレート・キャッブを接続するか、または
  切替スイッチを <7AC> モードとして <6AM/8GT> 共通のプレート・キャップ付き
  ソケット・アダプタ併用挿し換えのいずれもが可能となりました。
(4) 管種毎に特定のプレートキャップ付きソケット・アダプタに固定的に着装して
  挿し換え運用する管種は赤字にて 管種名 # マークを付しました。
(5) ST 管 <6B> 接続の 41, 42 および CZ-504D (ヒータードロッパスイッチ併用) には
   $マークを付しました。

ソケット・アダプタ併用の形態別管種別グループ分け一覧
<7AC~6AM/8GT> モード切替スイッチ設定に要注意。
グループ
Ep=250V
(Ebb=310V)
Ep=200V
(Ebb=260V)
(G1) 映像増幅管等 本アンプ非対象・・・6DS5*, 6AG7*/6CL6*/6197*, 12BY7-A*-
(G2) 中型 オーディオ 管
(Pp<15W) Ep=250V
6V6-G/-GT, 6AQ5*/6005*, EL33,
41$, 6K6-GT, 6AR5*, 42$, 6F6-G/-GT,
CZ-504D$ (若干Ebb↓), 6BQ5*/7189(A)*, 6BK5*
別途Ep=160V
(Ebb=220V)
6CW5*
(G3) 水平偏向出力管/
送信管 Ep=250V
6AV5-GA*, 6AU5-GT* (若干Ebb↓), 6BQ6 族++, 6CM5++,
6CU6++, (6DQ6-A/-B)++, (6G-B3/-B3A/-B6/-B7)++,
12E1++, 6146/S2001#, 6JS6-C#, 6P36C#, EL509#
低電圧電源
6Y6-G/-GT, 6W6-GT
(G4) 大型 オーディオ 管
(Pp>=15W) Ep=250V
EL34/6CA7, 6L6-GB/-GC, 5881, 6384*,
KT66, 6G-B8, KT88, 6550, 807#, CV450#
低電圧電源 Ep=Esg
6CD6-GA, 6CL5

3.3 回路図など

 分解転用した二号アンプは、参考用に回路図を残しました。(2002/12)

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一号アンプ回路図

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二号アンプ回路図


4 出来映え、用途、効果、以後の設計への反映

● どの出力管も特に変わった音も出ず、動作上特に変わったことはなく順調に稼働し、不定期に出力管を挿し換える常用アンプとなりました。 本アンプの整備にて個別管種対応にて製作した超三結アンプを大幅にリストラしました。(2001/10) 
● 一般のオーディオ管ファンには OTL 用法や G2 (SG) ドライブ用法向きと誤解・敬遠されがちな水平偏向出力管が、一般的なシングル用法にも適することの「アピール機能」の具備を発見しました。
● 後の新規追加出力管はほとんどが水平偏向出力管でもあり、極めて短時間に動作確認できるなど、ユニバーサル化は正解であり効果的でした。 
● 特定の出力管の寿命が尽きたらそのアンプは終わり、という状態を避けるには汎用化が有効です。 一方、汎用化には操作が複雑化する要素を伴って自ずと限度があるため、適切な範囲に留めるべきと知りました。
● さらに以後に企画・製作したアンプでは、多少なりとも挿し換え可能な出力管を事前に検討して盛り込むように心掛けて、増殖を抑制しました。 (2007/08)
以上

改訂記録
(1999/07):初版
(2000/05):6V6-G/-GT の運用、Rk 切り替え方式改造
(2001/03):二号アンプの製作
(2001/11):二号アンプの分解・転用
(2003/04):水平偏向出力管等のプレートキャップ付きソケットアダプタ固定モジュール化
(2003/06):外部電源の改造・変更に係わる小修正ほか短期対応
(2005/04):文章整理、表への部分移行
(2007/08):再度文章整理
(2008/10):41, 42, CZ-504D の追加、文章整理
(2010/05):CV450 専用ソケットアダプタ、動作電圧設定条件を整備、文章整理
(2012/05):旧一号アンプは陳腐化にて分解、旧三号アンプを新一号に変更し統合
(2014/08):不要部分の削除等文章整理、表現正確化のための追加修正
(2018/08):部分変更および文章整理、
End of text