(1) 初段カソード抵抗の加減によるバイアス+嵩上げ電圧調整、
(2) 水平偏向出力管ではブリーダ・ドロッパによる SG 電圧調整、
(3) 口金接続 <7AC> 適合ソケット・アダプタ (およびプレートキャップ) 併用にて挿し換え、
(4) 供給 B 電源電圧の変更等、
下記の出力管を逐次動作させてみて、大抵の多極出力管は何とか 3グループに分類できそうだと気がつきました。
・・・・・EL34/6CA7, 6L6-GB/-GC, 6DQ6-A/-B, 6AV5-GA, 6Y6-G/-GT, 6384, 6V6-G/-GT
6V6-G/-GT の互換運用環境を整備する際に、オーディオ管は大小の 2グループ、水平偏向出力管は 1グループの 3グループに分けて、大抵の出力管(用法)ではカソード電圧が 60〜65V に保たれる「カソード電流のグループ」にて分類しました。 グループ毎に終段カソード抵抗(嵩上げ+自己バイアス)をスイッチにて切り替えられるように、その抵抗値をカット&トライしました。 一方、水平偏向出力管グループに対して、 SG 電圧を低く設定するよう終段カソード抵抗切り替えスイッチと連動させました。
すなわちこのような方法にて初段カソード抵抗の加減による動作点調整なしに、終段のカソード抵抗を三通り、SG 電圧を二通りのスイッチ切り替えのみにて、三グループの出力管が挿し換え運用できる状態に半ば力ずくで持ち込んだ訳です。 下記が 3グループ分けの概要です。
● 75mA 級・・・・・・・・(大型オーディオ管:EL34 など、SG 電圧は P 電圧なみ)
● 60mA 級・・・・・・・・(水平偏向出力管 :6BQ6 族 など、SG 電圧を落す)
● 50mA {以下を含む} 級・・ (中小型オーディオ管:6V6-GT など、SG 電圧は P 電圧なみ)
このように変更して、前記の一群の出力管に対応することを確認しました。 さらに若干の差・・・例えば 6F6-G/-GT, 6K-6GT, 6AR5 等では、50mA に達しないけれど・・・五極管初段による超三結 V1 回路がもつ DC サーボ的な自己調整機能により、安全な値に落ち着くことを確認しました。(2000/05)
水平偏向出力管類については、若干の勿体なさを覚悟にて 6BQ6 族 を基準にした簡略化にて「水平管基準」と定め、規格オーバーしないように条件を低く抑えしました。(2014/08)
各管種試験履歴の経過一覧(〜2018/08)
番号 | |||
1 | 1998/12 | EL34/6CA7 超三結アンプにて同一動作環境確認 | |
2 | 1999/07 | SG 電圧調整切り替え、プレートキャップ対応 | |
3 | 1999/09 | 水平管基準、専用(ソケット)アダプタ併用 (各口金→7AC) | |
4 | 1999/12 | 水平管基準、低電圧 260V 対応 | |
5 | 2000/04 | EL34 動作環境、専用アダプタ併用 | |
6 | 2000/05 | 3グループ対応切り替え方式に改造、収容 | |
7 | 2000/05 | 水平管基準 | |
8 | 2000/05 | 6V6-G/-GT 基準、6BQ5=専用アダプタ併用 | |
9 | 2000/05 | 6V6-G/-GT 基準、低電圧 220V、6BQ5 用アダプタ兼用 | |
10 | 2000/06 | 水平管基準、低電圧 260V、6AV5-GA 用アダプタ兼用 | |
11 | 2000/06 | EL34/6L6-GB 基準、(1625=Eh、ソケット+Pキャップ) | |
12 | 2000/09 | EL34/6L6-GB 基準、三土会参加者提供 | |
13 | 2000/09 | 水平管基準、専用アダプタ、三土会参加者提供 | |
14 | 2000/09 | 水平管基準、低電圧 260V | |
15 | 2000/09 | 水平管基準、専用アダプタ | |
16 | 2001/01 | 水平管基準、専用アダプタ | |
17 | 2001/03 | 6V6-G/-GT 基準、6AR5, 6DS5 用アダプタ | |
18 | 2001/06 | 水平管基準、各専用アダプタ | |
19 | 2002/01 | 6V6-G/-GT 基準、専用アダプタ | |
20 | 2002/04 | 終段 Ek 監視リレー式初段故障時対策回路の試験 | |
21 | 2002/12 | 専用アダプタ+Pキャップにて固定モジュール化 | |
22 | 2002/12 | 水平管基準、P-cap 付き共通アダブタ化 | |
23 | 2003/04 | 水平管基準、P-cap 付き共通アダブタ化 | |
24 | 2003/06 | 同上、Eh 一時対応 | |
25 | 2003/06 | 同上 | |
26 | 2003/10 | 同上、専用アダプタ、Eh 一時対応 | |
27 | 2004/07 | 一号アンプ廃止〜三号に集約、ソケット 2種を装備 | |
28 | 2005/04 | 水平管基準、25CD6-GB アダプタ利用 | |
29 | 2008/10 | <6B~7AC> 共通アダプタ, CZ-504D〜ヒーター1Ω直列sw | |
30 | 2010/05 | 専用アダプタ, Ep=Esg 動作扱い | |
31 | 2012/05 | No1. ソケット <7AC~6AM/8GT> SW 切替に変更 | |
32 | 2014/08 | No2. <5BT> ソケット装備, Ep=Esg=175V 動作対応 | |
33 | 2018/08 | No2. <6CK> ソケット装備 |
汎用化経過概要一覧
1999/07 | 汎用超三結「一号アンプ」 | 三種のソケットを装備、多種の出力管に対応 |
2001/03 | 小形管対応「二号アンプ」 | 小形管グループ(注) を対象に含めてカバーするも、過度の汎用化 にて操作が複雑、稼動率が上がらず運用停止分解 (2001/11) |
2002/03〜 | 初段故障時対策回路の追加 | 「リレー検知方式」は試験、「Zダイオード方式」にて障害対策回路 |
2002/04 | 「大形出力管汎用超三結アンプ」 | KT88/6550 超三結アンプを汎用化改造、水平偏向出力管に対応 |
2009/09〜 | 「一号アンプ」二代目を整備 | 二系統ソケット装備にて、大形出力管・水平偏向出力管に対応 |
2012/05〜 | 一台に統合整備 | <7AC~6AM/8GT> スイッチ切替、<5BT> の二種ソケット装備 |
2017/05〜 | 種別・系統の整理 | <7AC~6AM/8GT> SW、<6CK> の二種装備 |
● 75mA 級・・・・・・・・(大型オーディオ管:EL34 など、Esg~=Ep)
● 60mA 級・・・・・・・・(水平偏向出力管 :6BQ6 族 など、Esg<Ep)
● 50mA {以下を含む} 級・・ (中小型オーディオ管:6V6-GT など、Esg~=Ep)
Esg 供給もグループ別に設定しました。 何れのグループも Rk の切り替えとの連動スイッチ・・・二回路二接点中点開放のスナップ SW または二回路三接点ロータリー SW・・・にてブリーダ・ドロッパを選択し Esg を供給します。(2000/05)
さらに欲張って小形管グループ=小形出力管・映像増幅管を追加、下記の 4 グループになりました。(2001/06)
出力管のグループ分け一覧
(G1) | 映像増幅管 小型オーディオ管 | やや低い Ep>Esg 動作 Ip+Isg=40mA 以下 | 6197/6CL6 6AG7/-GT, 6DS5 基準 |
(G2) | 中型オーディオ管 | Ep=Esg, Ip+Isg=50mA 以内、 Pp=15W 以下 | 6V6-G/-GT 基準 |
(G3) | 水平偏向出力管 | 低 SG 電圧のビーム管 | 6BQ6 族 基準 Pp=25W 以上を含む |
(G4) | 大型オーディオ管 | Ip=75mA 前後, Pp=25W 以上 | EL34, 6L6-GB 基準 |
スクリーングリッド電圧の設定法一覧
(G1) | 映像増幅管 小型オーディオ管 | 水平偏向出力管より高い Esg を要し、高めに統一。 汎用化環境では適正 SG 電圧供給が困難、廃止分解。 |
(G3) | 水平偏向出力管 | 6BQ6 族 は、ブリーダ兼ドロッパにて Esg は接地から約 210V、 対カソード約150V を確保し統一。 |
(G2 G4) | 中大型オーディオ管 | 6V6-G/-GT, 6L6-GB, EL34 等、Esg=B 電源電圧なみ管種では、 ドロッパ抵抗にて Esg を下げ、OPT 抵抗分による Ep 低下を調整。 |
しかしグループ (G1) の小形出力管・映像増幅管に対応した二号アンプ(2001/03 製作)では、挿し換え時の操作が下記のように煩雑にて稼働率が上がらず、運用停止・分解しました。 なお回路図は参考用に残しました。(2001/11)
◇ 各管種毎に個別ソケット・アダプタが必要、
◇ 個別に異なる SG 電圧を要し、汎用化での適正な SG 電圧の供給が困難、
◇ 挿し換えの都度、 Ek モニタ監視にて動作点設定変更・調整操作が必要。
6AV5-GA の規格でも同様でした。 Pp = 11W にも拘わらず、動作例では 6BQ6-GTB/6CU6 と全く同じ値、従って前記と同様にオーディオ用ならば Pp = 14W は可能と解釈しました。 実際問題として、6AV5-GA を本アンプ等に実用して以来、劣化不良を起こした例はありませんでした。(2001/01)
水平偏向出力管および類似管の例外ケース一覧
(1) | 6Y6-G/-GT | 水平偏向出力管以外ながら類似環境にて動作、 6DQ6-A/-B 基準としながら、Pp および Ep 等の制限より Ep=200V 程度〜カサ上げを加えて Ebb=260V 限定運用。(1999/12) |
(2) | 6AU5-GT | Ebb=280V にて Pp=10W 目一杯、Ebb=260V 限定運用。(2000/06) |
(3) | 6W6-GT | 水平偏向出力管以外ながら類似環境にて動作、Pp=12W と余裕はあるが、動作例では Ep=200V, Esg=125V とあり、6Y6-G/-GTなみに Ebb=260V 限定運用。(2000/09) |
(4) | 6146 族/S2001 | 送信管なるも動作試験の結果 6DQ6-A/-B なみ Ep=250V, Esg=125V 近辺にて Pp=15W (Ppmax=20W にて余裕) 、挿し換え運用性の観点から水平偏向出力管に分類。(2000/10) |
(5) | CV450 | 水平偏向出力管に類似、ただし G3=pin#1 と特殊な口金接続にて専用ソケットアダプタに着装、動作例は Esg=Ep 、オーディオ管として復帰。(2010/05) |
(6) | 6CL5 6CD6-GA | Ep=Esg=175V の動作例からオーディオ管なみ扱いにて Ep=Esg に設定、Ebb=260V 限定運用と。(2014/08) |
汎用化しにくい出力管の例一覧
ST管、6360 パラレル | では専用ソケット・アダプタにて吸収できそう |
1619, 1624 | フィラメント電圧=2.5V/ハムバランサ切り替え |
12V管等 (12A6, 1625) | ヒーター電圧+ソケット (1625=UT/大形7ピン) |
6LR8/6LU8 | 専用ソケット・アダプタ、三極部不使用、B 調整 |
6BM8/6GW8 | 専用ソケット・アダプタ、三極部不使用、B 調整 |
6AG7/6197/6CL6 6DS5, 12BY7-A | 専用ソケット・アダプタ、 汎用化環境では適正 SG 電圧供給が困難 (2002/12) |
コンパクトロン水平偏向出力管 | 専用ソケット・アダプタ、しかし大変魅力的 |
(1) ノーマークの GT 管種は <7AC> 口金接続のソケットに挿入します。
(2) MT 管およびシングルエンド GT 管種には *マークを付しました。
(3) <6AM/8GT> 接続口金の管種には ++マークを付しました。 これら管種の差し替えには
切替スイッチを <6AM/8GT> モードとしてプレート・キャッブを接続するか、または
切替スイッチを <7AC> モードとして <6AM/8GT> 共通のプレート・キャップ付き
ソケット・アダプタ併用挿し換えのいずれもが可能となりました。
(4) 管種毎に特定のプレートキャップ付きソケット・アダプタに固定的に着装して
挿し換え運用する管種は赤字にて 管種名 # マークを付しました。
(5) ST 管 <6B> 接続の 41, 42 および CZ-504D (ヒータードロッパスイッチ併用) には
$マークを付しました。
ソケット・アダプタ併用の形態別管種別グループ分け一覧
<7AC~6AM/8GT> モード切替スイッチ設定に要注意。
(Ebb=310V) | (Ebb=260V) | |
(G1) 映像増幅管等 | 本アンプ非対象・・・6DS5*, 6AG7*/6CL6*/6197*, 12BY7-A* | - |
(G2) 中型 オーディオ 管
(Pp<15W) Ep=250V | 6V6-G/-GT, 6AQ5*/6005*, EL33, 41$, 6K6-GT, 6AR5*, 42$, 6F6-G/-GT, CZ-504D$ (若干Ebb↓), 6BQ5*/7189(A)*, 6BK5* | 別途Ep=160V (Ebb=220V) 6CW5* |
(G3) 水平偏向出力管/ 送信管 Ep=250V |
6AV5-GA*, 6AU5-GT* (若干Ebb↓), 6BQ6 族++, 6CM5++, 6CU6++, (6DQ6-A/-B)++, (6G-B3/-B3A/-B6/-B7)++, 12E1++, 6146/S2001#, 6JS6-C#, 6P36C#, EL509# |
低電圧電源 6Y6-G/-GT, 6W6-GT |
(G4) 大型 オーディオ 管
(Pp>=15W) Ep=250V |
EL34/6CA7, 6L6-GB/-GC, 5881, 6384*, KT66, 6G-B8, KT88, 6550, 807#, CV450# | 低電圧電源 Ep=Esg 6CD6-GA, 6CL5 |