●超三結V3 アンプ(1996/03)
次に、C/R 結合ながら超三極管接続がトライできる回路として、MJ 誌1993
年 2月号の上條氏の記事に記載された KT100 V3 回路を試しました。 その頃は直結がまだ怖かったのですね。
この超三極管接続V3 アンプ (以下、超三結V3 アンプ) は、完全なビーム管接続とし、適度なプレート電圧を掛けたので、出力は取れたのですが、初段の電圧増幅五極管の自己バイアス抵抗と、P-K NFB に挿入した電圧増幅三極管のカソードをコモンにしているためバイパス・キャパシタが並列にできず、電流負帰還が掛り、総合ゲインがやや不足していました。
このアンプが、私が最初に聴いた超三結アンプであり、それまでに聴いたことのない固めの音が得られました。 すなわち低域が筋肉質になったのです。
●超三結 V1
その後 6V6G/GT の超三結V1 アンプを組んだので、ソケット互換の五極管では 6K6GT, 6F6G/GT, EL33、ビーム管では 6L6GC, 6550 などを一通り差し替えては聴いてみたものです。 どれも似たような音になる特徴がありました。 それでも前記のとおり、ビーム管に比べ、五極管の超三結V1 化が効果的であることは同様でした。
その後に EL34 を同じ 超三結V3 回路で試した見た結果 (1996/05)、もともと素直なビーム出力管よりは、ビーム五極出力管または純粋の五極出力管の方が、超三極管接続の効果が著しいことが確認されました。
さらに 6BM8, 6BQ5 等の超三結V1 アンプの試作を重ねているうちに、超三結V1 が、聴感的により優れており、使用部品が極めて少ないので、必然的に私の超三結アンプの標準回路となってしまいました。
ただし 807 だけはソケット交換とトッププレート化の改造を要するため、試験対象になりにくく、今回やっと取り上げたような訳です。 (1999/01)
その後、 超三結V1 一号機は半年ほど稼働した後、他の実験のために分解・流用してしまい、今回のカムバックに際しては、1625 を収容してチューブチェッカ仕様?とし、併せて P-K NFB を追加しました。(2000/06)
初段 電圧帰還管 P/K NFB 出力段 出力トランス 出力段 SD
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6U8-p 12AX7/2 6U8-t 直結 807/1625 中型 OPTx2 1N4007
以下に 807 超三結アンプの回路図 (2号機) を示します。
所が、試験対象の球が次々と発生して、上記の1号機は半年稼働した後分解され、807 は一年近くレイオフ状態にありました。 さらにその後に「チューブチェッカ・アンプ」の整備が進み、US ソケットに挿せる球のアンプが一挙に整理統合され、空きシャーシが発生し、出番が回って来ました。
そこでついでに最近入手した 1625 を挿し替え可能とした「2号機」にてリバイバルしました。 回路的には1号機の初段リニアライザを廃止して、非直線素子として6U8-t の二極管接続を挿入した P-K NFB を加えた他は、殆ど変わりません。 (2000/06)
暫く 1625 を挿した「2号機」を続けて聴いているうちに、エクボがアバタになり・・・なんとなく音が釈然としないことが耳に付いてきました。 アチコチと点検したのですが、決め手はスクリーン・グリッド電圧 Esg が低すぎであると判明しました。 ドロッパ・ブリーダのドロッパ抵抗を減らして対カソード Esg を 265V に上げて解決しました。
以前から 807 はメーカによって音がかなり違うという印象がありましたが、どうやら 1625 も例に洩れず、Esg の個性〜供給電圧が音にデリケートに反映するのかもしれません。(2000/07)
本機は役目を終わり、ユニバーサル超三結V1 アンプに統合吸収されて分解しました。(2001/02)