6EW7 超三結V1 アンプの製作

6ew7img.jpg
1998/08--1999/03 宇多 弘


はじめに 

 三極管の超三極管接続アンプを製作するに当たり、バイアスの浅いμの大きい球には直結の超三結 Vesion1 (V1) が簡単に適用できる反面、バイアスの深いμの小さい球は、ゲイン、NFB 量、ドライブ振幅の確保や電圧配分などが簡単には行かないことが「超三結の実装」で述べたとおり判ってきました。

 今回の 6EW7 は、すでに試作済みの 12B4A 超三結V1 アンプ、および動作試験済みの 6GA4 の倍程度のバイアス電圧を要し、三極管の真ん中のグループの浅い方に属すると考えられます。 同類の球としては 6EM7, 5998/A 辺りが該当するでしょう。  なお 6EW7 よりもバイアス値が 20% 位深い 1626 アンプおよび 2A3 アンプは、すでに「安全設計」の強力 SRPP のC/R 結合ドライブとしました。 別項をご参照ください。

 これまでの、これらの球によるA 級アンプ試作例では、規格表に記載の動作例とは、かなりかけ離れており、いずれの球もかなり深い自己バイアスにしないとPp を規格内に収めることができませんでした。 例えば 6EM7(2) では Ep=250V 程度に設定すると Eg=-40V で Ip=40mA 程度となり無信号時の Pp は一杯です。この状態では自己バイアスに抵抗は Rk=1kΩとなります。
 5998/A なら Pp が 6AS7G/6080 の13W 程度なので、少し余裕があります。
 また 6EW7 は規格の上では 6EM7 並みですが、電極の形状から見ると少し抑えたい感じです。


電圧配分

 終段の 6EW7(2) は、C/R 結合での自己バイアスが -40V であり、ドライブ電圧はピーク〜ピークで 1.4 倍の 56V、これを前段から引き出すには、五極管のプレート電圧を 60V 以上に設定したいところです。
 となると、電圧帰還管での電圧降下を 10V 程度見込むと、直結にする終段の 6EW7(2) のグリッド電位が 70V、同カソード電位は 110V、 Ep=250V とすれば、出力トランスでの電圧降下を10V 程度見込み、所要 B電圧 Ebb=370V となります
 もうすこし、プレート電圧を下げて、プレート電流を増やすオペレーションにするとしても、前段の動作はほぼ決まりです。
 初段五極管のプレート電圧を 60V 以上に設定するとなれば、スクリーングリッド電圧は同じ程度に設定するとして、どのように供給するかが課題ですが、例によって、終段の 6EW7(2) の自己バイアスを分圧して済ませます。


回路図

 これまでの経過により、必然的に下記に示す通り 12B4A 超三結V1 アンプの形式を踏襲することになります。

 6ew7sch.gif
 


できばえとその後

  B 電源の関係で、少し電圧不足で且つパワー不足ですが、12B4A 超三結V1 アンプよりは全体にシッカリした音が得られました。恐らく出力トランスとの整合が良かったのではないかと思われます。(1998/08 )
 本機は、6360 パラレル超三結V1 アンプの本組み対応のため、分解・流用し消滅しました。(1999/03)
以上