6CW5 超三結V1 アンプの試作 → 6BK5 超三結V1 アンプに改造

2000/08〜2001/01 宇多 弘
6cw5.jpg 6cw5_2.jpg 
一号機構成の写真です。              二号機構成の写真です。


いきさつ

 6CW5/EL86 ペアを購入してから、2 年も放置してありました。 これを超三結V1 アンプとして動作させるには 200V 程度の B 電源が必要です。 所が 200V とは結構簡単なようでも、用途が少ないのでなかなか電源の整備が進まず、今回は電源の更新を機会に改造して、試験環境を用意しました。
 載せるシャーシは、すでにご紹介した仮動作 6JS6C 超三結アンプの終段を、一時的にソケット交換して、初段および電圧帰還管等はそのまま流用したものです。 従って新規製作ではなく、最終組み込みに至る中間的な試験となります。(2000/08一号機)
 その後、6R-HP3 超三結V1 アンプを廃止してそのシャーシに 6CW5 だけ移設し、前段等は以前のものを流用しました。(2000/11 二号機) 

 自己バイアス抵抗値は、とりあえず出力トランスの許容電流の制限を考慮して 70mA 60V 程度を目標に手持ちの抵抗を合成して 860Ωと決めました。 ということは 6JS6C のまま転用・・・。
 規格表に記載の 6CW5 のA級シングル動作は Ep=170V/Ip=70mA, Esg=170V/Isg=3.5mA, RL=2.5kΩ ですが、この Ip ではやや大型の出力トランスが必要となります。
 また、規格表では SG 電圧を低めにとるよう 470Ωの直列抵抗の挿入が指示されていますが、プレート電圧の出力トランスによる低下の影響を見込んで 1.8kΩ+27kΩの直列ドロッパ・ブリーダとしました。 アンプ構成は下記のとおりです。

      初段  電圧帰還管 P-K NFB 非直線素子 出力段 出力トランス 
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構成 (1) 6BX6  12AX7/2  6SL7GT/2   直結 6CW5  東栄 OPT-10S 
構成 (2) 6AS6  12AT7/2  12AT7/2    直結 6CW5  春日 54B-57 並列 


試作

●電源
 B 電圧を切り替えとするため 100V-100V/115V 100VA のセパレーション・トランスに100V/48V0.75A という加湿機のジャンクから抜き取ったトランスの二次側を直列にして、AC100V/115V/163V を切り替えて1N4007x4 のプリッジ整流と 250V のケミコンおよび 22Ωによる二段πフィルタを通って、無負荷にて約140V/160V/220V を得て、US プラグにて各アンプと挿し換えて接続するものです。

●試運転
 火を入れて音出しです。 初段のバイアス抵抗を加減して、終段カソード抵抗 860Ωに対して、終段カソード電流 Ik を約 68mA・・・カソード電圧を約 60V にセットして、動作確認は一応パスしました。
 予定していた 220VのB 電圧が、140mA の負荷では 200Vしか出てくれませんが、B 電源トランスの継ぎ足しのスペースも無いので、そのままとしました。
 出てきた音は他の超三結アンプと特段の相違はありません。 Gmが 11mS と高いので 6JS6C 同様に Ip が少ない割にはパワーと迫力がありました。


6BK5 に改造

 出力管 6BK5 を入手したので、もっとも改造が簡単と思われる本機を利用して、早速乗せ換えを行いました。
 規格表に記載の 6BK5 のA級シングル動作は Ep=250V/Ip=35mA, Esg=250V/Isg=3.5mA, RL=6.5kΩです。
 ソケット接続を 6BK5 にあわせ、カソード抵抗を1.5kΩに変更し、出力トランスを 7kΩ (東栄 T850-7KΩの単純並列) に変更して改造は終りです。
 電源は汎用ユニバーサル超三結V1 アンプに使用している汎用電源を、控え目な動作には 280V にて、または目一杯の動作には 310V にて動作させます。 カソード電圧を約 57V・・・カソード電流を約 38mA に合わせて調整は完了です。  
以上

改訂記録:
(2000/08):6CW5 超三結V1 アンプ試作
(2000/11):シャーシおよび出力トランス、初段管+帰還管の変更
(2001/01):出力管を 6BK5 に変更、出力トランスの変更、外部電源の変更
(2001/06):6BK5 をユニバーサル超三結V1 アンプ二号機に吸収し消滅