6384 超三結V1 アンプの製作

6384.jpg
1999/09〜2000/05  宇多 弘

はじめに

 6AR6 の高信頼管である 6384 と、東栄変成器さんの出力トランス OPT-10S を入手して、早速超三結V1 アンプに仕立てました。 
 またまた例によってシャーシから作るのがもどかしいので、6V6G/GT 超三結V1 アンプを改造しました。 電源トランスをタンゴの ST220 に変更し、チョークを奮発してタンゴ MC5-25O を乗せました。
 特性値を眺めていると Eg1=-22.5V とあり、一連の水平偏向管の 6AV5GA, 6CU6, 6DQ6A/B 族の先頭を切った球らしいと理解しました。 その証拠にピン配列が 6AV5GA 同様にプレートの両側を NC にして高い電圧による事故を回避しているかに見えます。 他の球との差し替えが効かないので、専用機とすることにします。

表 6Y6G/GT, 6384, 6DQ6A/B, 6AV5GA, 6CU6, 6L6GB, 6CA7 規格一覧

管球型名
標記
単位
6Y6G
/GT
6384
6AR6
6DQ6A
6DQ6B
6AV5
GA
6CU6
6L6GB
6CA7
構造上の分類 (電力増幅)ビームビームビームビームビームビームビームビーム五極
口金接続形式7AC6BQ6BQ6AM6AM6CK6AM7AC8EP
ヒーター電圧EhV6.36.36.36.36.36.36.36.36.3
ヒーター電流IhA1.251.21.21.21.21.21.20.91.5
最大プレート損失PpW12.53021181811111925
最大プレート電圧EpmaxV200750630770770550600360800
最大スクリーン電圧EsgmaxV200 325315220220175 200270425
最大スクリーン損失PsgmaxW1.75 3.53.53.63.62.52.5 2.58
プレート電圧EpV200250 300250250250250250250
スクリーン電圧EsgV135250300150150150150 250250
制御グリッド電圧Eg1V-14 -22.5-36.0-22.5-22.5-22.5-22.5-14-13.5
無信号時プレート電流Ip0mA6177585565575772100
無信号時スクリーン電流Isg0mA2.23.54.01.51.82.12.15.015.0
内部抵抗Rp18.322.522.0201814.514.522.522.5
相互コンダクタンスGmmS7.15.44.36.67.35.95.96.011.0
所定出力時の負荷抵抗RLΩ2,600------2,5002,000
出力PoW6.0------6.511.0

回路設計と実装上の配慮

 少し電流を大目にするため、Ep=Esg=250V の時 6384 のカソード電流が 75mA になるよう電圧配分することにしました。 6384 超三結V1アンプは下記のような構成になりました。

初段  linearizer  電圧帰還管   出力段  出力トランス  出力段linearizer
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
6U8A-p 6AL5   6U8A-t  直結 6384  東映 OPT-10S  1N4007

 以下に回路図を示します。

6384sch.gif

発振対策

 回路図には記入してありませんが、終段の G1/P に例によって 330Ω/20Ω 程度の抵抗を直列に挿入しました。 入力加減用のヴォリュームを10kΩ A にしました。

G2 電圧対策

 とにかく Ep>Eg2 となるように G2 にはドロッパを通して電圧供給するため 3kΩ程度を直列に挿入して100μFでグランドし信号分に対するインピーダンスを下げました。

配置など

 6V6G/GT 超三結V1 アンプを乗っ取ったので、本機ではもともとスピーカ交換などの操作性の良くない、端子類を後面に配置した古い設計の横長シャーシですが、いずれ組み直す際には前面および上面に端子を配置した縦長シャーシにしましょう。

出来映え

 出力トランスのインピーダンスが高すぎるかなと、心配したのですが、特に変った音は出ませんでした。
以上

改訂記録
1999/09:6V6G/GT 超三結V1 アンプの改造により試作
2000/05:ユニバーサル超三結V1 アンプへの移行により消滅