1619:Ef=2.5V,If=2.0A, Epmax=400V,Esgmax=300V,Psgmax=3.5W
口金接続:1=Metal shield, 2=Filament, 3=Plate, 4=Screen grid,
5=Control grid, 6=No connection, 7=Filament, 8=Beam electrode
その規格表には肝心の Pp がありません。そこで、MJ 誌 1992年 11月号掲載の宍戸公一氏の記事「設計理論から製作まで〜直熱ビーム管 1619 ppパワーアンプ」を参照しました。 それによると下記表のとおりです。
AB2 pp の無信号時にプレート損失は 400V 37.5mA から、Pp=15W と推定されます。 どうやら、A1シングルでは 6BQ5 と 6BM8 の間の小パワーですが、家で聴くには十分です。
陽極電圧 | Ep(V) | 300 | 400 | 400 |
遮閉格子電圧 | Eg2 (V) | 250 | 300 | 300 |
制御格子電圧 | Eg1 (V) | -10 | -20 | -16.5 |
最大入力電圧 | Ei peak (V) | 10 | 40 (G-G) | 77 (G-G) |
beam 電極電圧 | Ebeam (V) | 0 | 0 | 0 |
無信号時陽極電流 | Ip0 (mA) | 44 | 52* | 75* |
最大信号時陽極電流 | Ipsig (mA) | 46 | 80* | 150* |
無信号時 sg 電流 | Isg0 (mA) | 4 | 3.5* | 6.5* |
最大信号時 sg 電流 | Isgsig (mA) | 6 | 10.0* | 11.5* |
負荷抵抗** | RL (kΩ) | 8.8 | 14 (P-P) | 6 (P-P) |
歪率 | Dist (%) | 7.0 | 3.0 | 3.0 |
最大出力電力 | Pomax (W) | 3.0 | 17.5 | 36.0 |
●1 ピン メタルの管外被 :シャーシに接地します。
●8 ピン ビーム電極の扱い :フィラメントにいれるハムバランサの中点に接続します。
●フィラメント点火法 :バイアスが浅いので直流点火は不適当、交流点火とします。
● 回路
最新の全体構成は下記のとおりです。(2002/05)
初段 電圧帰還管 終段 出力トランス stopping diode
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
6U8-p 6U8-t 1619 中型 1N4007
← P-G NF → 直結 5kΩ/8Ω
● 終段
「表 1619 の動作例」から、A1 シングル動作例を適用します。
● 出力トランス
インピーダンス:3.5kΩ/8Ω
通過電流 :50mA〜 中型形出力トランスにて納まります。
● ストッピングダイオード
プレート :1N4007 に変更し固定しました。(2000/06)
スクリーングリッド:ドロッパ抵抗の先に 1N4007 を直列に挿入します。
● 前段球とリニアライザ
電圧増幅五極管プレート電圧=40V とします。 電圧増幅五極管スクリーン電圧=50V =1619 カソード(ハムバランサ中点)とします。 1619 のバイアスは -10V となります。
リニアライザは廃止して、P-K NFB に変更しました。(2000/06)
● B 電源
350V 100mA 以上とします。 終段プレート電圧は、超三V1とするため、自己バイアス分を加算して 300v+50V=350V とします。 出力トランスによる電圧降下は 5V 程度を見込みます。 終段スクリーン電圧は対フィラメント電圧 250Vを確保します。
● フィラメント/ヒーター電源
F=2.5V2A x 2:1619 フィラメント二系統
6.3V1.2A :初段、電圧帰還管、P-K NFB 挿入素子。
6.3V2.5A : ストッピングダイオード=6AS7GA/6080・・・1N4007 に変更したので不要です。(2000/06)
● ハムバランサ
22Ωの固定抵抗を二個使い、それに100Ω可変抵抗を並列とし、可動端を固定抵抗の中点に接続して、ハムバランサの抵抗を減らすとともに微細な調整を可能としました。(回路図を参照)
● 回路図
初期の本体回路図および最近の改造すみ本体回路図、電源部分を示します。
● 動作点調整
1619 の嵩上げ電圧込みのカソード電圧を 55V に設定し、前後に動かしても歪が発生しないことを確認しました。 実質 Ep=265V, Esg=210V (Esg ドロッパ=7.5kΩ/ 二管分) となりました。 この状態で P/G2 合計概算入力は 12.1 W となり Pp/Psg は、何れも充分に安全圏内にあることを確認しました。
● 残留ハム
B 電源リップルおよびフィラメントからのハムはスピーカに耳を付けて辛うじて聞こえる程度でした。 デイジタルテスターの AC レンジでスピーカ端子での残留ノイズを当たりながら、ハムバランサ調整による最小値では1mV〜2mV の間をふらついており、それ以下にはなりませんでした。(1998/02)
● 別のノイズ
1619 がトランスからの振動を受けてか、フィラメントの AC 点火による振動か不明ですが、スピーカに耳を近付けると、わずかながら 400Hz 位のコンスタントなマイクロフォニック・ノイズらしい音を発生していますが、実用上支障なしとしてそのままにしてあります。(1998/03)
● 1619 の G1 の処置
コールドスタートの power on 時には直熱管の1619 が前段よりも先に動作を開始するはずで、初段とカソフォロ段の電圧配分の状態が不明ですが、
G1 は初段がウォームアップするまでの間宙に浮いているのは気持ちが悪いので、回路に影響が及ばない 4.7MΩ程度の抵抗にて常時接地してみました。 抵抗なしにてスイッチ投入時にカソード電位を観測すると約 85V まで上昇し、以後降下します。 この抵抗にて接地しても電圧には変化がありませんでしたが、power on に発生するハムはへりました。 それで、もっと低い抵抗にする必要があるようですが、そのままにしてあります。(1998/03)
● P-K NFB の追加
高音域の不足感を改善するために、1619 のプレートから初段のカソードに微小な P-K NFB を加えました。 このループに非直線素子を加えると、電圧帰還管からの歪を打ち消すことができるかと考え、2SK30A のダイオード接続を NFB 分圧抵抗に直列に挿入しました。 実験の結果、聴感上多少の効果があり、高音域の鮮明さが改善されたようです。(1999/03)
2SK30A のダイオード接続を 6SL7GT/2 の二極管接続に変更しました。(2000/06)
シャーシ変更に際して 6SL7GT/2 の二極管接続を 12AU7/2 の二極管接続に変更しシャーシ内に寝かせて取り付けました。(2000/07)
単純に抵抗のみの P-K NFB としました。 (2002/05)
● 電源トランス、出力トランスの交換他
シャーシ変更に際して、出力トランスを東栄変成器 OPT-5S からタンゴ U708 に変更しました。(2000/06)
ストッピング・ダイオードは 1N4007 に固定しました。(2000/06)
また B 電源には外付けの 450V5600μFのキャパシタをコネクタにて外づけ接続可能とし、音質の向上を図りました。(2000/07)
電源トランスは初期のノグチ PMF150M (2000/07) から、東栄変成器 PT-160A に変更しました。(2002/05)
● 安全措置
安全確保のため、電源 off 時、停電時、または動作中にコンセントを誤って抜いた場合には B 電源が 30 秒程度で放電するよう、100V AC リレーを通じて 5kΩ10W でシャントする放電回路を追加しました。(2000/07)
初段が故障した場合の終段保護用ツェナー・ダイオードおよび故障表示の LED を追加し、あわせて B 電源の放電回路を回路図に追加しました。(2002/05)