顔面神経麻痺 by はたの耳鼻咽喉科

■顔面神経麻痺とは
 顔面神経麻痺とは、顔面神経によって支配されている顔面表情筋の運動麻痺です。ほとんどは片側性で、目が閉じられなくなる、額にしわが寄せられない、口がうまく動かせないなどの症状が現れます。
 顔面神経麻痺は、さまざまな原因で引き起こされますが、原因不明(ベル麻痺)が最も多く、約6割から7割を占めています。次いで多いのが水痘帯状疱疹ウイルス性(ハント麻痺)といわれています。この2つで顔面神経麻痺の約8割を占めます。ベル麻痺は原因不明とされていますが、過労やストレス、かぜ、冷たい風にあたることなどがきっかけになることがあります。
 その他の原因として中耳炎後、外傷性、先天性、聴神経腫瘍、医原性(耳下腺や中耳炎などの手術後)などがあります。

●顔面神経麻痺の診断
 診断は臨床経過から比較的容易です。顔面神経麻痺の発症前に耳の中や耳たぶに水ぶくれや痛みを伴う場合は水痘帯状疱疹ウイルスによるハント麻痺です。ハント麻痺の場合は難聴、耳鳴やめまいなどの耳症状を伴うことがあります。
 ・ほとんどの場合、麻痺は突然おこりますが、徐々に麻痺が進行する場合には腫瘍を考慮しなくてはなりません。また、両側性の場合には、代謝疾患や免疫疾患、白血病などが原因となることがあります。

●顔面神経麻痺の検査
 ・顔面神経は脳から内耳道という耳の骨に囲まれた部分を通って枝分かれした後、顔面の表情筋に分布していますが、その途中で聴覚や味覚、涙やだ液の分泌にも関わる神経も出しています。聴覚、味覚の障害、涙やだ液の分泌の異常を調べることで顔面神経のどの部分で障害を生じているかを知ることができます。
 ・障害の程度や回復の客観的な評価のために麻痺度評価のスコア、筋電図や誘発電位検査がおこなわれます。
 ・外傷や中耳炎による場合や腫瘍が疑われる場合にはCTスキャンやMRIなどの放射線検査も必要となります。

●顔面神経麻痺の治療
 治療開始が遅れると治癒率は低下するので早期治療が大切です(発症後できるだけ早く、遅くとも2週以内)。ステロイドホルモンの点滴や飲み薬などで神経のはれを取ります。はれが続く期間は1、2週間です。そのほかに血流を改善する薬やビタミンBなど神経の回復を促す薬を使用します。ハント麻痺の場合には抗ウイルス薬を併用します。
 骨折や腫瘍が関係しているときには、圧迫を取り除くため顔面神経管、内耳道などの手術をすることもあります。

●顔面神経麻痺の予後
 ベル麻痺は自然治癒率が70%ぐらいあり、一般に予後は良好ですが、麻痺が残存することもあります。ハント麻痺はベル麻痺よりも予後は不良です。外傷性の場合はさらに治癒率は低くなるので早期治療を受けることが特に重要です。