八千代獅子

【解題】

 この曲はもともと尺八の曲だったが、政島検校が胡弓に移し、それをさらに藤永検校が三絃に移してから世に広まったと言う。歌詞ももとは獅子舞の歌だったが、園原勾当によって、現在の歌詞に替えられたと言う。

【解析】


○いつまでも、変はらぬ|   御代(みよ)に|      |  | あひ竹   |の   |
                                   《竹》

 
いつまでも、変わらぬ|平和な御代    に|人と生まれて|  |出会い    、
                             |笙の| 合い竹の和音|のように|調和した|

          ┌────────┐
○  |  世々は|幾千代      |     八千代 |経(ふ)る|、
     《節》                    |降   る|
 
この|御時世 は|幾千代続く|だろうか、きっと|八千代も|続   く|だろう。そして|
                         
    |降   る|雪は豊年の前兆、

○  |雪| |ぞ|  かかれ|  る|    |松のふた葉に、雪ぞかかれる松のふた葉に。
 
その|雪|が|!|         |目出度い|松のふた葉に
         
|降りかかっ|ている。

【背景】

 松のふた葉に

 松は常盤木(ときわぎ)と言い、常緑なので目出度いとされている。双葉は植物が発芽した時最初に出る葉で、新生の象徴。松は生長しても葉が双葉なので、いつまでも若々しいと解釈され、これも目出度いものとされる。

作詞:不詳
作曲:不詳



【語注】


あひ竹
 笙の吹奏法の一つで、二本以上の竹を同時に吹いて、和音を出す奏法。
世々は 「よ」は、竹の節と節の間の空洞。「よ」に当たる漢字がないので、「節」の字を当てることが多い。
節(よ)は縁語。
幾千代 「いく」は疑問語なので、文末に「だろうか」を補って訳す。
松のふた葉に⇒背景

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