金剛石(こんごうせき)

【解題】

 昭憲皇太后は旧名一條美子(いちじょうはるこ)、明治天皇の皇后。明治20年(1887)3月18日華族女学校(現在の女子学習院)へ賜わった。女子学習院で奉賀式に奉唱。この御歌は東京女子高等師範学校(現在のお茶の水女子大)へも賜わっている。女子学習院中高等科では、入学式で歌われている。

【解析】

○ 金剛石  も|磨か|ず |  ば| 珠の    光は|  添は |ざら|  む
 ダイヤモンドも、磨か|ない|ならば、宝石の輝かしい光は|付け加わら|ない|だろう。

○人 も|   学びて  後 に  こそ、まことの徳     は|     顕(あら)はるれ  |
 人間も、学問を学んでその結果として ! 、本当 の徳というものが|はっきりと顕    われるのだ。

○時計の針の|絶え間なく廻(めぐ)るがごとく|   時の間の|日かげ |をしみて|   励み|な|  ば|
 時計の針が|絶え間なく廻    る ように、ほんの短い間の|時間 を|惜しんで|学問に励ん|だ|ならば、

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○いかなる |わざ |か|なら |ざら|  む|
 どのような|目標が| |成就し|ない|だろう|か、いや、どんな目標も成就する。

作詞:昭憲皇太后 
作曲:楯山検校




【語注】

磨かずば 「磨か」は「磨く」の未然形、「ず」は打消しの助動詞「ず」の連用形、「ば」は接続助詞で、仮定条件を表す。


励みなば 
「励み」は「励む」の連用形、「な」は完了・強意の助動詞「ぬ」の未然形、「ば」は接続助詞で、仮定条件を表す。

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