英作文Highroad 解説   制作者 山戸朋盟(山戸竹男)

 このソフトは、インターネット上のCAI(Conputer Assisted Instruction / コンピュータ利用学習指導)で、英作文添削指導のためのシステムです。以下に、このシステムの特徴につき、簡単に説明いたします。

1.いろいろな構文への対応

  コンピュータが問題を出し、学習者が自由に解答を記述する方式の英作文学習ソフトを構想する時、まず問題になることは、一つの問題に対する正解が複数存在することでしょう。コンピュータが解答を選択肢として用意し、学習者がその中から選ぶ方式や、空欄に入る単語を答える方式などなら、そういう問題はありません。しかし、一文を自由に記述させる方式だと、正答は、事実上、無限にあると言っても言い過ぎではありません。そういう実例は山ほどありますが、一つの例として、

 「この部屋には12人の子供がいます。」(問114)

 という問題を考えて見ましょう。この問題に対する答として、次のような代表的な構文があるでしょう。

 @ There are twelve children in this room.

 A In this room, there are twelve children.

 B Twelve children are in this room.

  本システムは、構文の違う予想解答を必要な数だけ用意でき、学習者の解答が、どの構文を目指しているか判断するアルゴリズム、いわば人工知能的な機能を持っています。

  実はこのソフトは、最初はこの「構文判定機能」をフルに活用して作りました。例えば、701, 702, 703 は「富士山が日本で一番高い山であることを表現する文を答えよ」という1つの問題で、代表的な5つの構文を正解にしました。
 これはよく学習参考書などに出ているもので、最上級を使うものが2つ、比較級を使うものが1つ、No other mountain を主語にするものが2つです。ところが、そのように問題を1つにすると、学習者は5つの正解のうちの1つを答えると、必ずと言ってよいほど、次の問題に進んでしまいます。つまり、システムは5つの構文を用意して全部勉強してもらいたいのに、学習者は1つの正解しか勉強してくれないのです。教材を作る立場として、こんな残念なことはありません。

  そういう訳で、現在は、この機能は少し控え目に使い、「最上級を使って」「比較級を使って」「No other mountain を主語にして」などと答え方を指定して色々な構文を勉強させるように改めています。

2.同一構文の中の、複数の正しい表現への対応

  さらに、一つの構文の中でも、正解は様々な表現や用語があり得ます。問114 では、children の代わりに kids を使っても正解でしょう。また、this room と the room は両方とも正解とし、解説をつけました。

  本システムは、そのような表現や用語の複数ある正解にも、適切に対応する機能を持っています。

3.よくある誤答への対応

  また、「There are」と答えるべきところを、「There is」などと数を間違える答が、初心者にはしばしば見られます。twelve や children などもいろいろなスペルミスがあり得ます。

  そういう誤答に対して、それが誤答である事と、その理由を説明することが必要です。例えば「childrens」などの誤答に対しては、children そのものが複数形なので s を付けてはいけないということを教える必要があります。また、この問題ではあまり見られませんが、冠詞の付け忘れ、付け間違い、時制の間違い、その他ありとあらゆる用語・文法上のミスに対しても、適切に対応する必要があります。

  本システムは、そのような表現や用語のよくあるミスにも適切に対応する機能を持っています。

4.単語のスペルミスへの対応

  例えば、「children」と答えるべきところを、学習者が「childlen」と解答した場合、人間の教師なら、生徒は「children」を答えようとしたのだが、スペルミスをしたのだとすぐ判断できます。また、「kid」と答えたなら、これは「children」のスペルミスではなく、「kids」の単数複数のミスです。スペルミスというものは無限にあり得るので、あらかじめコンピュータの中に、予想誤答として全て用意しておくことは不可能です。では、「cildlen」と答えたらどう判断するのか。正しいスペルからどの位離れているスペルまでが、その単語のスペルミスと言えるのか。人間の教師はそれを直感で判断できます。

  本システムは、学習者の入力した単語文字列を正しい単語文字列と比較してスペルミスと判断し、用語ミスと区別するアルゴリズムを考案しました。それによって、スペルミスに適切に対応できます。

5.予測できないミスへの対応

  学習者が、コンピュータが予測していないミスをした時、どう対応するか。また、学習者が全く意味のない答や空白入力、つまり、教室の授業で言えば、全く無関係な答や完全な沈黙で答えたら、どうするか。これはコンピュータにとっても、また、教室で教えている教師にとっても、いわば究極の難問ですが、本システムは、次の二つの教授戦略を持っていると説明するのが公正と思います。

  @正しい答を、順序だてて少しずつ教え、その先を考えさせる。
  A時間を掛けて予想解答を充実させ、コンピュータが予測できないミスを減らして行く。

6.本ソフトのリファインシステム

  このソフトは、インターネット上で動いている実行プログラムの他に、管理者用の解答収集プログラムを持っており、学習者がインターネットからアクセスしてくる解答をサーバ内に蓄積しています。また、管理者(私)が、それを閲覧して予想解答を常にリファインし続けています。

7.塾、予備校、学校、個人のホームページ上にリンクを貼っていただくことは歓迎いたしますが、その際は、一言、ご連絡ください。

 リンク先は、http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/highroad/tohr.html です。

8.システムが教えることの内容に何か問題があれば、その解答の後に、日本語で遠慮なく書き込んで下さい。文を書くのが面倒なら、●などの印を書き込むだけでも結構です。管理者に返信を求めるご意見は、『朋盟のホームページ』の表紙の一番下の行の「ホームページのご意見ご感想はこちら」からご投稿下さい。

9.興味のある方は、ホームページの「CAI関連論文集」もお読み下さい。

「朋盟のホームページ」 http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/ 
           E-mail:houmei18@msj.biglobe.ne.jp

10.英作文Highroad 使用上の注意

◎ 解答は、文字も記号もスペースも、すべて半角で入力して下さい。
◎ OKのボタンは、シングルクリックして下さい。
◎ ヒントのアンダーラインの部分をシングルクリックすると、更に詳しいヒントが出ます。
◎ 「正解です!!」の表示が出るまで、解答欄を何度でも書き換えてください。
◎ Back Space キー、又は『戻る』ボタンで、前に入力した自分の解答を見ることが出来ます。
◎ reset ボタンをシングルクリックすると、その問題の初期画面に戻ります。
◎ 制作者(私)にメッセージがあれば、解答欄に日本語で遠慮なく書き込んで下さい。
◎ 返信を必要とするメッセージは、メールで送ってください。
◎ 解答欄の下に過去の入力履歴が表示されて、学習の邪魔になる時は、次の設定をして下さい。

 @ InternetExplorer のメニューから「ツール→インターネットオプション」を開き、
 A 「コンテンツ」の「オートコンプリート」ボタンをクリックし、
 B その中で「フォーム」についているチェックを外し、
 C さらに「フォームのクリア」ボタンを押す。

以上