助動詞・・・動詞の意味を補助してくれるもの

「助動詞の肯定文、疑問文、否定文の使い方はわかるかな?」
「だいじょうぶだよ。
肯定文・・・主語と動詞の間におく。
例:He can swim.
否定文・・・助動詞に not をつける。
例:He can not ( cannot/ can't ) swim.
疑問文・・・助動詞を文頭に出す。
例:Can he swim? Yes, he can. / No, he can't.
ということだよね。」
「そういうこと。要するに、 do や don't 、 does や doesn't と同じように使うってことだよ。」
「うん。それは問題ないんだけど、ひとつひとつの助動詞の意味って意外とわかりにくいんだよね。一見単純なように見えて、いろんな使われ方する言葉が多いし。例えば、 will なんて『未来』って最初に習ったのに、誘ったり、お願いしたりするときも使うし。助動詞も『根っこ』ってないのかな?」
「ちゃんとあるよ。ご心配なく。 will, shall, can, must, may・・・ 。ぜんぶそれぞれ『根っこ』があるからね。『根っこ』を理解してこそ頭の中の『霧』が晴れるのです。」

will ・・・『未来』だと考えると失敗する

「will はね、『未来』を根っこの意味だと考えると必ず失敗するように出来てるんだ。」
「え?そうなの?だって、学校では will は『未来』の意味だって教わったよ。」
「でもね、その他にも will を使って誘ったり、お願いしたり、中三になったりすると未来の条件を表すのに will を使っちゃいけないっていう、いわゆる『条件をあらわす副詞節』なんてのが出てきたりして・・・」
「もう頭がシッチャカメッチャカになっちゃう。」
「でもその謎をすべて解く根っこが will にはあるんだよ?」
「え?何々?教えてよ。 will の根っこは何なの?」
「will の根っこは『意志』『予想』だよ。」
「ん・・・?それがすべての謎を解くの?なんか、『意志』とか『予想』が『未来』につながってくるようには思えないんですけど。」
「『意志』というのは『〜しようっ!』って決める気持ちだよ。何かしよう、と思うことは、つまりそのための予定が立つってことだよね。 will のあらわす未来は『〜しよう、っていう気持ちが作りだす予定』ってことだよ。つまり『〜するつもりだ』という日本語訳がそれをみごとに表しているんだよ。」

例: I will go on a picnic tomorrow. (明日ピクニックに行くつもりです。)

「でもさ、学校では意志に関係ない未来(単純未来)ってのを教えられるよ?例えば、

例: It will rain tomorrow. (明日は雨が降るでしょう。)

これなんか意志とは全く関係ない未来じゃない?」
「そこが中学英語の大きく間違ってるところです。これは、未来ではなく、『予想』なんです。つまり、『明日雨だろうな。』っていう話者の『予想』を話してるだけなの。このように、 will は時間に関係した言葉というよりは、『心の働き』に関係した言葉だってこと。未来だから will をつける、っていうのは早く改めたほうがいい『間違った教え方』のひとつだね。」
「ふ〜ん、そうなのか。じゃあさ、 will のもう一つの使い方、『〜してくれませんか』という、依頼の表現や、『〜しませんか』という勧誘の表現。これは『意志』の根っことどう関係があるの?」
「 will の根っこが『意志』だからこそ、この表現が可能なんだよね。つまり、 Will you ~ ? という表現は、『相手の意志をたずねる』という表現にほかならないんだよ。

Will you pass me the salt ? (塩をとってもらえませんか。)

これは、極端に言えば、『塩をとってくれる意志がありますか?』ということを言ってる、と考えればいいし、

Will you have another cup of coffee ? (もう一杯コーヒーいかがです?)

というのも、『コーヒーを飲む意志はありますか?』ということなんだよ。 Will you ~ ? で相手にお願いするとき、

Please pass me the salt. (塩をとってください。)

という命令文よりも少し丁寧に聞こえるのは、命令文というのは結局命令だから、たとえ please がついてたとしても、結局は相手の意志にはお構いなし、という感覚が根っこにあるからなんだね。でも Will you ~ ? なら相手の意志をたずねてる分、相手への配慮が感じられる。だから丁寧なんだよ。」
「なるほど。じゃあ、とりあえず Will you ~ ? の時は『意志』だ、と考えておけばいいのか。」
「いや、それもある意味まちがいだね。Will you の時だけ『意志』だと考えたり、ほかの will には別の意味があるとか考えるのではなくて、とりあえず、 will をみたら、なにかしら『意志』に関係があるんだ、と考えといたほうがいいんだよ。例えば、普通の will の文は『未来』、 Will you ~ ? の文は『依頼・勧誘』ってバラバラに教えてしまってる中学の教科書でも will を『意志』と考えないと訳せない文はいっぱい出てきてるんだ。例えば、

But how can I get there? (だけど、どうやってそこへ行けばいいんですか?)
に対する、

O.K. I will show you the way to the station.

っていう返事の文。」
「Will you ~ ? の文じゃないから、『未来』って考えると・・。『わかりました。私が駅までの道を教えるつもりです。』・・・?なんかしっくりこないなぁ。」
「そうでしょ?それは、 will をいつも無理やり『未来』で訳そうとしているからだよ。 will は基本的に『意志』なんだ、ということがわかれば、『駅への道を教えようとする意志』を示そうとしている、っていうことが読み取れるから、

『わかりました。私が駅までの道を教えてあげましょう。』

という訳ができるはずなんだよ。ようするに、英単語を、たとえば will なら、『〜つもりだ』とか、『〜してくれませんか』っていうふうに、日本語訳だけで置き換えて覚えるのは良くないんだ、っていうこと。 will なら『意志』という意味、もしくはイメージでとらえて、その度どんな日本語がうまくあてはまるかな、ということを考えていくクセをつけていくべきだね。」
「なるほどね。『日本語訳』、じゃなくて『意味』でとらえる、か。」
「さて、辞書をひくとこのほかにも will の用法がのってます。例えば、

Dogs will bark. (犬というものは吠えるものだ。)

なんてもの。この日本語訳のいったいどの部分が will だと思います?」
「え〜?さっぱりわかんないよ・・・。『吠えるものだ』・・・?」
「will は『意志』と『予想』というのが根っこだとこの項ではずっと説明してるよね。」
「うん。」
「とくに『予想』っていう心の働きはね、もっと深くさぐると、『思い込み』という感覚につながってくるんだよ。」
「わざわざ実験とかするまでもなくわかりきってることでしょ、きっとこうなるよ、ってことか。」
「どんな人でも『犬ってのは吠えるもんでしょ。』と思い込んでるよね。」
「ああ、そうか、じゃあここで使われてる will はこれを話してる話者の思い込みか。」
「そういうこと。他にもこんな表現があるよ。

The door won't open. (そのドア、全然あかないよ。)

これはつまり、ドアの開かないことの100%を表しているんだ。もしくは、ドアに意志があるとして、まあ実際にはそんなことはないんだけど、ドアが頑として開くことを拒んでいるような感覚も読み取れるよね。」
「だから、『ぜんぜん』ってなるのか。『このドアったらちっとも開きやしない。』って感じか。」
「そう。この文はもちろん人にも当てはめることができて、例えば

Tom won't stand up. (トムは全然立とうとしない。)

となるんだね。」
「これならトムの『意志』が will でハッキリと表れるね。」

●いわゆる条件節

「というわけで、 will は『意志』と『予想』だってことがわかったと思うんだけど・・・。」
「結局 will は心の働きか。」
「そうなんだよ。でね、その『予想』という心の働きがない場所ではwill は使えない、っていう例があるんだよね。中学では『条件節』という名前ででてくるんだけど、『条件を表す副詞節のときには未来のことでも will を使わずに現在形であらわす。』っていうふうに教えられる。」
「勘弁してください。なんのことやらさっぱりわかりません。」
「別にわからなくてもいいんだよ。要するにこういうこと。『〜という条件が成立したなら、・・・するだろう。』という文のことなんだよ。たとえば、こんな文」

If it rains tomorrow, I won't go on a picnic.
(もし明日雨だったら、ピクニックには行かないよ。)

「ああそうか。『雨が降るという条件が成立したら、ピクニックにはいかない。』ということか。」
「そう。でもよく注意してこの文を見ると、『明日雨だったら・・』という『未来』のお話なのに will rain ではなくて、 rains というふうに現在形になっているでしょ?」
「ほんとだ。なんでこんなことになるの?」
「『もし雨だったら』というのは、条件だよね。」
「うん。『降ればこうだし、降らなきゃああだし』ってことだね。」
「そう。 ここに、『降るだろうけどさぁ』という『予想』も、『降らせるぞ』っていう『意志』も存在してないね。」
「確かに。そうか、will が『未来』とは関係ない言葉だ、っていうのはこういうことか。つまり、『明日雨が降れば』っていうのは確かに未来の話題だけど、そこに『意志や予想』がなければ will が使われることはない、ってことか。」
「そういうこと。条件節の文では、『予想』や『意志』の話をしてるんではなく、『降ったらこうするけど、降らなかったらこうしない』という『二者択一』のお話をしてるんだよね。 will とは関係ないお話なんだ、っていことがこれでわかったよね。 will を使うか使わないかは未来かどうかではなく、『意志・予想』が扱われてるかどうか、ということで決定されます。だから学校で教える、『条件節、もしくは時を表す副詞節ではwill を使わない。』というルールも厳密にいうと間違いです。なぜなら条件節でも will は使えるからです。」
「はぁ?そうなの?」

If he will come to the party, I will introduce him to Mr. Smith.
(もし彼がパーティに来る気があるなら、スミスさんに紹介してあげるよ。)

「ここで『彼がパーティに来る』っていうのは条件を表すけど、でもこの文では彼が『来る意志』があれば、って話をしてるね。」
「ほんとだ。『意志』を表すから will は使うんだ。」
「なんども繰り返すけど、 will は未来だから使うのではなくて、『意志』や『予想』を表すために使うんです。だから強引な言い方をすれば、『 will に未来という意味はない。』んだよ。」
「うへぇ〜。学校で教わったことが見事に覆されたね。」
「それではほかにも will を使った例文を見てもらいましょう。」


You'll be Mr. Johnson, I guess. (ジョンソンさんでいらっしゃいますね。)

「そうなんでしょう?という『予想』の気持ちが入ってるのか。」
「そう。だから will を使ってるの。」
「だけど、普通に will 使わなくてもいい文なんじゃないの?will を使ってない文となにか違いがあるの?」
「will を使ってない文、つまり、

You're Mr. Johnson.(あなたはジョンソンさんだ。)

という文では状態を表すbe動詞 are が主役になっていて、現在形で使われています。これはどういうことかというと、be動詞は『アナタ=ジョンソンさん』、という『状態』を表していて、現在形は現実、事実を表すから『あなたはジョンソンさんである。これは事実。以上。』って断定してる感じになるんだ。でも will を使っていると『そうなんでしょう?』という自分の予想が入ってる。逆に言うと『自分はそう思うんだけど・・、どうかな』という遠慮もだせる。そのぶん相手に対してやわらかい表現になる、っていうことだよ。」
「いろんな用法があっても、willの根っこの『意志・予想』を抑えておけばなんとかなるもんなんだね。」
「っていうか、それ以外にはないんだよ。」


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助動詞 will :著作・時吉秀弥
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