「さぁ今回はnoとthanの言いたいことをお勉強。」
「なんか大したことなさそうなお題じゃない?」
「そんなことないんだってば!ここから理解すれば、受験英語でもっともわかりにくいといわれる、あの『クジラの構文』が手に取るように理解できるんだってばさ!」
「ああ、『馬が魚でないように、クジラも魚ではない』っていうやつ?あれさぁ、チンプンカンプンだよ。学校や塾の先生も結局はろくな解説もしないで『試験にでるから暗記しとくように。』で終わっちゃったし。」
「そりゃその先生達も理解できてないからだよ。大丈夫。今回はまずその第一歩として『no+比較級』がどういうイメージを持つかを教えるから。」
「大丈夫?こういった比較級の構文ってホントわかんなかったよ?オイラ。」
「大丈夫!まかせといて!でもそのまえに、ふたつわかっておかないといけないことがあるんだ。」
「何?そのふたつって。」
「まずはね、
いったいnoってどういう意味の言葉なのか
を説明しておかなきゃね。」
「え〜?noって、notが強調されてるだけのものでしょ?別に大したことないんじゃないの?」
「そこが大間違い。実際私もそうやって教わってきたし、今でもそう教えてる先生がいるらしいけど、だめだよ、ウソ教えちゃ!noがnotを強調してるってどれくらい強調してるの?noとnotの違いは何?」
「そう言われるとよくわからないなぁ。」
「でしょ?そういうところをあいまいにしたまま、『あとは丸暗記でよろしくね』ってダメ教師っぷりを発揮してるようじゃダメだね。
ちなみにOxford Dictionary of ENGLISH(オックスフォード新英英辞典)には、no = not any, not at all, to no extentというふうに書かれています。早い話noの言いたいことは『ひとつもない・ゼロ』ということなの。そこでこんな公式が出てくるの。


たとえばno moreなら『もっと上かと思ってたら、ちっとも上じゃなかった。変わらないね』ということだし、no lessなら『もっと下かと思ってたらちっとも下じゃないじゃん。すこしも変わらないよ。』no betterなら『もっとマシかと思ってたら、ちっともマシじゃないよ。変わらないじゃない。』ということになるよ。」
「なるほどね。じゃぁ、もうひとつの『わかっておかなきゃいけないこと』っていうのは?」
「それはね、thanは『基準』という意味だ、ということだよ。」
「はぁ?thanは『〜より』でしょ?」
「それは日本語訳!!文脈によってそういう訳がつくときがある、っていうだけ!いつも言ってるように、その英単語の日本語訳と意味は違うからね。ためしに下の文を見てごらん?『〜より』って訳はつかないよ。」

Everybody other than Tom was there. (トム以外の全員はそこにいた。)

「むむ、『トム以外』か・・。なんでこんな訳がつくの?」
「だから言ってるでしょ?thanは基準だ、って。まずはthanの前にother(他)があって、『他といわれても、何を基準としての『その他』なの?』ということに答える情報がその後ろにあるthan Tom (トムを基準にして)だよ。」
「だから『トム以外』か。」
「そう。みんながよく知ってる比較級の文でもthanは基準を意味するということはよくわかると思うよ?例えば・・

He is taller /than I.

このスラッシュよりも前で情報は一度完結するんだ。」
「『彼はもっと背が高いですよ。』」
「でもこれだけだと『何を基準にして、それよりもっと背が高いって言っているの?』ってことになるでしょ?英語は骨となる情報が前、肉付けとなる情報は後ろに来るから、ここで『基準』の情報が後ろにフォローの形でまわってくるのさ。」
「私を基準として考えると、彼はもっと背が高い、ってことか。」
「そのとおりです。この考えが最終的に、クジラの構文、つまりno more A than Bの構文では非常に重要になってくるの。基本をおろそかにしてnoはnotの強調だとか、thanは単に『〜より』ってことだなんていい加減なことやってるから、その延長でしかないno more A than Bがさっぱり理解できないんだよ。」
「お説教はいいからさ、じゃぁさっそく教えてよ、クジラの構文。」
「あせるんじゃないの。その前にこのクジラの構文の基本形となるno more than(たった〜=only)ってのをやってみよう。そうすれば、クジラの構文なんてすぐ理解できるよ?」
「え?基本形?あれはあれでまた別種類の構文じゃないの?」
「丸暗記に頼ってる人はそういうふうに思っているかもね。」

クジラの構文を征服するには、まずはno more than (=たった〜)から!
「まずはこんな文を解説してみましょう。」

This bag cost no more than a hundred dollars.
(このカバンはたった100ドルしかしなかった。)


「これがonlyと同じ、『たった』っていう意味になる理由がわからない。」
「簡単だよ。そのためにこれまでno+比較級やthanの本当の意味を解説してきたんじゃない。」



「『100ドルよりはもっとするだろう』という思い込みが『ストン!と一気に100ドル』か。確かに驚きの感情がでるよね。『たった』っていう訳はそこからでてきてるのか。」
「そうだよ。これをno less than a hundred dollarsにするとこの逆になるの。」
「つまり?」
「『100ドルすることはないだろう、100ドルよりは下だろうと思ってたら全然そんなことはなくて(no less)、100ドルだったよ(than a hundred dollars)』。こんどはマイナス方向の思い込みが『ゼロにされる』ことでプラスにひきあげられるんだ。」
「すると『100ドルより下だと思ってたのが一気に100ドルに引き上げられて、ビックリした、100ドルもした』ということになるのか。」


This bag cost no less than a hundred dollars.
(このカバンは100ドルもした。)


「そのとおり。ここまでくれば、こんなのもわかるようになるよね。」

He was no better than a dead.(彼は死人も同然だった。)

→死人よりはマシかと思ってたら、全然そんなことはなくて死人のレベル(=基準:than a dead)。つまり、死人と変わらない。

「ちょっと難しいけど、これも原理は同じだよ。」

No sooner had I left the house than it began to rain.
(家を出るやいなや、雨が降りだした。)

→雨が降りだしたのより、もっと早くに家を出たと思うでしょう?つまり家を出て、もう少ししてから雨が降り始めたとおもうでしょう?ところが家を出たのは全然早くなくて、雨が降りだしたのと同じ基準点(=同時)にあったんだよ。

「うん。わかってきたよ。だから冒頭にあったように『no+比較級=“変わらない”』ってことになるのか。」
「じゃぁ次回はいよいよクジラの構文を撃破!だ!」


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no+比較級を撃破!!・著作:時吉秀弥
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