●for の語源は「前」●
forという前置詞は、その大先祖にあたるインドヨーロッパ祖語のper-にまでさかのぼると考えられ、このper-は、ラテン語においては、per-(=through・一部始終)や、pro-(=前方へ)という接頭辞に発展していった言葉です。
英語の中においては、forward(前方へ)のfor-や、before(〜の前に)の-foreも、もとを辿れば同じ根っこにたどり着きます。
つまり、forは、「前」という言葉を語源にしているのです。

そこで for という言葉の全体像を眺めてみると、このような形が見えてくるのではないか、とヒデヤさんは考えます。



まず今回、「for の言いたいこと・その1」では、(1)を眺めてみましょう。


ここで大事なことは、まぁ、いろんな学者さんがすでに述べてることですが、同じように方向性を持っていても、to とforはまったく違うイメージを持っている、ということです。それは以下の通り。

★to は「着いてます」(A to B は、AというボールがBといういボールにカチンと当たるイメージ)
★for は「着いてません。目指してるだけです、向かっているだけです。」

例えば、こんな文。着いてますか?着いてませんか?

I went to Shibuya. (私は渋谷に行った。)


I left home for Shibuya.(私は渋谷を目指して、家を出た。)

例えば電車の行き先表示で、「池袋行き」は 'to Ikebukuro' ではなく、'for Ikebukuro' ですよね。「池袋行き」と表示の出ている電車が、池袋駅のホームにいるところを想像してみてください。


ね、おかしいでしょ? for Ikebukuro が表す「池袋行き」というのは、池袋駅に着いていてはだめなんです。池袋駅をはるか遠くに目指して、走っている、そういう状況じゃないとだめなんです。ちなみに「池袋に到着した。」が

We've got to Ikebukuro.

というふうに、to を使うのは、to 自体に到着する、という意味があるからですよ。getは基本的に、「手に入れる・ゲットする」という意味しかありません。すると、 'to Ikebukuro' の状態をゲットする、ということですから、「(それまで池袋に着いてなかったのが、)池袋に着いてる状態をゲットする」=「池袋に到着する」ということです。
さて、それでは、この for の「目指す」感覚が作りだす意味の広がりを見ていきましょう。

●賛成●
Are you for the opinion, or against it?
(あなたはその意見に賛成なの?それとも反対なの?)


●目的●
I'm looking for the key. (鍵 を探してるんだけど。)



I have saved money for a motorcycle.
(私は、バイクを買うためにお金を貯めてきた。)



さて、今回、「for の言いたいこと・その1」では、このように for を目標のイメージでとらえてきました。しかし、このイメージ、別の見方をすれば、こんなイメージでもとらえることが出来るはずです。


つまり、イメージにするとこんな感じ。


これが次回お話する、forその2=「等価交換・引き換えのイメージ」です。
for における「交換」の用法は、伝統文法では認められており、辞書にも「交換の for」というのは載っていますが、認知意味論ではまだ認められてないのかもしれません。なぜか私がそう思うのかというと、最近NHK教育でやってる「新感覚・キーワードで英会話」では、慶應義塾大の田中茂範教授が、そして、同じくNHK教育・「ハートで感じる英文法」ですっかりおなじみになった東洋女子短期大学の大西泰斗教授も(1)の「はるか前方に目指す目標」を中心にforを考え、この「交換のイメージ」には触れないからです。もし彼ら、そして認知意味論の学会がforに交換のイメージを認めないというのなら・・・、

次回!敢えてわたくし時吉秀弥がそこに挑戦状を叩きつけます!判定はみなさんにお任せ。乞う御期待!

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forのイメージ1・著作・時吉秀弥2006年