ともチャンの川柳句集4
2002.10月〜2003.9月 作品
2002.10月作品
お題「顔」
この顔で 人を殺すか 男の子 |
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当たったな 顔がにたにた 万馬券 |
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この声は 凄い美人と 思い込み |
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大物は 顎しゃくるだけで 通り過ぎ |
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円熟の 夫婦見合す 顔と顔 |
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泣き顔に やはり悪いは こちらかな |
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この地蔵 座りたい顔で 立っている |
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生き生きと している顔は 旅支度 |
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重役会 同じ顔ぶれ 進歩なし |
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お題「目」
NHK 口で詫びても 目は詫びず |
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サングラス はずすと涼しい 人となり |
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政治家の 眼(まなこ)どなたも よく濁り |
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心から 笑っていない コンタクト |
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倒産です あのワンマンの 寂しい目 |
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ピアニスト 佳境の時には 目を閉じて |
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にらめっこ してもつまらぬ 老夫婦 |
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仏様 浮世を見つめて 目は閉じて |
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小泉の 細い目いつしか 垂れ下がり |
2002.11月作品
お題「朝」
朝一番 苦情の電話で やる気なし |
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張り合いの 無い朝が来る 定年後 |
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散っていく 花にも朝は 水をやり |
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盆踊り 朝まで踊る アホが居る |
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朝早く テレビ一人で はしゃいでる |
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今朝もまた 天気予報は 嘘ばかり |
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富士の山 一人で見たい ご来光 |
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朝なのに 不倫の恋は 直ぐ燃える |
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朝食に 湯豆腐がでる 良い旅行 |
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お題「家」
この家は 風呂敷似合う 門構え |
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震災後 筍の様な 家ばかり |
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これからは ロ−ン背負って この家に |
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太陽が 見えぬ家だと 言われたい |
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地震でも 無いのに揺れる 家に住み |
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円熟の 夫婦黙って 残る家 |
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床柱 欄間は何処 今の家 |
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40年 家も自分も 皆疲れ |
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この暑さ 雨降り家も 嬉しそう |
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2002.12月作品
お題「気」
「気をいれて」 掌かざして 人だまし |
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過去の事 流したい気で 雲見つめ |
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気だけで 勝てるわけ無い 草野球 |
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気もそぞろ 発車のベルに つり出ない |
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気までは 映し切れない 防犯カメラ |
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本心が うっかり漏れる 独り言 |
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老夫婦 黙ってお互い 気は通じ |
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気は先に 身体は残る 初マラソン |
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「本気だよ」 何べん言ったか 過去の恋 |
お題「三」
初ゴルフ 三人三様 教えられ |
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どうみても 3位が美人の コンテスト |
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三叉路の 信号長く 夏暑し |
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三行半 昔はこれで さようなら |
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結局は 最後にもてる 三枚目 |
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今年まで 義理のお歳暮 三千円 |
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三味線の 音色に色気の 京の宿 |
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負け試合 三振覚悟で 補欠出し |
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不景気に やっと三卓 今日の客 |
2002年のニュ−スから
捨てがたい 日本人あり ノ−ベル賞 |
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悪知恵で 溶けて流れた 雪印 |
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拉致家族 埒があかずに 年を越し |
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あの昂奮 今は何処へ 球技場 |
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へまばかり 取るな銀行 手数料 |
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やっぱりね ハムが肉とは おこがましい |
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株持たず 株価の上げ下げ 縁が無し |
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イクラ食べ イラクを心配 寝正月 |
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経済も 鬼の平蔵 TVだけ |
お題「道」
三千院 この道こんなに 混むなんて |
湯豆腐に 黄昏近し 京の道 |
回り道 しているつもりが 同じ道 |
こんな道 歩ゆむはず無き 我が人生 |
工場の 灯火消えず 道照らし |
道しるべ どう読むのか 道遠し |
平和への 道が嫌いな アメリカ人 |
道ならぬ 恋を求めて この年で |
道ならぬ 恋ほど燃える 昼下がり |