ともチャンの川柳句集2

2000.10月〜   作品

10月以降作った句です。

 

 

2000. 10

「小さな幸せ」

一人旅 駅まで来たよ 一夜妻

老夫婦 エスカレ−タ− 手をつなぎ

靴下の 柄も派手めに 今日ゴルフ

定年後 まだ来るママの 年賀状

上にぎり 自分の指も 旨そうに

福引きで 3等の鐘 鳴り響き

見も知らぬ メル友今日も 1人増え

パレ−ドに 軍隊がない 御堂筋

試供品 あっちとこっちで 又貰い

 

「もったいない」

我が人生 寝てる時間の 多いこと

又舗装 土が無くなる 我が田舎

投資だけ させて息子は 家を捨て

金かけて 衛星打ち上げ このTV

「もったいない」 云いたかったぜ水戸泉

国宝と 聞いてあわてて 手を合わせ

台風に 地に落つ度胸を リンゴ決め

恥ずかしい? 母乳やらない 今の親

定年後 晩酌の手も ゆっくりと

 

 

 

 

2000.11

「これだけは譲れない」

神戸っ子 イチロ−去っても オリックス

ゴマすれば あの時出世 出来たのに

健康を あざ笑っている 喫煙所

梅干と 海苔とで世界を 見て周り

似合わぬと 分っていても ベレ−帽

背もたれの 柱を探す 宴会場

ゴキフ゛リは 叩いて殺して 投げつける

最下位と 分っていても タイガ−ス

 

「ごめんなさい」

声からす 共同募金を そっと避け

道ならぬ恋は 正義を 貫けず

浮気して 心は詫びるが 知らぬ顔

平成で 廃れた言葉 「ごめんなさい」

将来は わかりませんよと 大企業

投票は 別の人だが 握手する

この店で 買わぬが 見本は皆貰い

何故言えぬ 議員の一言 「ごめんなさい

酒も飲み タバコも吸ってる 医者注意

 

 

 

2000.12

21世紀」

ロボットが ちゃんちきおけさの 来世紀

錆付いた 日本の政治は そのままに

張り合いの 無い朝がくる この日本

税上がり 利息上がらぬ 年ばかり

太陽に 唾をかけたい 人ばかり

来世紀 ますます強く なる女

堰き止める 水の無いダム あちこちに

定年が 延びて70 お茶を汲み

国よりも 何処の星かで 怒鳴りあい

 

「重大ニュ−ス」

これからは ジャンケンで決めろ 大統領

子が親を 親が子を刺す 世紀末

金持ちが 微笑むだけの プロ野球

使ったら 軽蔑される 2000円

客呼べる 選手はみんな 大リ−グ

わが日本 栄養とるのに 命がけ

新聞の 書けないニュ−スが 恐ろしい

心配が 毎日あった この1年

櫂のない 船は何処へ 日本丸

 

 

 

2001.1

 

「こたつ」

何もせぬ 手だなとこたつで じっと見る

外は雪 ここは天国 掘りごたつ

毛糸編む 指がこたつで 踊りだす

お互いに 四方へ長く 言葉無く

やったぜと コタツの中から ババを出し

足伸ばし 太もも触れる 喜びを

円熟の 夫婦黙って ミカン剥き

高温に するとコタツも 嬉しそう

雪しんしん お互い黙って TVだけ

「テレビ」

静けさや 画面はやっぱり キスシ−ン

くだらないと云いつつ明日も 見るテレビ

品の無い 政治家くっきり ハイビジョン

サスペンス おんなじ曲で 人が死ぬ

何人の AD泣いてる このドラマ

結局は 政府の肩持つ NHK

能登か伊豆 犯人捕まる 崖っぷち

本心が うっかり出ました アップ顔

昨日の 明日の天気は 何だった?

 

 

 

 

 2001.2

「カ−ド」

カ−ド買い 一時しのぎの 満足感

持っている だけのゴ−ルド 見栄を張り

カ−ド持ち 心丈夫も 残はなし

押したなら 自分を捨てる タイムカ−ド

?カ−ド 不機嫌そうな お土産屋

使えるか? 気弱な男の VISAカ−ド(CM

年一度 使うがやっとの ANAカ−ド

ダイナ−ズ 見せびらかしてる 不良爺

英語など しゃべれなくても アメックス

世界では まだまだ不便な JCB

 

「電話」

 

携帯で 指ポツポツと 初メ−ル

 

恥と言う 言葉忘れて しゃべりあい

 

電話だけ 進歩、会話は 追いつけず

 

過去みんな 忘れたい気で 電話かけ

 

物売りの 電話に走り 足くじき

 

BOXに むなしくはためく ピンクびら

 

電話して メ−ル見たかと 確かめる

 

FAXの 無い電話ですかと 馬鹿にされ

 

若い子の 本心知った 車内TEL

 

 

 

 

2001.3

「薬」

使わずに きくぜきくぜと バイアグラ

オロナイン 傷口以外に 多く塗り

正露丸 今度もお供で ヨ−ロッパ

擦り傷は アカチンヨウチン ゆきのした

その身体 薬をのんで 太る気か?

どん底の 暮らしを救う アリナミン

今日もまた 梅肉エキスで 身を清め

棺桶に 薬を入れて 送り出し

作ってる 奴ほど使わぬ 医薬品

「自動車」

大空を 飛んでいきたい この停滞

 

お前らは 信用できるか? 選挙カ−

 

車見て 敬礼差別の ホテルマン

 

初不倫 人の目盗んで 走り出し

 

久しぶり ワックスかけたら 雨になり

 

乗り心地 意識しないは 霊柩車

 

ワンマンも 車内でふっと 寂し顔

 

CMの 自動車走る 又走る

 

車より 心を磨け ボケ亭主

 2001.4

『調理器具』

綺麗だけ おいしさ何処へ 調理器具

久しぶり ミキサ−回り 嬉しそう

この頃の 包丁人を 刺しまくり

すりこぎで 年寄りの味 生き返り

チンという レンジの音が 近代化?

錆付いた 鍋ほどおいしい 煮たきもの

舶来で 固めた器具は 味気なし

独り者 朝の会話は 電子ジャ−

泡だて器 いつも出番の ない料理

「ご み」

 

これがゴミ? 日本の贅沢 垣間見る

 

新組閣 手抜き掃除か ゴミ残し

 

ご亭主が ゴミ袋持つ 平和かな

 

見栄はって グッチの袋に ゴミを入れ

 

斎場も 言わば人生 ゴミ捨て場

 

定年後 どうせゴミだと 不貞腐れ

 

赤ちゃんの 両手ゴミとは 縁が無し

 

阪神が 破れメガホン ゴミになり

 

日本語の ゴミが少ない 子供部屋

 2001..5

[弁当。給食]

幕間の 弁当あわてて 咽喉つまり

一人旅 車内弁当 こっそりと

この会議 弁当で知る 重要さ

駅弁は フライの衣(ころも)が 威張りすぎ

愛妻でも ないのに弁当 ひやかされ

好きな子と 同じおかずを 残す愛

握り飯 やっぱり美味いは 竹の皮

弁当が 美味い会議は 和気あいあい

給食に 爪楊枝がいる 町工場

『愛玩物ペット』

親子して 見習え 猿の毛づくろい

 

鶏も 空を飛びたい 夢を持ち

 

こらペット 入ってくるなと ペットボトル

 

ふと気づく 猫も退屈 そうな顔

 

足音を たててアイボは そろそろと

 

戦争を 知らない鳩でも 平和とは

 

良く見ると サボリの蟻も そこかしこ

 

この家で 系図を持つのは この仔犬

 

庭走る 他所の猫には 石を投

 2001.6

『事務用品』

 

ご祝儀の 袋は豪華 人並みに

 

定年後 何処へ行ったか ホッチキス

 

押しピンは 使うなここは マイハウス

 

ご署名を」 慇懃無礼に いやな筆

 

奉加帳 ボ−ルペンでは 情もなし

 

間違って 自分も消したい シュレッタ−

 

コピ−機の 前は皆の 情報源

 

筆ペンは 蝙蝠みたいな ずるい字に

メ−ルには 負けじと毛筆 返事書き

 

 

 2001.7

「アクセサリ−」

 

葬式も 結婚式も 白パ−ル

 

おっさんの カフスは何故か ウェッヂウッズ

 

自衛隊 これも日本の アクセサリ−?

 

イヤリング 外す二の腕 艶かしい

 

温泉で おやまあこいつが 金ネック

 

別れても 結局いつもの アクセサリ−

 

牛思う おいらの鼻輪も アクセサリ−

 

イヤリング 父が驚く 娘に育ち

本業は 何かわからぬ この指輪

 

 

 2001.8

 「トイレ」

 

高速の トイレ女性は 恥忘れ

 

最近の トイレ臭わぬ 映画館

 

 日本人 馴染めぬユニット バストイレ

 

これも運? 並ばぬ列は 入れ替わり

 

糖尿の 気配残して 人は去り

 

何故かしら 字を書きたがる 立小便

 

幕間の トイレ花粉が 入り乱れ

 

さりげなく 美女の後へと 飛行トイレ

北風に 吹き寄せられた 立小便

 

2001..9

『酒』

 

酒飲みは ボケでマヌケで ドジで馬鹿

 

酒飲むと 直ぐに触るな くそ親爺

 

この頃は 送別会でも 自腹酒

 

「お-い まだ?」 酒飲み叫ぶ 鮭茶漬け

 

酒飲みは 本音を吐いて 知らん顔

 

健康を せせら笑って 一升瓶

 

酔うほどに 善人返事も しなくなり

 

酒飲んで 時の流れに 背を向ける

 

友情が かき消されるほど 酒を飲み

 

 

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