私が胸を張って読んだといえるのは、せいぜい司馬遼太郎の本ぐらいである。 「街道をゆく」シリーズの国内編以外は、小説だけでなく対談集の類いもすべて読んだ。 大半は20年以上前に読んだから、細かい中身は全く覚えていないが。 司馬先生の本は特に面白いわけじゃない。 知識欲で読んでいただけだ。 そんな中でも唯一面白かったのが『燃えよ剣』。 土方歳三を主人公にして新撰組を描いた作品である。 司馬先生の本にしては躍動感があったような記憶がある。 目標が近視的で分かりやすいのも面白さにつながっているのかもしれない。 いまだに新撰組に人気があるのは、あの小説のおかげなんじゃないかな。 新撰組は人を斬りまくるからゲームの題材としても割と向いているような気はする。 もっとも基本的には負け組だから、展開に困ることが予想される。 一方で、幕末の志士の中で一番に人気があるのは、やはり坂本龍馬だろう。 ただし基本的に龍馬は闘わない。 北辰一刀流・桶町千葉道場の塾頭にまでなったけど、あれはたぶん剣術がスポーツ化してたからだろうな。(塾頭だったという明確な資料はない、という話もきくが) あんまり血なまぐさいゲームには向いてないかもしれない。 もし新撰組と坂本龍馬をくっつけて描ければ、補完できる部分もあるような気はするんだ。 ところで、いよいよ最後になりました。 PS4に残された選択肢は。 ギリギリプレイしてもいいかなと思えるのは、『龍が如く 維新!』だけになってしまったのだ。 PS3でも発売されるぐらいだから、PS4ならではの部分が期待できないのは最初から分かってたけどね。 やってみたら、相変わらずまあまあよく出来た作品だったな。 戦闘部分は誰でも出来るような作りだし、どこへ行ったらいいのか何をしたらいいのか分かりやすい。 経験値稼ぎで時間もつぶせる。 メインストーリーを追っていくと、必ずサイドストーリーにぶつかるように作ってあって、さわりだけやらせるあたりも上手い。 プレイヤー側で特に意識しなくても、サイドストーリーでプレイタイムが稼げるようになっている。 こういうゲームは必要だな。 このレベルの作品が年に二三十本もあれば私も退屈しないで済むのにね。 まあゲームの中身はどうでもいいんだけど、私はこのお話の着想が気にいっている。 我々が知っている龍馬は偽物で、本物の龍馬は仇を探すために新撰組に入ってるってのは、なかなか斬新じゃないか。 これは思い切ったな。 我々が知っているお話には全く縛られないから、どう展開するのか予想がつかなくて面白かったよ。 龍馬が新撰組いてくれればバンバン斬ってもおかしくないし、新撰組が全面的には悪者にならずに済むメリットもある。 おそらく既存のキャラを当てはめるために無理矢理ひねり出したシナリオだろうとは思うけど。 無理矢理といえば、配役はホントに無理矢理だった。 なんか面白い着想があって、それなりにお金をかければ、特に目立った進歩のないゲームであっても十分楽しめるってことが確認できた、この『龍が如く 維新!』では。 ハッキリ言えば、狭義の意味ではゲームに面白いところなんか何一つなくても、満足は得られるんだ。 やっぱ、ひとつ突き抜けた着想は必要だな、ゲームのストーリーにも。 <後日談 2014_09_06> 「小説だけでなく対談集の類いもすべて読んだ」の部分に自信がなくなってきた。 昔はインターネットを使ってなかったから、全体がどれだけなのか確認しようがなかったから。 いま本のタイトルを見ても、ホントに読んだのかいまいち自信が持てない。 |