ぜひ完成させたいと思っているバッティングフォームがある。 元ヤクルトの八重樫を想像してもらえばわかりやすいだろうか。 八重樫、なんて言っても知らないかもしれないが。 右で打つとどうもしっくりこないのだ。 左で打つと腰が回るのに、右で打つとスムーズに回らない。 たぶん肉の付き方が左右対称になってないんだろう。 だったら、球が来る前に思い切り開いちゃって、前で捌いてやればいいんじゃないか、と思ったのだ。 でも、それだけじゃ面白くないので、足を高くあげてみることにした。 すると、これが気持ちいい。 すごくワイルドなスイングになるのである。 私はこのバッティングフォームをモノにしたかった。 もっとも、普通に考えて、こんなので打てるわけがない。 体が開いちゃうとミートポイントが極端に狭くなるし、足を高く上げると頭が動くから精度も上がらない。 一時期、バッティングセンターに通って練習したのだが、速い球にはまるで対処できなかった。 せいぜい当たっても110km/hまでだったな。 それでも、私はこのスタイルで打ちたいのだ。 いつも野球放送観ながら、テレビのリモコンをバット代わりにタイミングを合わせていたものである。 ところが、ほんとにリモコンで打てるようになったのである。 Wiiはすごいな。 今までイメージの世界でやっていたことを現実にしてしまう。 『Wii Sports』のベースボールには感動した、少なくとも最初は。 私は部屋の中で八重樫打法を存分に堪能したのである。 ただ、それは長続きしなかった。 やっぱり『Wii Sports』の中でも八重樫打法は通用しない、レベルが上がってくると。 敵さんも150Km/hオーバーの直球に変化球を織り交ぜてくるからね。 足を上げてテイクバックを大きく取っていたら、とても対応できない。 結局、手首だけでやった方が上手くいくのである。 Wiiの難しいところはここだ。 喜びを最大にすることと、精度を上げていくことが一致しない。 置き換えの距離を近くすることがWiiの素晴らしいところなんだけど、それはゲームが上手くなることと必ずしも一致しないんだな。 これを防ぐためには、それを一致させることが出来る対象をゲームにするか、もしくは上手いことに価値を置かないようにするしかない。 確かに通称『ヘルスパック』と呼ばれているものは、この条件を満たすかもしれないが、それは一本あれば事足りてしまうだろう。 考えれば考えるほど、Wiiは難しい。 スポーツでもアニメでも置き換える対象を先に決めてしまうと、Wiiっていうのは酷く出来の悪いゲームを生み出してしまう可能性が高い。 創りやすいと言われながら、なかなかタイトルが出てこないのも分かる気がするな。 |