ナイツ〜星降る夜の物語〜

守れないイメージ 2008_01_05

 

ゲームを創るのはもちろんプレイヤーではなく、ゲームの制作者の方である。
一方で、プレイヤーの内側に描かれる世界は当然にプレイヤーが寄与したものだ。
少なくともプレイヤーの内側にある限り、その世界に住むキャラクターのイメージはプレイヤーのものであってしかるべきである。
しかし、そのイメージすら守ることが出来ない。
いま現在そうなりつつあるし、これからは益々そうなっていくことを覚悟しなければならないだろう。

ようやくWiiの『ナイツ〜星降る夜の物語〜』をプレイした。
しばらくプレイしてなかったのは、正直言うと、あまりプレイしたくなかったからだ。
私はSSの『ナイツ』について、SSを支えたソフトだから、あるいはエンディングが素晴らしかったから、という理由で過大に評価しすぎているのではないか、という疑いを自分に対して持っていて、あまり触れたくなかったのである。
思い出は美しいままにしておいた方が良いこともあるだろう。

しかし、折角発売してくれたのに買わないのも申し訳ないような気がした。
ついついスタートしてしまい、『ナイツ』が大変なことになっていることに気づかされたのである。
これはホントに大変!
だって、ナイツがベラベラ喋るんだよ。
めちゃめちゃチャラい。
それに驚くほどフレンドリー。
なんじゃ、こりゃ?
孤高のイメージは何処へ行ったんだ?
ふざけんなよ、コノヤロウ!

これは一体どうしたことだろうか。
ま、もちろん考えれば判るんだよ。
そもそも海外メインに作られていることは。
主人公の絵柄が明らかに日本人好みじゃないからね。
おそらくナイツのイメージを変えたんだろうね、ピーターパンに近いキャラクターに。

SSってハード自体が海外であまり売れなかったと聞く。
おそらくSSの『ナイツ』も売れなかっただろう。
従来のナイツを継承するより、欧米ウケするキャラに変えた方が得策だと判断したんじゃないかな。
ほぼ新作のつもりで。

非常に残念なことだけど、日本のゲーム市場は相対的に見るとどんどん小さくなっている。
DSの登場で市場規模が大きくなってきたとは言っても、従来型のゲームが売れているわけじゃないからね。
Wiiのゲームだってまともに作れば開発費は億の単位でかかる時代だから、日本で売れなきゃ、他のどこかで売らなきゃしょうがない。
もはやゲームは我々のためだけに創られることはないのである。

もちろんゲームを我々の手に取り戻す方法がないではない。
日本の市場が海外に比べて大きくなればいいのである。
しかし、そんなことあり得ないわな。
だって、そもそも日本人って、世界人口の50分の1しかいないんだから。
販売額で見ると、日本:北米:欧州=1:2:1ぐらいらしいけど、日本以外はどんどん伸びているから、どうしたって日本向けは弱くなるに決まってる。
仕方がないんだよ。

ちなみにWiiの『ナイツ』、ゲーム自体は昔のままのように思えた。
最後のステージもそのまんまだったような気がする。
ただそれが面白いのかどうかを考える気にはなれなかったな。
ナイツの変貌ぶりが衝撃的すぎた。
やっぱりプレイしない方が良かったんだろうね。


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