パタポン2

プレイヤーに幅を許容すること 2008_12_16

 

『パタポン2』は私にとって極めてタイムリーな作品であった。
というのも、私はつい先日前作『パタポン』をクリアしたばかりなのである。
あれは非常に面白かった。
となれば、これは買わざるを得ないじゃないか。
これを買うと憎きSCEの懐を暖めてしまうという問題はあるにしても。

しかし、同時に一つ心配でもあった。
『パタポン2』は良くできた続編故の問題もあるだろう、という予感もあったのである。
大抵の場合、続編には新規な要素が加えられる。
それは複雑になることを意味しているので、逆に個々の要素の難易度は落ちてしまう場合が多いのである。
要するに日和った印象を受けるのだ。
この辺がどうなっているか、が私の心配事であった。

今回の『2』では、一番の変更点はフィーバーが持続しやすくなったことである。
やはり「できない」という声が多かったのだろう。
一発でフィーバーが終了するのではなく、一回警告が出るようになった。
つまり2回連続で入力ミスしない限りフィーバーが終了することはないのである。
これで相当多くの人がフィーバーを継続できるようになったろう。
これはゲームが落ちたことを意味している。

ではその代わり何でゲームを担保するのか、という話になる。
『2』では今回レベルアップ要素を入れる事で、ゲームを担保することになったようだ。
これはリズムを取る負荷を時間的負荷と入れ替えてやったことになるだろう。
上手くならなくても時間さえ掛ければクリアできるようになったのである。
おまけに、難易度選択まで出来るようになったから、前作に比べるとかなり幅広いプレイヤーに対応できるようになったろう。
私もレベルアップするの大好きなので、極めて満足度が高かった。

しかし、このことはやはり弊害も持っている。
私は実際にこのゲームの中で経験した。

『2』では7合目あたりに意図的に壁として置いたと思われるステージがある。
創り手はプレイヤーの理解度を上げるために壁を入れておくのだ。
壁にぶつからなければ、プレイヤーは理解しないまま進んでいってしまうからである。
具体的にはボスキャラの攻撃に周期性を持たせ、防御と攻撃を徹底させる狙いがあると思われた。

しかし、私はこの周期性になかなか気付かなかった。
クリアできないからレベルアップで力押ししてしまったのである。
レベルアップするための単調なアイテム集めに耐えている間、かなり眠かったな。
気付いたときには後の祭りである。
私は強くなりすぎていた。
そこから凄くかんたんにクリアできてしまったのである。
この失敗でちょっと印象が悪くなったな。

『1』の時には全員にフィーバー出来るところまではやれ!と強制することによって想定するプレイヤーの幅を縮めていた。
ただゲームを創る側としては幅は拡げなければならない、という要請がどうしてもあったんだろう。
幅を許容すれば、当然難易度のマージンも拡げなければならなくなる。
すると、私みたいなプレイヤーが出てきて、悪いけど自分でハードモードでも選んでください、という話になるわけである。

この『パタポン2』は極めて満足度が高かったし、実際長い時間遊んだ。
今年クリアしたゲームの中では一番楽しかったといってもイイぐらいなんだけど 、『1』の時ほど褒めたいとは思わないんだよな。
良くできたゲームの続編はまことに難しいものである。


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