仮想プラットフォーム

仮想プラットフォーム 2003_01_03

 

「素晴らしいゲームは売れなければならない。
 そのためには妥協も必要だ。」
自分で書いていて、ホントか?と疑問が沸いてきた。
だって、ユーザーフレンドリーな構成を取ってプレイヤーの満足度を上げたところで、大して売り上げ変わらないじゃない。
中古で売り上げが吸収されてしまうため、面白いと評判になってもメーカーさんが潤うかどうかは疑問である。(この点に関しては心が痛む)
だったら、創り手が自己満足を追いかけてゲームを創ったって良いのかもしれない。

じゃあ、「売れなくても構わない素晴らしいゲームの開発」ってどんなゲームの開発よ?って考えてみる。
まあ、全く売れないのは困るので、「一定量は売れるゲームの開発」と言った方が良いかもしれない。
要するにまたゲームを創りたくなる程度に収支の格好が付けばいいとも言えるのだ。

1.少人数で開発できる
2.特別な開発機材が要らない
3.ライセンス料ゼロ
とか、条件は色々出てくるのだが、結局これらは全て「PCを使え!」という方向へ議論を向かわせることになる。
コンシューマーはやはり敷居が高い。

しかし、今までにも書いたことがあるように、PCには問題がある。
プレイヤーの状態が特定できない、という問題である。
それこそ星の数ほどパフォーマンスの異なるPCが存在するため、作り手はどこを見てゲームを創ったらいいのか判らないだろう。
なぜならば、ゲームの創り手はいつも制限を考えているからだ。(ゲームを作ったことのない私が言うのもなんだけど)

例えば、「一体につきこの程度のポリゴンは欲しい」という要請があると、必然的に「じゃあ、同時に画面に出せるのは3体までだな」という決め事が出てくる。
これはハードウェアが固まっているから出てくるわけだ。
そこでようやく「じゃあ、その3体でどう演出しようか?」という話になるのだろう。
処理落ちするかどうか判らない様な状態でゲームをつくってて、良い作品が生まれるはずがないじゃない。

私はここまで考えてきて、「じゃあ、制限をつくってやったらどうよ」と思った。
例えば、DC程度の規格をPC上でつくってみたらどうだろう?
PCを仮想的なプラットフォームにしてみるわけである。
ここでは「ランクA」とでも名付けておこうか。

<ランクA>
処理速度はDC相当
CD-ROM12倍速相当
ハードディスク禁止
メモリは16M限定
画面表示は640x480のみ
directXはver.5まで

あくまでもこれは例えだけど、出来るだけ厳密に規格を作る。
ハードウェアがこれを越えている場合は、強制的に遅く動作させる。
速い分にはいいだろう、という考えは良くない。
遊び手がどんなPCを使っていても同じ状況にあることが大切だからだ。

他にも「ランクB」をXBOX程度とか、複数のランクを作ってもいいね。
もっとハイパフォーマンスなゲームを創りたい人もいるだろうから。
要するに、キチッと規格が決まっていて、多くのクリエイターがその制限の中でゲームを開発できればいいのである。
そうすれば素晴らしいゲームはPC上でも生まれてくるのではないか。

この仮想プラットフォームの良い点は、お金がかからないところ。
通常コンシューマーではプラットフォームを普及させるために原価割れで本体を販売しなければならないが、そこら中にあるPCを使うので初期投資はほとんど必要ない。
もっとも、基準を満たしているかどうかを判定し、メーカーさんに規格を守らせるための機構を維持しなければならないので、いくらかライセンス料を取る必要があるかもしれないが。
他にも、ユーザーのPCがランクのどこまで対応しているかを調べるためのベンチマークを作ったり、ランクに対応した専用ゲームパッドを発売したり、考えればやることは幾らも出てきそうな感じではある。

DCも終わったことだし、セガあたりが音頭をとればいいのになあ、とか思ったり思わなかったり。
マイクロソフトにイニシアチブをとられるのはイヤだなあ、と激しく思ったり。
まあ、私は出せるアイディアは出したので、後はおませで。(とりあえず書いたので、私は満足)


戻る