テレビゲームはゲームの中でも得をするものである。 得をする方法の一つとして、ゲームの中の行為に価値づけをしたり、現実世界で価値のある行為とゲームの中の行為を置き換えることは普通に行われている。 そんな中でもちょっと難しいことに挑戦しているゲームに出会った。 それはGamePassの中にあった(厳密にはEAplay)『UNRAVEL two』というゲームである。 これについて書くために、前作の『UNRAVEL』の重要な部分に触れなければならないので、何も知りたくない方は読み進めないでください。 GamePassのおすすめに頻繁に表示されたのが『UNRAVEL』とその続編『UNRAVEL two』だった。 紹介ページに表示されるヤーニーと呼ばれる毛糸のキャラクターはあまり可愛くない。 正直あんまりやる気にならなかったのだが、ほかにやりたいゲームもないので試しにやってみただけである。 新しい方が出来は良いだろう、と思って『two』の方から。 しかし、やってみたらこれは面白かった。 これは、自身の毛糸でつながったキャラクターがお互いを引っ張り上げたり、片方を支点にしながら振り子アクションで遠くへ飛んだりする、アクションアドベンチャーに属するゲーム、なのかな。 めちゃめちゃよく出来てた。 プレイヤーをきちんと誘導するように創られているし、難易度も絶妙。 ゲームが素晴らしいだけでなく、CGにも力が入っていて、拡大した時にもリアルに見えるほど描きこまれている。 EAのブランドでこんなに面白いゲームがあるとは知らなかった。(パブリッシングしただけかもしれないが) ただ一つだけ気になることがあった。 プレイの背景に、大人から逃げている二人の子供の残像みたいなものが表示されるのである。 これがまったく意味不明。 どうやら二人の子供の感情と2体のキャラクターをリンクさせてほしいと思っているらしい、創り手は。 でも、ヤーニーと子供たちの間には何の関係もないんだよ。 子供たちが兄弟なのか友達なのかすら分からないのに、感情移入はできないよね。 えらいまた難しいことをやってきたな、という印象はあった。 あまりに面白かったので、前作の『UNRAVEL』も私はプレイした。 すると、やはり『two』ほど出来は良くない、というか、悪くはないけど、洗練されてはいない感じ。 面白いんだけど『two』よりはちょっと落ちる、という感想であった。 しかし、実はこっちの方がクリアした時の感動は大きかった。 というのも、話が分かりやすい。 ヤーニーは独り暮らしのおばあちゃんから生まれたキャラらしいのだ。 結婚して子供ができたまでは良かったが、仕事が欲しくて大企業を誘致したら故郷が汚染されて、子供たちは別の仕事を求めて出ていき、夫には先立たれ、でもたまには孫が遊びに来てくれる、人生いいことばっかりじゃなかったけど、思い返すと記憶のすべてが愛おしいわ、なんて思いながら編み物をしていたおばあちゃんの想念が生み出したキャラクターだったのである、ヤーニーは。 そしてその記憶がステージになっているのだ。 つまり、ゲームを進めることはおばあちゃんの人生を追体験することなのである。 クリアした時は久々にジーンときたな。 おそらく『two』は続編だから、難しいことに挑戦したんだろう。 同じじゃ意味がないと思って。 でも、やっぱり分かりやすい方が優位だよ、なんだかんだ言って。 分からないことには感動するもくそもないからな。 ゲームの出来はいいから、『two』だけやっても別に悪くはなかったけどね。 |