『逆転裁判4』はとにかくネット上の評判が悪かった。 気の毒になるぐらい悪かったな。 バカの一つ覚えで申し訳ないのだが、ゲームって自分の寄与分が高い娯楽なんだよ。 ことゲームになると、ネット上で異様にハッスルしちゃう人が多いのは、ゲームを面白いと感じることが自分に起因しているからなのである。 つまりそれは、プレイヤーそれぞれの中にそれぞれのゲームがあり、それぞれのキャラクターが息づいているということだ。 だから、当該する作品の創作者だからといって、プレイヤーの中にまで及ぶ範囲に変更を加えると、もの凄く怒るんだよ、プレイヤーは。 腹が立つから、色んなことがつまらなく感じたのだろうと私は想像している。 坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。 いわばタブーに踏み込んだせいで、「逆転裁判」はシリーズとしても辛い思いをすることになった。 とはいっても、私は別にそれでもいいと思っていた。 「逆転裁判」が続いてくれることの方が大事だ。 そんなに面白く感じられないこともあるかもしれないし、新規なアイディアが盛り込まれるワケじゃないかもしれない。 それでもいいじゃないか。 むしろマンネリを目指すべきだと思ったし、そう書いたはずだ。 ところが、巧舟は新作を創ってきたね。 いや、これは驚いた。 実際にプレイするまで、どんなゲームなのか全く調べてなかったから、驚きも一入である。 例によって説明するのは面倒なのだが、大雑把に言えば、死の4分前に遡り、物に取り憑いてその物を操ることによって死すべき運命を変更させるゲーム、ということになるだろうか。 もちろんそれだけではないが、ここではそうしておく。 知りたい人は既に知っているか、自分で調べるに違いない。 このゲーム、一見極めてオリジナリティが高いように見える。 過去にこういうゲームをやった記憶はない。 ただ、何となく「逆転裁判」に似てるような気はするな、さすがに同じ人が創ってるだけあって。 アイテムや情報を指摘して矛盾に至るロジックを組み立てることと、乗り移ることが出来る物を操って過去を操作することって結局同じことなのんじゃないか、という気がするのである。 文字のロジックが映像に置き換わっただけ。 このアイテムをいじってから、こいつをこのタイミングでこう動かすとこうなるよなっていう創り手が考えるロジックをトレースしてやるという意味では同じなんだ。 視覚的な分わかりやすいし、タッチスクリーンを使うDSならではのゲームにはなっているんだけど。 上手くいくまで繰り返しやるのも「逆裁」の証言をリピートするのと同じだし、「待った」のコメントに相当する創り手のロジックをトレースするためのヒントも出てくる。 先に解をイメージしておかないと面白くないのも同じだ。 今回の場合は具体的な映像として「こうなるちがいない」というのを先にイメージしておく必要があるだろう。 使える物が限定されているから、場当たり的にクリアしちゃうと面白くないだろうな。 考えれば考えるほど似てるんだよな。 「逆転裁判」で成功してるんだから、間違ったデザインではあり得ない。 実際、非常に楽しかった。 似てて悪いワケじゃなくて、むしろ新作なのに安心感がある。 そういう感じだったな。 安心のディレクター買いで大成功といったところか。 |