似顔絵を描くことがゲームの特色だと思っていた、『怪盗ルソー』は。 まあ、特色であることは間違いないのだが、1番印象に残ったのはそこじゃなかったな。 このゲームにはスピード感がある。 その源は、どうやら2画面にありそうだ。 ちなみにゲームの説明は面倒だから書かない。 『怪盗ルソー』は画面が下から上へスクロールする。 プレイするのは下画面なのだが、シーンが切り替わると、前のシーンがギュルルッと上にスライドしていくのである。 上画面をシーンバックログに使うのだ。 アドベンチャーゲームなんかではテキストのバックログを表示できるモノは多いけど、シーンのバックログを表示できるところはなかなか面白い。 しかし、これが思いがけない効果をもたらす。 ゲームにスピード感が出るのだ。 下画面一面だけでみると、実は大して動いてないんだけど、画面がギュルルッと動いていくと、凄く派手に動いているような気がするんだな。 これはビックリした。 画面から大した情報を得てはいないのに、なにやらたくさん情報を得ているような錯覚を起こし、凄くテンポ良く物語が進んでいくような気になる。 前も書いたけど、私はDSが2画面であることにはあまり意義を感じていなかった。 画素が2倍の一画面でもイイじゃん。 しかし、この使い方は確かに2画面ならではだな。 画素が2倍の一画面だったら、全面に大きな絵を描いてしまうから。 一件役に立たなそうなデバイスも用意しておけば誰かが使い道を考えてくれるモノなんだな、と感心させられた。 『怪盗ルソー』は、顔を変装するだけで他人や物のフリまで出来る、かなり強引な展開のゲームである。 ええっ!?顔だけでイイの?っていう。 プレイヤーはこの強引さを飲み込まなければならないのだが、テンポが悪くて色々考えちゃうと不味いことになる。 だから、このゲームにおいてテンポは凄く重要なんだけど、画面のスクロールが思いがけずイイ効果をもたらしていた。 私はこの強引さを特に苦労することもなく飲み込むことが出来たのである。 <余談> 『怪盗ルソー』は上画面も下画面も両方バックログに使われちゃうけど、上画面だけシーンバックログに使う、という手法もありそうだ。 推理アドベンチャーなんかでは有効なんじゃないか。 『仮面幻影殺人事件』をやったときにメモは役に立たないと思ったのだが、なぜかというと、創り手が書いてくれるメモに答えはないからである。 意図的に外してくる。 だから、言葉尻を捉えて矛盾を指摘するような場合にはシーンバックログを使って、自分で探した方がいい。(実は「逆転裁判」は正にそれなんだけど) 更に下画面がタッチスクリーンであることを生かして、入力を工夫すれば、なにやら面白いゲームが出来そうな気はする。 出来そうなら、誰かがやってくれるでしょ。 |