|
『都市伝説解体センター』はシステム的には大したゲームではない。 基本、表示されているマーカーを全部クリックしていけばクリアできてしまう。 選択肢も論点を整理する程度の内容で、難易度は極端に低い。 だから、中心となるゲームは創り手との知恵比べになるだろう。 展開を予想できるかどうか、だけ。 テキストの表示速度が遅くてイライラするこのゲームがなぜ素晴らしいのかを説明するためには、ここに踏み込まなければならない。 となると、もうすべてを書くしかない。 このゲームをクリアするまでは以下を絶対に読まないでください。 絶対に、ですよ。 私は基本的にゲームにおいてオカルトは大嫌い。 だって、そんなもん創り手がいくらでも勝手に創作できちゃうじゃん。 勝負にならないよ。 だから、私が望んでいるのはSPECと見せかけてトリックなゲームなのである。 それでこそ知恵比べが出来る。 しかし、『都市伝説解体センター』はそうじゃない、と思われた。 だって主人公は念視の能力を持ってるし、センター長は千里眼の能力を持っているのである。 終盤になると警察までも主人公の不思議な能力を認めてたしね。 私も一応トリックの可能性を考えてはみたが、夢オチぐらいしか思いつかなかったな。 このゲームの世界において超常現象が存在することは疑いの余地がなかった、少なくともラスト間近になるまでは。 このことは考える楽しさに大きく貢献していた。 だって、都市伝説が存在しうる世界なんだから。 都市伝説なんか存在しない、と決めつけることが出来ないから、推理に幅を持たせなければならない。 思考するうえでは難易度が上がって面白く感じられることに貢献したはずである。 私自身も、このゲームはSPECを利用したトリックなのであろうと思っていた。 ところが、最終話になって話が急変する。 今までの事件はすべて一連の復讐劇であったと明らかになり、真犯人を指摘するときがくるのだ。 この時点で犯人はもう見え見えである。 だって犯人になり得る人物が一人しかいないから。 それでもまだこの時点ではSPECであることを維持していた。 ここで違和感を覚えたのである、私は。 ちょっと待て、と。 千里眼の能力があるんだから、こんな回りくどいことしなくても、いくらでも復讐する方法はあったはず。 ということは、千里眼の能力はないのか!? じゃあ、主人公の脳に直接語り掛けていたのは何なんだ?と思考がまとまらなくなる。 そこで真実が明らかになるのだ。 これは度肝を抜かれたね。 なるほど、それならすべてをトリックに出来るのか、と。 それは考えておくべきだった。 完全に知恵比べに負けたと思ったよ。 これは素晴らしいと言わざるを得なかった。 ここを飲み込めるかどうかで、このゲームに対する印象は全く変わるだろう。 STEAMのレビューを見た感じだと10人に1人ぐらいは受け入れられないみたいだな。 私は負けを認めざるを得ないという立場。 このゲームは私が望むSPECと見せかけてトリックなゲームだった。 それも最後の最後まで見破らせなかったのである。 これを素晴らしいと言わないでいいはずがないと、私は確信している。 |