体育館用に白いアディダスのシューズを買ったのは一年ほど前のことである。 市営の体育館に併設されたトレーニング施設に通おうと思ってのことだった。 しかし、実際には一回行ったきり。 思ったよりも設備が充実してなくて、一回400円も払って通う価値があるとも思えなかった。 以来、体育館シューズは一度も使われることはなかったのである。 そんな体育館シューズに別の使い道が。 『スポーツチャンピオン』の卓球をやっていて、基準位置から出来るだけ後ろに下がりたいと思った。 実際にどう処理しているのか分からないが、速いリターンには下がって対処した方がいいような気がしたのである。 だが、今の環境だと足が板間に出てしまう。 足冷たいじゃん。 そこで家の中で体育館シューズを履くことにした。 するとこれがいい。 足が地面をぎゅっと捉えるから動きやすいな。 なんだかパワーアップアイテムを手に入れたようであった。 未だにチャンピオンカップの6人目がクリア出来ないでいるのだが、ちょっとやる気が出た。 あれ?でも、ちょっとまてよ、これって・・・。 私はテレビゲームというものをゲームの中でも「得をするもの」である、と捉えている。 実際にプレイヤーが乗り越えている負荷だけから得られるものよりも大きな喜びを得られるから、我々はお金を払ってゲームをやるのである。 喜びを大きくするための方法はいくつもあるが、PS3で発売された『スポーツチャンピオン』では少なくとも2つの考慮すべき要素が欠落しているな。 このことについて、少し書きたい。 まず競技の選択がおかしい。 なぜメジャー競技をわざわざ外してきているのか。 置き換える対象はプレイヤーにとって価値のあるものである方が、喜びは大きくなるはずである。 だからこそ、野球ゲームやサッカーゲームが沢山売れているわけだ。 にもかかわらず、なぜオリジナル?って思うな。 ディスクゴルフとか、なぜゴルフじゃないの? 先行するWiiに対して明確な優位が見いだせるものを探した結果なのか、かぶることそのものがイヤだったのか、あるいはメジャー競技は個別に発売したかったからなのか。 ホントに不思議だね。 それはいいとしても、次はもっと重大な問題である。 プレイヤーの能力はそんな簡単には伸びない! 通常我々はゲームをやっているとどんどん上手くなっているのを感じるが、それは大抵覚えることに起因している。 それは弱点を覚えたり、パターンを覚えているだけで、別に反応速度が上がったり、動体視力が良くなったりしている訳じゃないのだ。 そりゃ無理だよ、ちょっとやそっとじゃ人間の基本的な能力は伸びないよ。 指先だけじゃなく、体全体を使うなら尚更である。 しかし、普通ゲームでは先に進むほど強い敵(派手な敵)が出てくるから、プレイヤーも成長させなければならない。 そうじゃないとより面白く感じられないからね。 そういう場合に、良く取られるのはパラメーターを底上げするとか、必殺技を編み出すとかといった手法である。 プレイヤーはそんなに成長出来ないという前提で、何か手を打つもんだよ。 それこそ体育館シューズはゲームの中で手当てすべきものである。 そこが全くないんだな、このゲームは。 ひたすら難しくなるという。 覚えたら何とかなりそうな気がしないんだよな。(弱点に関しては全くない訳じゃないみたいだけど) ローンチということで、PlayStation Moveのポテンシャルを示す事が出来ればいい、程度の気持ちで作ったのかもしれない。 でも、あんまり人間の能力に依存するようなゲームを最初にやらせるべきじゃないと思うけどなあ。 人間の気持ちとして、能力をあんまり測られたくないって思うでしょ。 ちょっと思いやりが足りないんじゃないの? |