AI:ソムニウム ファイル_2

おふざけは夢の中だけに 2020_05_06

 

左目をくりぬかれた死体が発見されるところから始まるの、『AI:ソムニウム ファイル』は。
近頃無いでしょ、こういう猟奇殺人事件を捜査するアドベンチャーゲームって。
しかも、6年前に起きた連続殺人事件のコピーキャットを臭わせるような話も出てきて、私の好きな米ドラマっぽい感じ。
その事件には記憶喪失の主人公が絡んでいそうな雰囲気もあった。
これは面白そうだと思ったよ、最初は。
終わってみても、お話は悪くないと思っている、私は。
夢にダイブする装置にあんな機能があるなんてこっちは思いも寄らないから、結末にはそれなりに意表も突かれた。
フローチャートを見ながらマルチエンドを押さえていって、最後に真相に辿り着くシステムも私は嫌いじゃない。
本来なら、面白かった、と書けるお話のはず。

ところが、そうはいかない。
このゲームは終始ふざけているのである。
これだけふざけられたら、ちょっとまともには受け止められないよ。

いっちばん最初にヤクザの事務所に行ったときにオカシイと思ったんだ。
チンピラがいきなりガトリングガンをぶっ放してきて、それをやっつけたのに逮捕もしないの、この主人公。
刑事にガトリングガン撃ってくるような世界で、殺人事件の捜査とか出来るの?って思うじゃん。
完全にコメディなんだよな。
主人公のみならず、敵の傭兵が全員エロ本に釣られるのなんかは、ホントに呆れた。
百歩譲って主人公とAIの間でふざけるのは良いとしても、せめて敵ぐらいは真面目にやってくれないと。
もうね、殺人事件なんかどうでもよくなっちゃうよ。

アドベンチャーゲームが沢山発売されているときなら、こういうのもいいと思うよ。
バリエーションも大切。
でも今、なんにもないからね。
唯一無二の一本がふざけてるって、それはないだろって思うなあ。
折角夢の中で非現実的な捜査ができるんだから、現実世界は通常のルールで回っていた方がコントラストもつきそうな気がするんだが。
おふざけは夢の中だけにしてもらいたかった。


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