rain

手をつなげばイイのに 2014_06_19

 

手をつなぐ。
子供が離れないように手をつなぐ。
相手の気持ちを確かめるために手をつなぐ。
幽霊屋敷の中が暗くて怖いから手をつなぐ。
手をつなぐってのは、両方の同意が必要なだけに、割と面白い展開を創れそうな気がするんだ。
隙あらば手をつながせたい、と思うのが創作者の立場なのではないか。

amazonのランキングを見ていたら、なんだか雰囲気の良いパッケージが目にとまった。
『rain』というPS3用のゲームである。
そういえば、ずいぶん昔にPVを見たことがあった。
ダウンロード専売だったから発売されていることに気付かなかったんだな。
どうしてか分からないが、今頃になってパッケージ販売されたようである。
PVが面白そうだった記憶がほんのり残っていたので、やってみることにした。

だいぶ前のゲームらしいから簡単に話を書いてしまうと、これは、病気で引きこもりがちな少女の心がヤミに飲まれそうになっている様子が雨の日に見えてしまった少年のお話である。
主人公が少年だから、見知らぬ少女を助けたいと思うことに説得力があるんだろう。
ゲームとしてみれば、安全地帯のある鬼ごっこ+謎解きということになるのかな。
やってることは大したことないんだけど、雰囲気が良いのでそれなりに満足出来る作品だった。

私がこの作品で一番いいと思ったのは、雨に濡れていないと少女から見えないけど、少女に見えてると敵にも見えてしまうところだ。
もどかしさがイイよね。
そして、これは・・・と思うじゃん。
手をつなぐチャーンス!
雨に濡れないところを進んでいったらイイじゃんか、手をつないで。
ところが、このゲームはあんまり手をつながないんだ。
こんな世界に二人きりで、この子たち寂しくないのかな?と私は思うのだが。
私が想像したようなことは何もなく、物語はあっさり進んでいった。
凄く淡泊だったな。

なんか、やろうと思えばいくらでも劇的に出来たんじゃないの?って私は思うんだ。
雨がしとしと降り続く世界に、ドキドキハラハラは適さないという判断なのか。
大したゲームもやらせてないのに、あまりにも劇的じゃバランスが悪いという判断なのか。
よく出来てるとは思うのだが、今ひとつ心に響かない作品だったな。


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