ゲームは一番最初が一番大事。 いつも書いていることだが。 ドラクエみたいにプレイヤー側が勝手に盛り上がってくれれば創り手としては楽なのだろうが、通常プレイヤーは最初から思い入れを持っているわけではない。 つまりプレイヤーは喜びを得られるという補償がない状態でゲームに立ち向かっているのだ。 だから、創り手は最大限の努力を発揮して、プレイヤーに掛かる負荷を軽減するべきである。 この点について非常に優れた作品があったので、少し書いてみたいと思っている。 いつ発売されたゲームなのか知らないが、『高速カードバトル カードヒーロー』というDSのゲームを手に入れた。 最近、DSの稼働率が落ちていてので、何かやろうと思ったのである。 このゲームの説明をするつもりは全くないのだが、チュートリアルの話を私は書きたい。 そのためにはいくらか説明が必要になるだろう。 もっとも、必要最低限しか書かないので興味のある人は自分で調べていただきたい。 このゲーム、一番最初に同じ種類のカードを三枚もらえる。 前衛と後衛に2枚出した状態でスタートするから、場に追加する行為をプレイヤーに教えるためには最低3枚カードが必要だからだろう。 ただし、私はこの段階で三枚とも同じカードであることに少し違和感を覚えた。 前衛しか担当できないカードを3枚は無駄じゃないか、と思ったのである。 しかしそこは一番最初だから、複数枚の説明をしたくないのだろうと飲み込んだ。 更にチュートリアルは進んでいく。 後衛から攻撃できるカードやら、レベルアップの説明が進んでいき、第一章の最後についにデッキの編集になった。 ここでついに最初に同じカードが3枚だった意味を私は知るのである。 実はこのゲームでは同じ種類のカードは2枚までしかデッキに組み込めないルールになっている。 つまり、デッキを編集する練習のために、敢えて3枚最初に持たせたのだ。 デッキから一枚抜かなきゃいけないから。 そこまで考えて同じカードが3枚だったのである。 このゲームのチュートリアルには全く無駄がなかった。 説明する順番から一度に教える量に至るまで全部理詰めで出来てるな。 これは素晴らしい。 ゲームってのは負荷を乗り越えることによって喜びを得られるものなんだけど、ルールを飲み込む段階では苦労したからといって喜びは大きくならない。 大きな負荷を乗り越えれば乗り越えるほど嬉しい、というものでもないのである。 もし仮にゲームを理解する喜びが一定量だとすれば、乗り越える負荷は小さい方が単位負荷あたりの喜びは大きくなるよな。 そういう意味では、如何に負荷を減らすか、あたかも詰め将棋の問題を作るようにチュートリアルを作る必要があるのだろう。 実はこの『高速カードバトル カードヒーロー』というゲームは非常に安い印象を受ける。 任天堂が出してるとは思えないほど、絵は適当だし、テキストも投げやり。 テキストはテキトー過ぎて逆に笑える。(子供向けのつもりなのかもしれん) しかしその反面、これほどしっかりチュートリアルを作ってあるゲームもなかなか無い。 このゲームが面白いのかどうか、いまこれを書いている時点は分からないのだが、外注とはいえ、さすがは任天堂。 憎らしいほどしっかり作ってある。 これは勉強になるな。 私が勉強しても意味ないけど。 <追加 2008_03_25> 凄い! ストーリーモード、延々とチュートリアルが続いていく。 一体いつまでチュートリアルなのか。 まだJr.ルールッてことは、シニアルールもあるのか・・・。 <後日談 2008_04_09> このゲーム、テキストはなんか味があるな。 ホントに投げやりだけど。 |